ゲームの王国 上

著者 :
  • 早川書房
4.01
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本棚登録 : 586
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096791

作品紹介・あらすじ

ポル・ポトの娘とされたソリヤと天賦の智性を持つ神童のムイタック。運命のふたりは砲声に震える1974年のカンボジアで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、虐殺――すべての不条理は、すべての地獄は、少女と少年の周りで進行する……あたかもゲームのように。

感想・レビュー・書評

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  • クメールルージュによる国内掌握の過程でカンボジアが狂気の状態になっていく時代の話。「キリングフィールド」などの諸作品で描かれているような不条理そのものの状況が続き、登場人物がどんどん命を落とすが、不思議と悲壮感がなく乾いている。

    変人ばかりの登場人物たち人格設定がいちいち面白い。
    輪ゴムキャラ、泥キャラ、綱引きキャラ。よくぞ、こんな変な話を考え出したものだ。

    「輪ゴムが環状につながっているのは 『業 』と 『輪廻 』と 『因果 』を示している 。輪ゴムの中心の空洞は 『空 』で 、そして輪ゴムの伸縮性は 『涅槃 』の意味だ 。輪ゴムを集め 、正しいやり方で見つめれば 、諸行無常 、諸法無我 、涅槃寂静 、一切皆苦 、それらがすべて学べる 。つまり輪ゴムは釈迦であり 、仏さまの教えそのものなのだ 」

    「すべての綱引きは悪魔との戦いだ 。綱引きがこの世界を作り 、この世界を維持している 。 『綱引きがすべて 』なのだ 。」

    など。

    羽田空港で読み始めて、ワイコロアの海辺で読了。

  • 作家さんに興味あり、デビュー作にして山本周五郎賞&SF大賞、舞台はカンボジア ということでワクワクと。

    上巻は ロン・メル時代からクメール・ルージュ期へと移っていく時代、農村やそこから近い地方都市が舞台。

    カンボジアという土地は気候温暖で作物はよく実り、地震や台風といった天災もない。それがゆえに人々は穏やかでのんびりしている、反面あまり物事を考えない。勉学や知識への意欲も低い -------と、かつて旅行したときに世話になったガイドさんが語ってくれた。
    まだ内戦の傷は生々しく、どの家庭も戦争で命を落とした家族の記憶が新しい、絶対に、戦争のことはきかないでほしい、と最初に言われた。

    そのことを重ねて読んだ。日本の首都圏で暮らしていては絶対に感じない、世の中を支配するぼんやりした空気。その下で蠢く不満や策謀。そして亀裂・衝突。
    あの時代の不穏な感触がこのようなものだったのか?ちょっとわからないけれども、異世界観はよくあらわされている。

    ただ、文章は読みにくい。妙に背景叙述が長くて、いま誰と誰がどこでしゃべってるのかわかりにくくなったり、時間軸も距離感もピンとこない。
    車酔いしたときのような読み心地.......>>下巻へ

  • しょうじき下巻で失速する感あるけど、上巻はめちゃくちゃおもしろい。輪ゴムで占うとか土食べちゃうとか、怒涛のマジックリアリズム。

    この若き才能には、今後も期待大です。

  • カンボジア、ポル・ポト前夜から未来にかけての話し。
    異国の話をここまでリアルにかつゲームの物語を作書くことができるものだろうか。著者の想像力に脱帽。
    ゲームというキーワード。少し分かりにくかった。ゲームの記述はもう少し分かりやすい方がよかった。脳波を使ったゲームの説明は長い。未来とはいえ想像がしにくかった。そのためか下巻のストーリーは停滞したと思う。
    とはいえ上巻の高揚感は素晴らしい。
    東大の若手著者の次作に期待!

  • 上巻はポルポトによるカンボジア掌握と民衆への虐殺まで。
    クメールルージュについては知識では知っていましたが、その詳細を見てきたように描き、読ませる筆力がすごいですね。土を食べる男や輪ゴムの予言など、SFらしく荒唐無稽なところもありますが、それよりも筆者の描く現実が重いので気になりませんでした。

  • 少なくとも上巻にSFっぽさはなく、どちらかというとマジックリアリズムの雰囲気が強い。「百年の孤独」のような、乾いた土と非論理的な論理が文学らしさを強めている印象。

  • 【遊べや遊べ、世に遊べ】ポル・ポト率いるクメール・ルージュがカンボジアに革命の嵐を巻き起こそうとする時代。寒村のロベーブレソンに生まれた神童のムイタックは、同じように類稀なる才能を持つ少女・ソリヤと出会う。2人は忘れがたい思い出を胸に混沌という名のゲームの只中に身を置くことになるのだが......。歴史小説でもありSF小説でもあるという一風変わった装いを見せる作品です。その著者は、『ユートロニカのこちら側』でハヤカワSFコンテストの大賞を受賞している小川哲。

    ゲームというキーワードを軸に縦横無尽かつ緻密に展開される人生航路の物語に惹きこまれました。下巻に入っていきなりとんでもない転調がなされるのですが、その転調に乗れるか否かで本作の評価もガラッと変わってくると思います。

    〜このゲームが人生に似ているという点です。真理を手にするためには、敗北を受け入れないといけません〜

    久しぶりのSFものでした☆5つ

    ※本レビューは上下巻を通してのものです。

  • カンボジアについても、ポル・ポトやクメール・ルージュについても、名前くらいしか知らない人間です。
    すいません。

    が、踏み入れてはいけない、ヤバイところに踏み込んでしまったことは、よく分かります。

    これをSFと読めと。
    これが上巻を読んだ感想です。

    起こったことを利用しながら、一発逆転を望める地位にまでのし上がっていこうとするソリヤ。
    ゲームのルールを理解しながら、そのルールの中で最も良い結果を出そうとするムイタック。
    更にはこの二人を囲む人たちがそれぞれ、魅力的で、けれど脆く儚く死んでゆくおぞましさ。

    革命を願いながら、興した新天地はかくなるディストピアであった。
    とな。

    下巻読めるかな。
    不安。

  • SFだと読み始めたらマジックレアリスムだだ。でも、まともなマジックレアリスムを読むのは久しぶりだなぁ。下巻はいかに。

  • ポルポト時代の歴史を恥ずかしながら、あまり知らない中で読んだ一冊。
    まず全体の構成が良い。
    時系列が絡み合って進んでいく感じが頭の中を刺激した。

    リアルな描写と、ムイタックをはじめとする登場人物の個性と、ゲームのような殺戮を超えていくヒリヒリ感が最高。
    名前が色々でるので、巻頭の登場人物欄は役立ちました。笑

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