クリント・イーストウッド: ハリウッド最後の伝説

  • 早川書房
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本棚登録 : 58
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (506ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091031

作品紹介・あらすじ

"名無しの男"からオスカー監督へ。稀代の映画人の光と影を浮き彫りにする決定版伝記。

感想・レビュー・書評

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  • 80歳を目前にして、まさに映画人としての最高潮を迎えているクリント・イーストウッド。映画界の重鎮にして大権力者の伝記を、本人がまだまだ現役である現時点で世に出そうとする勇気をまず賞賛したい。

    もちろん内容は下世話なゴシップに終始するような低俗なものではない。イーストウッド本人が自身について寡黙であるがため、おそらく周囲にいる人間の口述や著述を取材し、そして何より彼の映画作品を丹念に観込んで書かれたものであることがよく伝わってくる500ページの力作。

    改めて痛感するのはイーストウッドが遅咲きの映画人であること。「ローハイド」とマカロニ三部作で西部劇のスターになったのが30歳代後半。その後、演出家としての活動に力を入れていくが、「ダーティハリー」シリーズの大ヒットがありながら、テレビシリーズとヨーロッパ製似非ウエスタン出身という出自もあって映画界では軽んじられ、「許されざる者」で念願のオスカーを手にしたときには60歳を過ぎており、「ミスティック・リバー」以降驚異的なペースで傑作を連発し、映画評論家からの絶賛を受けるようになったのは70歳を越えてから。

    この伝記を読むと、彼がその生涯を通じて自身のスタンスを変えることのない孤高の人、信念の人であることがよく分かる。一方で、彼は聖人君子ではない。特にその下半身は奔放で、妻がいながら共演女優とは次々と関係を持ち、結婚は2度だけだが5人の女性との間に7人の子をもうけ、長年の愛人ソンドラ・ロックとは泥仕合を演じる。映画作りでも時に暴君のように振る舞い、カーメル市長として政界進出したのも増築が認められず、アイスクリーム条例が許せなかったからという気まぐれな理由から。だが、そのような譲ることのない自己中心性ゆえに、この稀代の芸術家が生まれたという気もするのである。

  • 優れた伝記。輝かしいキャリアだけでなく、スキャンダラスな裁判や病的な健康マニアぶり、イーストウッドの冷徹な性格なども包み隠さず記されている。筆者の絞殺も鋭く一読の価値あり。

  • (欲しい!)

  • クリント・イーストウッドの「アウトロー」という映画を見て、久しぶりに西部劇を楽しみました。クリント・イーストウッドを知ったのは、中学生の頃に見た「荒野の用心棒」ですが、それ以降は特に気になる俳優ではありませんでした。しかし、「許されざる者」でアカデミー監督賞を穫ってから、彼の映画が変わってきたように感じます。80歳の老人ですが、今でも若々しくて生涯現役を続けそうな勢いがあります。今は紳士のような物腰のイーストウッドですが、この本を読むと、若い頃はかなりワガママで相当なトラブルメーカーであったようです。特に女性関係はルーズで、何度もトラブルに会いながらもやめられない。何度も子供をおろさせたり、映画のキャスティングには、パワーハラスメントに近いこともやったり、とにかくあらゆる人脈やお金を遣って、自分の都合の良い方向に持っていく。一方では、政治家として地域に貢献し、住民から感謝されたり、その間にも映画を撮り続け、50本以上の主演作、20本以上も監督して、とにかく強力な意志と力で自分の人生を切り開いて行った結果、今の彼があることが判る。
    科学者の伝記をよく読むが、ペースが遅い彼らの人生とは違って、かなりセッカチな人生にも見える。これほど刺激の強い生活を送っていたら、早死にしてしまいそうである。イーストウッドはそういう生活を60年以上も続け、まだまだ現役である。タフという言葉は、彼のためにあるのかもしれない。

  • 前から、映画俳優であった彼が、何故映画監督として成功したのか気になっていたので、この本を見つけれただけでも感謝。彼のキャリアほぼ全体を包括している大作です。
    彼が俳優時代から、映画監督の仕事ぶりを観察して、長所や短所を分析し、自分の俳優としての経験も加味して、自分が将来監督になる目標を見据えてたことが、成功のベースになったんだと思った。
    放縦な女性関係にも驚いたけど、報いは受けるもんよね。(苦笑)

  • もはや名監督となったクリント・イーストウッドの評伝。ローハイドの時代から映画製作に関心を寄せていたこと、サンドラ・ブロックとの訴訟合戦、女性関係の複雑さなどを交えつつ、彼の制作する映画に触れている。彼の映画は30日程度で撮影を終わっているというのも、少し驚いた。彼の孤独さや冷たさ、名誉欲などがよくわかる一冊。ただ、映画製作の部分は簡単にしか触れられていないのと、全体としてやや冗長な感じがあった。

  • 2010.02.21 朝日新聞で紹介されました。
    2010.03.07 日本経済新聞で紹介されました。

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