- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152100795
作品紹介・あらすじ
殺し屋、ポップスター、売れない作家、軍人の妻、がんを告知された男……なんのつながりもない11人だったが、ある飛行機に同乗したことで、運命を共にする。飛行機は未曾有の巨大嵐に遭遇し、乗客は奇跡的に生還したかに見えたが――。ゴンクール賞受賞作
感想・レビュー・書評
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★5 色んな背景の人たちの日常が… 思いもよらない展開と価値観に襲われる物語 #異常 #アノマリー
■あらすじ
2021年6月某日、少女、殺し屋、弁護士、科学者、歌手、作家、建築家、女優など様々な人たちが各々の日常生活を送っていた。彼らのもとに、突然FBIが迎えにやってくる。一体何が起きたのか…
同年3月某日、ニューヨークの空港に着陸すべく、大西洋上を一機の飛行機が飛んでいた。進路には大きな積乱雲が立ちはだかっていたが、飛行機が覚悟を決めて突入。無事、難を逃れて大嵐を通過することができた。
飛行機は着陸態勢に入るため機長と管制塔が通信を開始する。しかし何やら話がかみ合わず…
■きっと読みたくなるレビュー
超面白い★5
本作ほどレビューを書くのが難しい本はないですね。どんでん返し、ネタバレ厳禁な作品でも、自分なりにできるだけ種明かしはせず、魅力を伝えるように書いてきましたが、本作はマジで難しい。
書き記した「あらすじ」は、本作の第一部の概略だけです。しかし読んでいただくとわかるように、何を読まされているのか、これからどうなっていくのか、さっぱり分からないの。
しかしそれは突然やってくる。ははぁぁあ???
作者の鋭角に切り込んだ発想力を堪能してほしいです。
そして本作は知識量、取材力、表現力、芸術性、宗教観がぎゅぎゅっと詰まったところがスゴイ。特に好きなのは皮肉さやブラックユーモアに満ち溢れているところ。要人たちのセリフが挙動が笑える。
とにかく読めば読むほど深みにはまってしまい、まるで底が見えない。気を付けないと現実世界の戻ってこれなくなりますよ、コレ。
そしてなんといっても最終盤ですよ。ある人の判断と、最後にしたためられた文章がエグイ、読者に正常と異常の価値観を完全に破壊してきます。
いやースゴイ本を読んでしまった。
こういう物語なら、普通こうなるよな~。といった甘いお話ではありません。
しかし胸に不思議な感情が突き刺さってくる、素晴らしい作品でした。
■推しポイント
生きていると、どうしても考えてしまうことがある。
普段は見知らぬふりをして蓋をしてごまかしているが、病気になったり、世界情勢が不安になったり、経済的に困窮してきたりすると意識するもの。
それは死。いつかは無になってしまという事実。
本作を読むと、どうもそれを肌で感じるんですよね。
ではその不安に対して、人は何ができるのでしょうか?
この本から多くの考えるヒントをもらうことができました。そして今回なんと、画期的な解決策を導くことができたのです!
結論は「サイコロを振る」ということ。
さて他の読んだ皆さんはどう感じたか、ぜひ伺ってみたいと思いました。-
ひまわりめろんさん
ハローハロー、こんばんは
この本は、読んどかなきゃだめよ
ぜひ深みにはまって下さい^^ひまわりめろんさん
ハローハロー、こんばんは
この本は、読んどかなきゃだめよ
ぜひ深みにはまって下さい^^2023/02/15 -
秋さん、こんにちは(*^^*)
この本、気になってます!
秋さんが超面白いと言うのなら間違いないヽ(´▽`)/
読むべし!ですね秋さん、こんにちは(*^^*)
この本、気になってます!
