全貌ウィキリークス

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091970

作品紹介・あらすじ

門外不出の戦争日誌や外交公電など、各国政府のトップシークレットを次々と暴露する、前代未聞の内部告発組織ウィキリークス。本書の著者2人は、以前からこの組織を取材し、創設者ジュリアン・アサンジの信頼を勝ち取った、独「シュピーゲル」誌のトップ記者である。密着取材を許され、ウィキリークスのメディア・パートナーとして活動を共にする2人。彼らはこの組織の「偉業」だけでなく、謎に包まれたシステムの意外な脆さ、そしてアサンジがひた隠す数々の汚点をも浮き彫りにしていく-。いま世界でもっとも注目される組織のすべてに迫る、決定版ドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 今のマスコミが如何に偏ってるか分かる
    もう情報の流通は新しい時代に

  • ウィキリークスのメディアパートナーとして活動をともにするドイツ「シュピーゲル」誌のトップ記者によるドキュメント本。ジュリアン・アサンジの信頼を勝ち取り、密着取材を許可されて描かれた内容は、明らかに他のウィキリークス本と比べ距離感が近く、非常にダイナミックである。

    ◆本書の目次
    弟一章:「国家の敵」ウィキリークス
    第二章:ジュリアン・アサンジンとは誰か
    第三章:ウィキリークス誕生
    第四章:「コラテル・マーダー」ビデオの公開、マニング上等兵の背信
    第五章:大手メディアとの協働、アフガン戦争記録のリーク
    第六章:内部崩壊の危機、イラク戦争日誌四〇万件公開の衝撃
    第七章:世界が震えたアメリカ外交公電流出
    第八章:包囲されたウィキリークス
    第九章:ウィキリークスの未来、世界の未来

    マーク=ザッカ―バーグがFacebookを生み出したのと同じ2006年に開設されたウィキリークスは、評判経済におけるもう一人の主人公である。透明な社会を指向する彼らの行為は、その類まれな技術力で情報の共有を促進し、国家間のソーシャルグラフに大きな影響を与えてきた。

    たびたび投げかけられる、ウィキリークスはジャーナリズムか、情報テロかという問いかけは、ジュリアン・アサンジという一人の男が放つ言動の二面性によるところが大きい。

    ◆情報テロ寄りの発言
    ・「大物たちのもくろみを台なしにするのが大好きなんだ。こんな面白い仕事はないよ。」
    ・「我々は人類の天空に新しい星を輝かそうとしています。」
    ・「ちょっとひと騒ぎおこそうじゃないか。」
    ・「僕はこの組織のハートであり魂なんだ。創設者でスポークスマンで、最初のプログラマーで主宰者で、出資者で、残り全部。君がそれを問題だというんなら、失せろ。」
    ・「CNNは恥を知れと言いたい、ラリー、あんたもだ!」
    ・「僕の結論は、国際メディアをとりまく状況がどれも悪く、ゆがんでいるから、メディアがないほうがましなくらいだ、ということだ。」

    ◆ジャーナリズム寄りの発言
    ・「ウィキリークスはすべての人の友と見られなければならない。なぜなら我々はすべてのに人の個人に、それまで存在しなかった道を発見できるように、我々の知識を提供しようとしているからだ。」
    ・「コンテンツはそれ自身が語るのであり、説明を必要としない。誰もが検討し分析できるように、開放しなければならない。勝利、自由、真実。」
    ・「おそらく正義の戦争とやらを始めるよりも、まったく参戦しないほうが、多くの人命を救えるだろう。」
    ・「戦争の悲惨さと日常化している残忍さへ強い光を当て、僕らの戦争を見る目を変えるだけでなく、現代のすべての戦争を見る目も変えるだろう。」
    ・「公表は透明性を高め、その透明性がよりより社会へとつながっていく。チェック機能がうまく働けばそれだけ腐敗が避けられ、民主主義は強固になる」

    この二面性は数奇な生い立ちによって形成された彼自身の性格によるところも大きいが、意図的にそのように振舞っているようにも思える。つまり、彼は自分自身に色がつくのを恐れているのだ。自分を理解されたくないし、縛られたくもない。政治的にあらゆる傾向を持つ内部告発者に開かれている存在であるために、そして得体の知れなさで注目を引き、リークの影響をさらに大きくするために。

    本書はジュリアン・アサンジの、こんな台詞で幕を閉じる。「組織としてのウィキリークスは、非常に安定している。僕たちはそれほど簡単には排除されないよ。でも、ぼく自身自分から仲間はずれになりたがる性格なんだ。これが僕たちの最大の問題だよ」。情報の機密を公開することで、世の中を動かしてきたウィキリークス。その影響で彼らの存在自体も脚光を浴びていくことは、ウィキリークス内部の情報もリークされつつあることを意味する。そしてそれは、ジュリアン・アサンジのさらなる変節を生み出していくだろう。ある意味我々は、勝者なき時代の中へと、突入しているのではないだろうか。

  • 本書を読んでいる最中に、偶然、livedoor元社長の堀江貴文氏の実刑が確定し、収監された。なんということだろう。堀江貴文氏とウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏とが、だぶって見えて仕方がない。

