図書館ねこ デューイ ―町を幸せにしたトラねこの物語

  • 早川書房
3.53
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本棚登録 : 439
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089656

作品紹介・あらすじ

子ねこが、幸せをはこんできた!返却ボックスから救いだされやがて人びとを魅了した「図書館ねこ」が教えてくれたこととは?全米で注目の感動エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 一万円選書に紹介されている一冊です。
    図書館の返却ボックスに置き去りにされた子猫。
    デューイと名付けられ図書館の猫になる。
    デューイは図書館のシンボルとなり、全力で生きてみんなを癒す。
    居場所を見つける。自分の持っているものに満足して幸せを感じる。全ての人によくしてあげる。いい人生を送る。物質的にではなく、愛のある人生という意味だただし愛は決して予測することができない。一番大切なのは、あなたを抱き上げ、きつく抱きしめ、大丈夫だといってくれる人がいることなのだ。心に刺さった。
    養老先生も同じことを書いておられたなと思い起こした。みんなが、そんな風に生きられる訳じゃない。でも精一杯生きるしかない

  • 2008年10月15日初版。その当日に購入した本だ。
    次々に紹介しあい、感想を述べあい、瞬く間に広がった。
    中には、この本を課題図書にして読書会を開いたという猫友さんも。
    Working Catという視点で当時は読んだのだが、今度は「本にまつわる本」として再読してみた。

    ところで「デューイ」と言う名前に、図書のお仕事をした経験をお持ちの方ならピンと来ることだろう。「デューイ図書十進分類法」からとった「デューイ」なのだ。
    仔猫名付けコンテストとして来館者から名前を応募したらしいが、結局最初から考えていたこの名に決まったというエピソードもある。
    この辺りのユーモア感覚はアメリカらしいなぁ。

    お話の舞台はアメリカ合衆国の中部・アイオワのスペンサーという町。
    ここの公共図書館の返却ポストに赤茶色の猫が捨てられていた。
    1988年1月18日、それは冷え込んだ朝のこと。
    両方の手にすっぽりおさまるほどの小さな猫に、著者のヴィッキーさんは心を惹かれる。
    「たぶん、ここで飼えるんじゃないかしら」
    彼女はこの図書館の館長だった。。。。

    人懐こく、人間を信じ、人の気持ちをよく理解し、多くのひとに愛されたデューイ。
    猫と暮らした経験のない方には、著者のデューイへの感情移入が過激だと思われるかもしれないが、それはすべて間違いだ。
    本の中で語られているデューイの様子、デューイへの思いはどれも皆「猫あるある」「飼い主あるある」のひとこま。
    入り口で来館者を迎え、平等に愛嬌をふりまき、膝に乗り、笑顔を忘れた人には笑顔を与え、経済不況に打撃を受けた町に元気を与えていく。
    デューイのいる図書館は町の人々の憩いの場になっていく。
    そして、シングルマザーだった著者の家族にも、笑いと絆を取り戻してくれる。

    「わたしたちは誰もが時々トラクターの刃を通過している。誰もがあざをこしらえ切り傷も出来る。・・幸運な人はかすり傷とわずかな出血で終わるだろう。
    だが、それですら重要なことではない。
    一番大切なのは、あなたを抱き上げ、きつく抱きしめ、大丈夫だと言ってくれる人がいることなのだ」
    著者にとっては、それがデューイだった。
    私もまたそうであるように、大方の飼い主さんはここで深く頷くだろう。

    本当にあった、図書館猫デューイの、素晴らしい一生を描いた良作。
    読後は目の前のにゃんこたちを、ひとりずつぎゅっと抱きしめたくなる。
    目次にたくさんデューイの画像がある。これがたいそう可愛い。

    花屋さんに花の本が置かれ、魚屋さんに魚の本が置かれ、図書館に猫や犬がいて、猫と犬の本が置かれる。
    本好きになる入り口が、そういうものだったら嬉しい。
    動物スタッフのいる図書館、まるで夢のようだ。
    いつの日か実現しますように。

  • この本もフォローしている方のレビューを読んで図書館でかりました。
    またまたじんわり涙が浮かぶ素敵な本でした、ありがとうございます。

    私の40数年のニャンコライフを振り返ると、茶トラの去勢したオス猫ほど懐こいものはない…という法則がある(よく言われていることかもしれないが)。
    この実話の主人公、「デューイ」もまさに茶トラ(長毛)のオス猫だった。彼は、アメリカのアイオワ州の田舎町スペンサーの寒い冬の朝、公共図書館の返却ボックスに捨てられていたが、著者のヴィッキーさんにより九死に一生を得る。