秋さんが超面白いと言うのなら間違いないヽ(´▽`)/
読むべし!ですね2023/02/23 -
2023/02/23
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ゴンクール賞受賞作品。
ベスト・スリラー2021。
めっぽう面白くて、とてつもなく知的。『異常』(アノマリー)は私たちの確信を弄び、言葉と文学の限界を追求する。刺激的な文学の思考実験。
ーソフィー・ジェベール<リュマニラ>紙
スリラーや社会派SFドラマのように人々を惹きつける。文学界の未確認飛行物体(UFO)
ーアレクサンドル・フィヨン、<レ・ゼュー・ウィークエンド>紙
この小説は、殺し屋のエピソードから始まり、売れない作家、シングルマザーの映像編集者、カエルを飼う少女、黒人弁護士、ナイジェリアのポップスターなどが次々に現れます。
これらの人物、計242名がパリからニューヨークへ向かう飛行機に同乗し、乱気流に見舞われ、驚きの異常事態が起きていたことが明らかにされます。
『異常』というのは登場人物である作家ヴィクトル・ミゼルの作中作です。
この飛行機で起きることはまさに『異常』です。
第一部は人物の紹介。
第二部は異常事態が起きたときの対応。
第三部は人物のその後の人生が描かれています。
この作品は本国での売り上げが2021年12月現在で110万部を突破しているそうです。
私は期待値が高すぎて、今ひとつ物語に入り込めませんでした。
SFですが、文芸色が強いように感じられました。
文芸作品がお好きな方に向いているかもしれません。
エンタメ度はあまり高くないように思いました。
ゴングール賞受賞作品ですが、星は私はあえて4つにします。 -
本書『異常』は終わらない物語だ
お!どっかで聞いたことあるようなフレーズw
まあ、その件に関してはひとまず置いておくことにして
なぜならば、この本を読み終えた瞬間に〈あなた/わたし〉を主人公とした12人目の物語が始まってしまうからだ
もし、自分だったら?
今現在の自分が置かれている状況を再確認し、これまでの人生を省みる物語が始まってしまう
そして本作に描かれた11人の物語は、12人目の物語に助走をつけるための滑走路だったのでは?と思うのです
それにしても…情報量の多い物語だったなぁ
そして「どこかで聞いたことあるようなフレーズ」の件は置きっぱなし-
2023/04/16
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2023/04/17
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かなりです…
ディズニーリゾート40周年記念で「永遠に完成することのないテーマパーク」って言ってたので混同してました…
_| ̄|○ il|...かなりです…
ディズニーリゾート40周年記念で「永遠に完成することのないテーマパーク」って言ってたので混同してました…
_| ̄|○ il||li2023/04/17
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これはSF? ミステリー? 本書は、奇想天外な事態に遭遇したとき、あなただったらどうする? と問いかけ、大きなテーマを突き付けてくる気がします。
第一部では、国籍、年齢、性別、人種、職業も異なる人物が多く登場し、それぞれの視点で群像劇を観るようなエピソードの一端が描かれます。
次第にこの人たちの共通点(3ヶ月前に同じ飛行機に乗っていた)が明かされますが、驚愕の<異常>が起きているのでした。
第二部では、<異常>発生の謎の究明、対処法の模索が描かれます。多くの政府・軍・科学・宗教・哲学関係者などが、右往左往しながら不毛とも受け取れる議論がなされます。
第三部では、それぞれ当事者たちが、どう考え、どう判断し、どう対処したか‥、つまりは読み手が人生の意味や生き方を再思考せざるを得ない状況に追い込まれます。
本書は、構造的に工夫されていて、読み手を試すような実験的側面もうかがえる物語だと思いました。文章の陰に潜む不穏さを含め、好みが分かれるような気もしました。心底夢中になれる方、なかなか入り込めない方‥。残念ながら私は後者でした。
本当に、有り得ない状況下で人間はどうするのか、難しい問題です。想定外の災害などは準備と心構えが必要でしょうが、そうでなければ考えてもしょうがない気がします。 -
序盤、色々な方の場面か順番に展開
何かが起きてるけど、何が起きてるかは全くわからない不穏さに包まれて進む。
突飛な展開で、登場人物もセリフで「ジョークか?」と言うのだが、本当に読んでいてその"喜劇"(下手したらシリアスすぎてコメディ化する)の度合いが少し高くなり、少し緊張感が減るのに「(展開は/この話の方向は)どうなるんだろう?」という不安感が増す。
"空に放り出されて落ちないコインの状態"に読者の私自身がなってしまう。
二部に入ってから集中力が続かない。
読んでいて連想した作品群
・なにかしらの群像劇(ぼんやり)
・星を継ぐもの
・我はレギオン3(結構がっかりした)
・神はサイコロを振らない
登場人物達は(作者がこの物語を描いたという意味で)「なぜこの人たちだったんだろう?」と考えてしまう。
パターンを分けるためだとは思うのだけど、必要なのか分からない人もチラホラ「…で、結局何が言いたいの?」
→登場人物が多いため、その分薄い(想像出来てないためか、共感出来る人物はいなかった)少し作者の傀儡のような印象を受けるのも物語のテーマに沿ってる感じがして「もしかして作者意図してる?」
宗教が一番揉めてるし、争いの種。
この話を分類しづらくしてるのは、科学、哲学、宗教を詰め込んでるからでしょう。
確かに異常なんだけど、この話を分類しようとする人間達の習性(異常事態を受け入れて慣れていく)すら既に作者の意図の中にいる(シミュレーションの範囲内)な感じがして面白い。
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SF小説でありながら奥深い心理的な要素を含んでいて、なおかつとてもエキサイティングだった。
第一部には、年齢、性別、職業、階級、社会・文化的背景などを異にする多様な、けれどもある意味代表的な人物が登場し、それぞれの生活の様子を紡ぐ。
第二部では、飛行機で起こる異常が明らかになり、それに対応する政府の狂騒。
第三部では、異常に巻き込まれた一人一人の選択。
自分が、その一人になった時どうするのか?
