- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152096241
作品紹介・あらすじ
ジンバブエの少女ダーリンは、暴力的でもろい世界のなかで成長していく。ジュノ・ディアスが絶賛した新人作家のデビュー作がついに登場。ブッカー賞最終候補作、PEN/ヘミングウェイ賞受賞作
感想・レビュー・書評
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激怒の時代を迎えたジンバブエ。
そんな中でいきいきと描かれる子どもたちがとても印象的。
主人公たちの強さに胸を打たれ、同時に子どもならではの無邪気さに切なくもなる。
本を読み終えると、タイトルのwe need new namesがすごく色々な意味で訴えかけてくる。
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うーん、これを日本人の私が感情移入するのは難しい。ディアスポラや民族分裂や難民を多く出した国(韓国とかパレスチナ、イスラエル、アフガンあたり)の人達にはグッとくるものがあるのかも。
平和ボケした日本で育つと頭では理解できるけど、この気持ちに共感がし難い。
ただ海外に長く住んだことのある人ならわかる、電話の向こうの故郷との時間の歪みみたいなものは凄く伝わるし、共感できる... -
アディーチェ、オビオマときて本作のこの面白さと衝撃。今はアフリカ文学の時代だ!
…といっても、ブラワヨ(もアディーチェも)がいうとおり、外国人はアフリカと人くくりにして同情したり偏見を抱いたりしがちだが、アフリカは50もの国がある多様な大陸なのだ。
本書で描かれるジンバブエは、アディーチェとオビオマがのナイジェリアと比べても貧しい。
「国盗りゲーム」での少女の台詞での、彼らから見た序列が心に残る。アメリカやイギリスがトップ(国の中の国)で、それ以下は次の通り。「ドバイ、南ア、ボツワナ、タンザニアとかの国で妥協することになる。そういうのは国の中の国じゃないけど、でもここよりはマシだ。コンゴとかソマリアとかスーダンとかハイチとかスリランカとかそういうしみったれた国、何よりあたしたちの住むこの国になりたがるやつなんていない。ぞっとするような飢餓の国、何もかもがばらばらに崩壊しているこんな国」。「この国」にあるのは、物資をくれるが村民に触れるのも触れられるのも嫌で写真ばかり撮るNGOの白人、貧困と飢え、暴力、政変、紙くずになった紙幣、飽食のアメリカで故郷を思う移民。
調べると、一人当たりGDPはジンバブエ約1000USD、ナイジェリアは2000USDで約半分だ。ジンバブエはインフレと紙幣精度の崩壊でも知られる。私がヴィクトリアの滝に旅行した時にも、道端でゼロが延々と並ぶ今は無価値な高額ジンバブエドルをお土産に売る人たちがいた。 -
ジンバブエ→アメリカ移民。まあよくある「ほぼ自伝」ってやつ。
なーんか貴重な「生きた証人」ってのはわからんでもないが、ちょっと自虐が多いというか、
どっちの国に対してもディスりが多くて、それがあんまりユーモアに変換されてなくて。やっぱエドガル・ケレットにはなかなかなれないのな。 -
文学
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アフリカで生まれ、アメリカで育った著者の自伝のような物語。文章が生き生きとしていて、情景が目に浮かぶようだし、声が聞こえそうな瑞々しい表現。アフリカ某国で本当に自由だが、どうしようもなく貧しいし、暴力などの暗い影を感じて育つ。反体制派の知り合いが撲殺されてしまうが、お葬式で撲殺ごっこを楽しむ。アメリカに渡ってからは、googleやYoutubeやSkypeを使いこなし、母国に一抹の後ろめたさを感じつつも先進国でも生活をenjoyする。学生VISAが切れ不法滞在となったことで常に国外退去の不安が付きまとい、まともな職業につけない。国に残した家族や友人からは妬みや嫉み、国を捨てた人間というレッテルを貼られる・・・。ストーリーは必ずしも幸福ではないが、絶望的な悲劇でもなく、自然や美しさが印象的。海外小説の面白いところだと思う。
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ジンバブエからアメリカに渡った少女が、理不尽で容赦のないこの世界を生きていく姿を描く。
国を捨てた者と残った者それぞれの諦めや喪失感、葛藤が生々しい。 -
血とか風土とか歴史とか記憶とかが刻んだような小説。少女の語り口の淡々とした感じがにむっとするような暑さを感じた。
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ジンバブエで生まれて、叔母の住むアメリカに移り住んだ少女が主人公。
著者の自伝的な作品。
ジュノ・ディアスが絶賛。2014年PEN/ヘミングウェイ賞受賞。