氷の致死量

著者 :
  • 早川書房
3.53
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本棚登録 : 711
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152101327

作品紹介・あらすじ

中学教師の十和子は自分に似ていたという女性教師が14年前に殺された事件に興味をもつ。彼女は自分と同じアセクシャル(無性愛者)かもしれないと……一方、街では殺人鬼・八木沼がまた一人犠牲者を解体していた。二人の運命が交錯するとき、驚愕の真実が!

感想・レビュー・書評

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  • 初、櫛木理宇さん。


    主人公の鹿原十和子は35歳、既婚者です。
    教師として新しい学校に赴任してきます。
    そこでは、14年前に戸川更紗という教師が何者かに殺されたという事件がありました。

    十和子は皆から更紗と雰囲気がよく似ているといわれます。
    そんな十和子の元に「おまえをころす ふつうの女のふりするな これは天ばつ」という紙片が入れられ何度も危険にさらされます。

    十和子は性的マイノリティがアセクシャル(誰にも性的魅力を感じず、他人を性的に求めることがない性的指向者)でした。

    殺された更紗もまたアセクシャルでした。

    14年前更紗を殺したのは誰か…。
    そして、十和子を狙っているのは誰なのか…。

    十和子を狙っている犯人は後半、どの人物かすぐにわかりました。
    しかし、最後の仕掛けだけは全く分からず驚かされました。
    十和子が一番最後に、何を言おうとしたのが描かれていませんが、大変気になるところです。


    書評サイトで面白い本に挙げられていたので、期待値が高くちょっとハズされた感がありました。

    • くるたんさん
      まことさん♪こんばんは♪

      初、櫛木理宇さんだったんですね♪
      描写きつくなかったですか?なんかそんな噂を聞いて、いまだ読めずにいます。

      ち...
      まことさん♪こんばんは♪

      初、櫛木理宇さんだったんですね♪
      描写きつくなかったですか?なんかそんな噂を聞いて、いまだ読めずにいます。

      ちなみに櫛木理宇さんは「虎を追う」がイチオシですよ♪
      2022/08/22
    • まことさん
      くるたんさん。おはようございます♪

      初、櫛木理宇さんでした。
      櫛木さんの作品は、皆、描写きつそうですよね。
      でも、これは、エンタメ...
      くるたんさん。おはようございます♪

      初、櫛木理宇さんでした。
      櫛木さんの作品は、皆、描写きつそうですよね。
      でも、これは、エンタメだと思って割り切って読んだので大丈夫でした。

      『虎を追う』は、文庫になっているみたいなので、冬になったら読んでみようかな。
      ありがとうございます!
      2022/08/23
  • すべては母から、母という存在が自分にとってはどんなものか…というのに行きつく気がした。
    そして、アセクシャルというのも否定することはないし、少なくとも人に知られたくないだけで悩んでいる人もいるだろうとは思う。
    悍ましいシーンも出てくるが、単なるシリアルキラーではなく、うちに潜むものがそうさせたのでは…
    そういうものが交錯して、驚愕の真実に辿り着く。


    英語教師の鹿原十和子は、自分がアセクシュアルかもしれないと思っていた。
    厳しい母の言いなりで、決して母を怒らせまいとして望む態度をとり、萎縮して育った。

    八木沼武史は、ある日を境に殺すことを目的とし、次々と女性を殺しては、その内臓にママを感じていた。

    鹿原十和子の赴任先の聖ヨアキム学院中等部の市川樹里は、母親からネグレクトを受け問題児であった。

    鹿原十和子が、この聖ヨアキム学院に赴任してから自分と似ていたという教師・戸川更紗に興味を持つ。
    彼女は14年前、学院で何者かに殺害されて未だ犯人は捕まってない。

    この戸川更紗のことを知ろうとするにつれて、鹿原十和子の身の回りにさまざまなことが起こる。

    すべての始まりは、14年前であった。
    理想の聖母、つまりは性の匂いがしないことを望んでいた生徒にとっては、アセクシャルであることも少なからず影響があったのではと思う。






  • 性的マイノリティの女性教師と、猟奇殺人鬼の命運が交差したことにより、14年前に未解決となっていた女性教師殺人事件が解明されてゆく、というシリアルキラー・サスペンス。グロテスクな描写があるものの、性的マイノリティの人たちの方に気が向いて、いまいちストーリーに入り込めなかった。

  • 無性愛者十和子は,教師(自分似)が殺害された学校で命を狙われる。殺人犯が十和子に求めたのは聖母のような母親像。厄介で身勝手。教師を流産させても許される生徒達は残忍で理解できない。

  • 聖ヨアキム学院に赴任した十和子は自分に似ていたという教師・戸川更紗が14年前、学院で殺害された事件に興味を持つ。自分と同じアセクシュアルかもしれないと…
    中身がぎゅうぎゅうに詰まった作品。特に母子の関係性など興味深い。ミステリとしても面白い。※グロ有り


  • 星3としましたが、4にとても近い3です。

    これまで読んできた櫛木理宇さんの小説は、
    殺人や虐待など凄惨な場面が多くて、
    読んでいて気持ちが塞いだり、時に少し
    間を置かないと胸苦しい感じがありました。

    自分本位に酷く歪んだ思考をもった、
    狂気な主人公が起こす犯罪の物語は
    とても印象深く、同時にどこかで誰かが
    苦しんでいる可能性が強く示唆させられて
    危機感を感じるほどです。

    この『氷の致死量』は歪んだ欲求が事件を
    引き起こす点は同じなのですが、どこか
    悲しくて切ない。

    理不尽なことは依然として世の中に
    きっとたくさんあるはずなのに、
    主人公の受容と変容を根っこに感じるので、
    人の再生力を信じたくなるお話でした。



  • 色々とスゴかった。

  • マイノリティと残酷な描写、敬虔な思想、性や妊娠、そして大きなテーマは母なのだろう。十和子と更紗が似ていたのは必然的な何かがあるではとずっと勘ぐってしまったのは不覚で、物語に集中できなかった。ただただ残忍すぎる八木沼にも深い想いがあったり後半のどんでん返しにもまんまと一杯くわされた。。確かに怪しいのはその通りで深読みの甘さを付かれた。。。。それにしても最後に新しいニックネームがなんだったのか非常に気になる。なんだろう。氷じゃなくて、水。うーんそれじゃ単純すぎるし。謎だ‼️

  • 初めての櫛木理宇さん。
    アセクシャル(無性愛者)がテーマになっているのだけど、このテーマにあまりひかれなかったので、ストーリーにあまり入り込めなかったのだと思う。

  • 教師である十和子はその日、新たな赴任先へと着任した。自分とよく似ていると伝え聞く戸川更紗が殺された学校へ。
    自分は何者なのか、自分とよく似ている更紗を理解することで探ろうとするうちに知らずと事件へと巻き込まれていた十和子は、ようやく自分とは何かをつかみ始めていた。

    ただのサイコミステリーかと思ってたら、すごく深く考えさせられるストーリーで、揺さぶられまくった。
    親から受ける影響、性的な個性、そもそも個人とは何か。
    加害者はなぜ加害者になってしまったのか、そこになんらかの酌むべき事情はあれど、起こしてしまってはいけなくてそれは許されるべきではない。
    だから、どうにかして加害者にならない仕組みがあればいいんだろうけど。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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