重複者〈ダブル〉を目の前にした時、何が言えるのか?
考えてみただけでも恐怖だ。
この中に、「パンドラの箱のなかにとどまった悪は、希望だ。」とあった。
もっとも始末の悪いもの。
希望が、わたしたちに行動を起こすことを禁じ、希望が、人間の不幸をも長引かせる。
なんとかなるさ=あらざるべきこと、起こり得ずの論法に頼るかもしれないと思った。
そして、その状況にあらがうことなく折り合いをつけていくのかもしれない。
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静かで、異様で、でもユーモラスで、それでいて衝撃的。
作中の登場人物である作家の書いた本も、本書と同タイトルの「異常」で、物語の進行とともに、作家の異常の一文が抜粋されている。
最初はこれはなんの話?舞台は飛行機の機内?嵐?バミューダトライアングル?と思いながら読み進めると、自体はバミューダトライアングルよりもよほど深刻だった。
ドッペルゲンガーという単語は使われていなかったが、DNAレベルで同一人物がいる現象って、どれだけ恐ろしいだろうと思った。
なぜ本書で起きたような出来事が起きたのか、解明されないまま物語は幕を閉じる。
私たちは本書における現象について、登場人物たちと同じようになんとか理解しようとするだけ。
いろんな議題が盛り込まれた一冊だった。
私にはめちゃくちゃ面白いと思えるほどでもなかったけど(多分私の理解力の無さのせい)、それでもページをついついめくって物語の最後を見納めたいと、読まされる本だった。 -
なるほど…(-ω-;)
そうきたか…。
ありそうでなかった作品…なのかも。
(もちろん、私が知らないだけで、という意味。)
人間ドラマ・SF・自己啓発などが入り混じり哲学的な意味が齎されている作品。
話題の本だったし、いつものようにタイトルとインスピレーションで、あらすじも読まずに拝読させていただきましたよ。
(タイトルのインパクト笑)
想像と全く違う内容でビックリ!(^▽^;)
結論から言うと、面白かったです!!
と言うか、これは読んでおくべき小説!
『自分を俯瞰して見る』啓発的な要素が1番のポイントと解釈しました。
(細かい説明はネタバレになりそうなので控えますが…)
よくあるテーマではありますが、なんせ設定が面白すぎて、ノンストップで読ませます!
そして、それに肉付けして盛り上げるエンタメ性に、ド派手なSF。
読ませるためのエンタメは欠かせない。
よーーーく考えるとホラー味もあります。(人による)
極め付けは搭乗員達の人間ドラマ。
多様な人生を送っている登場人物達のエピソードに、読者が当てはまる像を見つけ自分自身に重ねて感情移入してしまう。
一冊で何役もこなす完璧な作品。
翻訳特有の読みにくさが一切なく、没頭してしまいました。
何が起こっているのか、
どうなってしまうのか—。
続きが気になって気になって仕方ない。
宗教や哲学が重要で、異常な事態をどう受け入れていくか各目線で熟考し、各々結論を出していくのですが—。
自分自身に当て嵌めて読んでずーーんと落ち込んでしまいます…(-_-;)
(私は恐らくリュシーに近い感覚になる。)
ラストがとにかくすごく良い!