    「茶トラオス猫あるある」の気持ちで読んでみても、デューイは奇跡の猫である。
    亡くなった徳のある人の霊でも憑依しているのでは?というくらい人々の心に寄り添い、サービス精神たっぷりな愛嬌も持ち合わせた、まさに「神」猫だ。
    そんな彼だから、全米で有名になったことは頷けるが、終盤でNHKの取材クルーが訪れたエピソードを読んだ時にはびっくりした…日本人って本当に動物モノ好きなのね…。

    この物語は、デューイだけにスポットを当てた物ではなく、スペンサーという町の1970年代〜2000年までの地誌であり、著者ヴィッキーさんの半生を描いた伝記でもある。
    不景気が襲う穀倉地帯の町の人々に、再び連帯がもたらされることにもデューイは一役かい、何より、著者のヴィッキーさんが何回もの手術により不調を抱えていることや、シングルマザーとなって奮闘する日々の支え、慰めとなり、かけがえのない存在となっていく様子に胸を打たれる。

    彼は、年老いても人々に愛され、図書館で自分の役割を果たす。しかし、18歳で癌が見つかり、その痛みに苦しみ続けるのはかわいそうだと、安楽死が決断される。その死を迎える場面は、昨年の夏にやはり癌で14歳で亡くなった実家の猫を思い出し、読むのが辛かった。
    長年寄り添った相棒の死をどのように迎えるか、それもやはり国によって考えが違うのかなぁ…と家族の一員である猫の看取りについても考えさせられた。

    表紙の絵がとても可愛いので、中学校にどうかな?と思ったが、内容は大人向けだった。学校には角川つばさ文庫から出ている同名の本が良いだろう。
    2020.7.4



  • 猫好き、図書館好きさんにオススメです。

    本書一番のオススメポイントはデューイの行動や仕草、そしてその可愛さの表現がユニークな所。実際に想像しては萌えました。

    主にデューイが図書館に来て、去るまでが語られます。

    さらに図書館運営の様子や利用者との関わりも述べられており、町における図書館とデューイの役割を知ることができます。

  • https://library.tenshi.ac.jp/opac/volume/65129

    ★1988年、本当にあったお話。
    1988年1月の寒い朝、アメリカの図書館の返却ボックスの中に
    トラねこの「デューイ」はいました。
    (アメリカでは、ネズミ対策として図書館でねこを飼うことがあったそうです。)

  • 1988年1月18日。
    気温がマイナス15度まで下がった翌日の朝、図書館の返却ボックスの中に、寒さにふるえる生後約8週間の子ねこがいた。
    それが後にこの図書館で飼われることになった、デューイ・リードモア・ブックス、つまり図書館ねこデューイだ。

    心ない人の手で返却ボックスに投げ込まれたと思われるデューイだが、彼は人間を憎むことも恐れることもなく、図書館のスタッフや利用者に愛されながら、自由気ままに図書館ライフを楽しんでいる。
    文章を読むだけでその光景が目に浮かび、ついついこちらまで笑顔になってしまう。

    猫好きの人が猫を可愛がって癒されるだけではなく、人が動物と触れ合うことで癒される場合があること、人生を前向きに捉えられるようになることは、多く知られている。
    図書館ねこも、これに当てはまるのかもしれない。

    しかし、だからこそ、実際にデューイと密接にかかわった図書館長ヴィッキー・マイロンではなく、客観的に綴ることのできる第三者がこの本を書くべきだったのではないかと思った。

    情緒的で、デューイとは関係のない、著者の結婚生活の破綻や親や兄弟との死別の話は、結局本書のテーマをぼやけさせてしまったのではないか。
    デューイの話だから出版できたのであって、家族の話なら自費出版のレベルかなあ。

