ダイアン・キートン自伝: あの時をもう一度

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152094391

作品紹介・あらすじ

映画『アニー・ホール』の成功以来、常にファッションリーダーであり続ける女優ダイアン・キートンが、共演男優たちとの恋、過食症の過去、家族への思いまで、その生き方を飾らずに綴った自伝。

感想・レビュー・書評

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  • ダイアン・キートンは昔から大好きな女優なので翻訳が出るのを楽しみにしていたのだけれども。いやあ、読んでものすごく気がめいった……。(あくまで第一印象かもしれないけど。再読したり、違うときにちゃんと読んだりしたら違うのかもしれないけど)。

    ダイアン、1946年生まれだから2014年は68歳……。
    彼女にとって母親がとてもとても大きい存在だったらしく、ダイアン・キートンの自伝だけれども、母親の日記、手紙など母親の人生についてかなり多く書かれている。クリエイティブ志向でいろいろ才能もあったにもかかわらず、たぶん時代的なこともあって、一主婦として家庭におさまって家族といることを幸せとしていた(するしかなかった)母親。
    それにたいして、世の大勢の人に注目されたい、愛されたいと、女優になって、結局、結婚することはなかったダイアン。ウディ・アレン、ウォーレン・ベイティ、アル・パチーノと恋人にはなっても結婚はできなかった。結婚願望はあったけど、してもらえなかったみたいな。「ゴッドファーザーパート3」の撮影時にアル・パチーノに「結婚して」と言って結局逃げられたというエピソードが。
    そしてダイアン50歳、55歳のときにに養子をひとりずつ迎えてひとりで育てている。ふたりの子どもが、「私を私から救ってくれた」というようなことを書いているんだけど、なんかこれはよくわかってしまうような。年をとって時間をもてあまして自意識に溺れてだめになっていくようなところを、子育てをすることで時間を使い、意識を他人に向けることで救われるんだろうな、ということはものすごく想像がつく……。
    ……あんなにいろんな才能があってだれからも愛されて華やかな世界で楽しく生きているようなダイアン・キートンでもそんなふうに思うのか……。

    それにしても、映画のちょっとした撮影エピソードのようなものはあっても、ほとんど仕事については書かれていなかったのに驚いた。撮影時の話とか、喜びとか苦労とか、映画への思いとか、演技についての考えとか、ほとんどなにもない。不思議。あまり女優という仕事に思い入れがないのかな、と思えるほど。楽しかったっていうのは、「恋愛適齢期」のジャック・ニコルソンとのキスくらいな感じで、「ゴッドファーザー」でのアル・パチーノの妻ケイ役とか、「レッズ」とかまったく気に入ってなかったみたいだし。

    全体的に、日記や手紙も多いし、わかりやすく説明されているとは言いがたくてけっこう読みにくかった。ダイアンお得意らしいコラージュのよう、というか。詩、とか、つぶやき、みたいな感じもあって。

    後半特に、アルツハイマーにかかって死にゆくダイアンの母親の姿が悲しくて……。
    読んでいて、時間はあっというまに過ぎ、すべては過去になり、思い出になり、その記憶も簡単に失われていく、すべてに別れがやってくる、最後は苦しみぬいて死ぬだけ、人生は虚しい、という気持ちに襲われてしまい……わたしはいまちょっと立ち直れなそうなほど……。

  • 母親の分厚い日誌の写真に始まるこの自伝。
    6割方、母親のこと、母親とのことで占められていて
    かなり異色である。

    だが、私もそうだが、独身の女性にとって
    自分の家族と言えば親と兄弟。
    ダイアンは50歳で養子をもらったけれど
    結婚はしていないので
    親、特に母親とのつながりが最も強く長いのだ。

    ダイアンの母親、
    ドロシー・ディーアン・キートン・ホールは
    生涯、一主婦として生きたが、かたわら
    「ミセス・カリフォルニア」になったり
    文章を書いたりコラージュを創ったり写真を撮ったり
    自己表現や自己実現に熱心な人だった。
    ダイアンは女優業のかたわら
    アートや写真もやっていて
    それは母親の影響がかなり大きい。

    ダイアンは自分のことをさほど深くは書いていないが
    かなり不器用であることは確かだ。
    それでもアカデミー最優秀主演女優になり
    世界的な大スターにまでなったのは
    持って生まれた上昇志向とアンバランスな魅力に
    よるところが大きい。

    誰もが気になるウディ・アレン、アル・パチーノ
    ウォーレン・ベイティとの関係だが
    彼らと名作を創り上げていることからも
    妻になる可能性がそもそも低かったのは
    容易に想像できる。

    特にウォーレンに対するコメント
    「私はウォーレンになりたかった。愛するのではなく」
    思わず「お~」と声が出てしまった。
    その気持ち、とてもよくわかる。
    こういう、男性と張り合ってしまう女性。
    ここにもいる。
    だがそんな女性を女性として受け入れるような
    鷹揚な男性はほぼ存在しない。

    母ドロシーのこの言葉も印象に残っている。
    「私ってあれこれやるだけの雑魚なんだ。
     何事も本当にはうまくやれないのだから」

    彼女のコラージュを見ると、かなり面白いのだが
    目指す場所が高かったからこその一言である。
    芸術に関して言うと、大したことがない人に限って
    人に教えたがったり、アーティストを自称したりする。

    こういう恥ずかしい人間にはなりたくないので
    私の目標値はどうしても高くなる。
    だが恥ずかしい人になるぐらいなら、
    生涯雑魚でいい。

    とにかく私は昔からダイアン・キートンの
    大ファンなのですべてが興味深かった。
    やっぱり私はダイアンが好きだ。

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