- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152078674
作品紹介・あらすじ
失われた思春期の憧れ。ほろ苦い想い出にぼくらの胸がうずく。青春の驚異と絶望を斬新な手法で描き、異彩を放つ処女小説。
感想・レビュー・書評
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映画「ヴァージン・スーサイズ」の原作小説。
これを読むと、映画はかなり原作に忠実に作られてるんだってわかる。
末娘のセシリアの死後、リズボン家がだんだんと崩壊していく様子が生々しい。
この小説の語り部はリズボン家を外から見つめていた“元・少年”で、当時リズボン家の姉妹に憧れを抱いていた彼らは、大人になっても中年になってさえも、姉妹たちの影から逃れられずにずっと心に抱えている。
人の心を解き明かすのなんてやっぱり不可能なんだと思う。まったく同じ人間にならない限りは。
淡々としててどこか気だるく、乾いた印象の青春回顧録。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[07.10.27]<県
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市
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映画『ヴァージン・スーサイズ(The virgin suicides)』を観た後だったか…前だったか…いずれにせよ学生の時に読んだ。そしてあの時期に読んだからこそ、必ずしも輝いているばかりではない思春期の感受性だったり倦怠感だったりに納得したのかもしれない。今なら客観的にしか読めない。
13歳から17歳までの五人姉妹の話を近所の少年たちの目線で描いている。邦訳を『自ら命を断った少女たち』なんかにせず、「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」にした訳者のセンスには脱帽する。タイトルを見ただけで初夏の生暖かく不穏な空気が感じられ、ヘビトンボの儚さと気味悪さが物語全体の雰囲気を想起させる。
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『ヴァージン・スーサイズ』の原作。「ぼくら」が語る。以下気になった点。火葬人気の高まり(36)、自殺・企てと遂行の男女比(97)、ミスタ・リズボンがミセズ・リズボンを「娘たちの母親」と言っている(112)、的確なオードリー・ヘップバーン評(126)、髪の分け目(132)、バーベキュー禁止令(240)。
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旅のお供に購入。途中で飽きたので、了読できる気がしない。
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末っ子が医者に向かって言った、あの一言ですよね
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むせるほど甘ったるい腐った芳香、狂った果実。枯れゆく花の美しさをどうして留めることができよう。見守ることしかできなかった、手を差し伸べようとも握り返してはもらえぬ儚い想い。「われら」と語る青年たちの恋心は茫漠としていて特定されていない。自殺した美しき五人姉妹は象徴のように幻影のように実体を隠す。ベトナム戦争末期のアメリカの鬱屈とした焦燥、郊外のコミュニティとその中のファミリーの閉塞が、息苦しいほど濃厚な臭気となって迫りくる。守れなかった、助けれなかった「われら」嘗ての青年たちの追憶が物悲しく余韻を残す。
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映画を見て数年後に購入。
これは映画のほうがいいかもしれない。