このラストがあるから好きと言ってもいいくらい߹ㅁ߹)♡
ラストも込みで意味合いの解釈合ってるかな…と不安になりググりかけたのですが、これは素直に捉えてよい作品だと(勝手に)思い込み、やめてます笑笑
(他者の感想を先に聞いてしまうと引っ張られてしまうのであまり好きではない。)
ので、これは私個人の感想です。(^-^)
間違ってたらごめんね。笑
読んでよかった作品です。
オススメ!!
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Kaniさん、こんばんわです
読んでしまいましたね、この本を。
本作はメッセージ性の強さと、放り投げられた感がエグくて大好きなの。
...Kaniさん、こんばんわです
読んでしまいましたね、この本を。
本作はメッセージ性の強さと、放り投げられた感がエグくて大好きなの。
Kaniさんは、いつも胸の中を衝動を鮮明に伝えてくれますよね~
めっちゃわかるーーって、なりました!素敵なレビューをありがとう♪2023/08/23 -
akiさん、おはようございます^^
そうそう、メッセージ性強い。
放り投げられた感、めっちゃ分かります〜!!
私もそこが1番好き♡
この類...akiさん、おはようございます^^
そうそう、メッセージ性強い。
放り投げられた感、めっちゃ分かります〜!!
私もそこが1番好き♡
この類の救われない小説に弱いです(〃´-`〃)♡
個人的にはフェルミのパラドックスの仮説立ててくる所が特に萌えました( ✧﹃✧)
そうなんです、私の感想、読み返すと内容が全然入ってこない(*´艸`)笑笑
言いたい事言ってスッキリ自己満足度の高い感想文になっちゃいます。
胸の内しか言ってない事も多々あります笑
akiさんのレビューはポイント毎に美しく纏まっていて非常に読みやすいです!
それでいてどう思ったかきちんと伝えている。「すごいなぁ…仕事できる人だろうなぁ…デスクの整理整頓とかきちんとしてそう…」って勝手に思ってます笑
あまり毒吐かないので、特に☆の数を基準に参考にしております笑
おもしろい本ないかなぁ〜って探している時は、よくakiさんの評価参考にさせていただいてます!!2023/08/23 -
Kaniさん、お元気そうで何より!
救われない小説、実は私も大好きなの(ハッピーエンドも嫌いじゃないけど
レビューをお褒めいただ...Kaniさん、お元気そうで何より!
救われない小説、実は私も大好きなの(ハッピーエンドも嫌いじゃないけど
レビューをお褒めいただき、ありがとうございます。う、嬉しい…
ちなみにデスクの整理整頓は、まるでできていません。
いま目の前の机には、つまようじと輪ゴムが転がっています。ううう…2023/08/25
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信じられないくらい、面白かった。
今年に入って2か月そこそこだが、もう今年の小説ランキング第1位かもしれない。
殺し屋ブレイクの話から始まる、この物語。「アノマリー」は彼のことか、と思いきや、違う。
物語は11人の断片的な物語をやがて一つの物語へと結びつけていく。
彼ら、彼女らの共通点は、「エールフランス006便に乗ったこと」
フライトは最悪だったー。低気圧に飲み込まれ、墜落するのではないのかという不安が全員を襲った。だが、最悪以上のことはなく、全員無事でその後の生活になんら支障を起こすことはなかった。
タイトルの「アノマリー」とは何か。それに気づいたときには、すでに物語の1/3を過ぎていた。
アノマリーについて話してしまうと、大きなネタバレになってしまうので、ここでは伏せることにするが、ここから物語は重厚性を帯びてくる。
登場人物が多いので、しばしば誰の話なのか混乱してしまうが、一体どうなるのか、という、先が気になる気持ちは、留まることはなかった。
ラスト1ページまで必ず読むことをオススメします。
そしてこの意味は、読んだ人であれば理解できると思います。
改めて、小説の面白さを知ることができました。読書の愉しみ方と、無限の発想力。あまりのリアルさに、小説の中の話で良かったとすら思えました。
また、日本語訳も非常に読みやすく、これほどの登場人物がいるのにも関わらず、混乱することなく読み進めることができたのは、素晴らしい翻訳のおかげでもあると思います。
翻訳してくださった、加藤かおり氏には感謝しかない。