  • 時間調整のために偶然寄った本屋だった。

    ふらふら歩いていてふと平積みの本に目をやると、ねこがいた。

    本に前足を乗せたねこがこっちを見ていた。

    といっても本当のねこではなくて、本の中のねこである。

    「図書館ねこ」と書いてあった。

    名前までデューイ十進分類法から取っている、
    生粋の図書館住まいのねこのようだ。

    帯には、「子ねこが、幸せをはこんできた!」とある。

    私の好きなものやテーマとしている言葉まで入っているものだから、
    これは呼ばれているだろうということで連れて帰ったのだった。

    ***

    デューイは、1988年のある寒い日の朝、アイオワ北西部の町スペンサーの
    公共図書館の返却ボックスの中で見つかった。

    発見したのは、この図書館の館長のヴィッキー。

    そのねこ、デューイ・リードモア・ブックスは、一度の脱走を除いては、
    以後18年間図書館の中で生活していくことになる。

    この本ではデューイを中心に図書館をめぐる人間模様や時代背景が
    語られていく。

    デューイは、人間が好きで、存在そのもので人や場を癒す力を持っていた。

    図書館で何か具体的な仕事をするというのではないけれど、
    誰もが彼と過ごすことを楽しみ、それによって皆が幸せを感じるという
    存在だった。

    その人が打ちのめされているとき、必要としているとき、
    自然とその人のそばにいるということができるねこだった。

    図書館長のヴィッキーは、多くの苦難を経験してきた女性でもある。

    出産の際の医師の不手際により24歳で卵巣と子宮を摘出されてしまう。
    28歳でアルコール中毒の夫との離婚し、シングルマザーとして娘を育て、
    福祉の援助を受けながら大学で図書館学と人類学を修める。
    32歳でスペンサー公共図書館に勤務し、
    34歳から5年間は副館長、館長になるために修士号を取り、
    館長を20年間務めた。

    図書館に勤めてすぐに弟をがんで失い、兄は精神疾患が元で自殺をし、
    自身は乳がんで両乳房を失う。仕事に忙しかった時期は娘との関係が
    うまくいかなかったこともある。

    そういったことに彼女は向き合い、不屈の精神で乗り越えてきた。

    この本の最後で、彼女は、どんなに不幸なことがあっても、
    「いちばん大切なのは、あなたを抱きあげ、きつく抱きしめ、
    大丈夫だといってくれる人がいることなのだ」と述べている。

    さらに、彼女は、自分がそれをデューイのためにしてきたと思っていたし、
    そのことを本に書こうと思っていたのだが、
    それは真実の一部であるということに気がついたと述べている。

    彼女が認識している真実はこうである。

    「本当の真実は、あの長い歳月、つらい日も、楽しい日も、人生という
    本物の本のページを埋める記憶すら残らない日も、
    デューイは私を抱きしめていてくれたのだ。」

    「デューイは今もまだ、わたしを抱きしめている。
    だから、ありがとう、デューイ。ありがとう、感謝している。
    あなたがどこにいようとも。」

    震えが止まらなかった。

    私は、この本を表紙で選んだのに、答えが書いてあったからだ。

    私がこの半年で学んだことがこの本の最後の1ページすべて入っていた。

    誰かに何かをしたとき、人は自分が与えたと思うだろう。

    だけどそれは、事実の半分だ。

    与える人は、必ず同時に受け取っているはずなのだ。

    おそらく、ハグをした者同士、実際のハグも心のハグもそうだけど、
    それはお互いに何かを与え、受け取っているのだ。

    そして、心からのハグを交わした存在とは、
    たとえ片方が肉体を失ったとしても永遠につながっているのだと思った。

  • アメリカ中西部アイオワ州のスペンサーの町。
    1988年の寒い朝、図書館の返却口に入れられて凍えていた子猫。
    それがデューイだった…
    18年間、図書館で暮らして人気を博した赤茶色のふさふさした猫との実話。
    誰にでも近づき、会議中の丸テーブルに載ってメンバーの一人一人に挨拶し、一人を選んで膝に乗る。
    タイプライターを必死に追いかける。小さなティッシュの箱に無理矢理はいる。コウモリが入り込んできたことを教えてくれた。
    一度だけ裏口から脱出、怖かったらしく懲りて二度と出なかった。
    休館の日は館長の家で過ごしたが、図書館に戻るのも嬉しそうだったこと。
    必要としている人の傍に長くいたこと。
    著者は館長の女性ヴィッキー、1948年生まれ。
    その波乱の人生も次第にわかってきて、予想よりずっしりとした読み応え。
    夫のアルコール依存、離婚、弟の病死、兄の自殺、乳ガンの手術…
    反抗期の娘ジョディとの間を取り持つようにジョディに懐いたデューイ。
    日本からテレビクルーが行き、5時間命令し続けて1分半の出演だったとか。
    3年間に15万人の観光客が行ったそう。2008年発行、すぐ翻訳。

  • 読みづらかった…。
    改装の努力は終わった。とか訳してるからなのか文章読むのが苦行だった。
    デューイは可愛い…。

  • 図書館が舞台で猫が主役らしい、ということで読んでみた。

    デューイから学んだことは…
    『居場所をみつける。自分の持っているものに満足して幸せを感じる。すべての人によくしてあげる。愛のあるいい人生を送る。』
    ということ。だが、それ以上に誰かが誰かに「寄り添う」ということの大きな力をこの本から感じられる。その誰かというのは、人でなく、猫でもできるのだなぁ。
    最後のページの著者の言葉に心を打たれた。

    あと、現在の自分の感覚では考えられないことが色々あって所々当時のアメリカ怖っっ!!

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