    両氏に共通して言えること。それは高い志を持ちながら、一方で不遜な態度により、足元を救われ、国家権力につぶされてしまったことだ。しかし、国家権力がいかにつぶそうが、その意志を継ぐ者が現れ、新しい時代を牽引していくことになる。

    つづきはブログで。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/51695241.html堀江貴文とジュリアン・アサンジの意志を継ぐ者たち

    4月23日読書開始4月29日読了。



  • mmsn01-

    【要約】


    【ノート】

  • 長い長い。でも、ウィキリークスについて自分は外側しか知らなかったので、興味深く読むことができた。
    書き手が感情的にならないところも読みやすかった。
    また、スノーデンの本を読んだばかりであり、つながることも多く、大国が批判されたときにどういう手を打ってくるか、何に気をつけてメディアからの報道を見なければいけないのかを学ぶことができた。

  • はじめの勢いはどこえやら!?面白いけど、ちょっと間延び。。。笑

  • ■アマゾンより引用
    正義のジャーナリズムか?史上最悪の情報テロか?

    アサンジの報道パートナーとして活動した独『シュピーゲル』トップ記者による、決定版内幕ドキュメント!

    門外不出のイラク戦争日誌や外交公電など、各国政府のトップシークレットを次々と暴露する、前代未聞の
    内部告発組織「ウィキリークス」。

    以前からこの組織を取材し、創設者ジュリアン・アサンジの信頼を勝ち取ったのが本書の著者、ドイツ「シュピーゲル」誌のトップ記者である。

    密着取材を許され、ウィキリークスのメディア・パートナーとして活動を共にする2人。

    その過程で、彼らはこの組織の「偉業」だけでなく、
    謎に包まれたシステムの意外な脆さ、アサンジがひた隠す数々の「汚点」、そして現代ジャーナリズムが抱える
    ジレンマをも浮き彫りにしていく――。

    いま世界でもっとも注目される組織のすべてに迫る、決定版ドキュメント。

  • 各国政府の極秘文書をリークし、一線を超えてしまったウィキリークス。従来のメディアは政治システムの安定性が崩れることを恐れるために政権側に立たざるを得ない。一方、ウィキリークスは政治システムへの攻撃とも捉えられる。創設者ジュリアン・アサンジとは?

  • 2011年刊行。
    著者はドイツニュース週刊誌「シュピーゲル」記者。


     過日、米国政府による日本政府その他各国政府の盗聴疑惑を暴露したウィキリークス。
     本書は、少し前の書だが
    ①「コラテラル・マーダー」ビデオ公開、
    ②アフガン戦争日誌、
    ③イラク戦争日誌、
    ④米国の外国公電暴露問題について、
    ジュリアン・アサンジの人物像や来歴を加味しつつ、ウィキリークス内部の模様やブラッドリー・マニング米軍上等兵(①の情報提供者)の模様と合わせ、事実経過を説明していく。

     また、変人アサンジの下半身疑惑やウィキリークス内部抗争も織り込む。こういうあたり、アサンジ贔屓に堕することなく、俯瞰した叙述は印象の良いものだ。

     この点、マスメディアとの関係で見れば、ジャーナリズムの第1の使命が事実に肉薄することであれば、大手メディアの批判の嵐は負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
     逆に、真実に肉薄することが目的であるというのなら、ウィキリークス公開情報の検証作業こそその役割ではなかろうか。
     もし、理工系学者が斬新な新説を発表したら、他の研究者による、その追試・事後調査は不可欠で、求められるはずのものだ。メディア・情報の分野でもその違いはあるまい。

  • [リークスをリーク]アフガン及びイラク戦争に関する記録や米国の国務省の外交機密を公開して世界的な注目を集めたウィキリークス。創設者であるジュリアン・アサンジの足跡をたどりながら、公開がどのようにして行われたか、影響はどのように広がったか、そして今後ウィキリークスはどのような道を歩んで行くことになるのかについて思索を重ねた一冊です。著者は、いくつかの文書の公開時にパートナーとしてウィキリークスと協力した独『シュピーゲル』紙の記者であるマルセル・ローゼンバッハとホルガー・シュタルク。訳者は赤坂桃子、猪俣和夫、福原美穂子の3名。


    著者が極めて近くでウィキリークスを見てきただけあり、知られざる内幕が事細かに描かれています。綺羅星の如く颯爽と現れた感のあるウィキリークスですが、発足当初から次第に活動の軸足が揺れ動いていった様子や、理念とは少し遠ざかる方向に寄り道をしたりする様子が見て取れます。アサンジ氏の良い意味でも悪い意味でも変人的(?)な側面もしっかりと描写されており、大変に読み応えのある作品でした。


    秘密をなくしていくという使命とは裏腹に、ウィキリークス自身がその存在のために秘密を必要としていること、また、遠大な理想に向けての技術的及び時間的制約が莫大すぎて、1つ1つのステップが逆に理想からウィキリークスを遠ざけていることという2点がウィキリークスが抱える大きな問題点、ないしは矛盾点のように思います。筆者による今後のウィキリークスに関する論考も非常に説得力がありましたので、ジャーナリズムに携わる方にはその部分だけでもぜひオススメです。

    〜ウィキリークスが問題にしているのは、情報の主権を握るのは誰なのかということだ。〜

    次はアサンジ氏の手記に手を出してみようかな☆5つ

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