- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152101648
作品紹介・あらすじ
元教師のレナは、旅先のインドで十歳の少女に出会う。少女は毎日働かされ、学校に通っていないという。「女に勉強はいらない」。この因襲に従う人びとから反対されながらも、レナは、少女たちのための学校をつくろうと動きだす。『三つ編み』に続く勇気の物語
感想・レビュー・書評
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生きている限り知ることのたくさんのうちのひとつにどこかで差別があり、今苦しんでいる人がいること。
自分に何ができようか…。
ただ、どうにかできないものなのかと思っているだけで、動けない自分にもどかしさを感じた。
この物語は、フランス人で教師をしていたレナが、不慮の事故で絶望感の中、旅をしようとインドに来る。
生きる意義もなく、鬱々としているときに海にさらわれて少女に助けられる。
その少女と出会ったことで、満足に学校へも行けず、読み書きすらできずにいることを知り、学校を作る。
その過程もかなり大変ではあるが、それからも苦難はある。
学校へ行き始めたとしても初潮で少女たちの人生は一変する。
十歳や十二歳で、娘を嫁がせて食い扶持を減らそうとするのが、貧しい家庭では普通にある。
夫の家族と同居し、その所有物となり、姑の権威のもとに服従し、日の出から日没まで家事をこなす生活となる。
女であるから、家事労働は当たり前で、「教育はいらない」のである。
これに抵抗できることなく、根強く続いている社会通念にレナたちは、立ち向かう。
学校は、学べるところであり、安心できるところである。
それは、どこの国でもそうであってほしいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教師を辞め大好きだった同僚でもある彼が行きたがっていたインドへ行く
インドで溺れかけ助けてくれた少女にお礼がしたいと思い少女のもとへ行くが
少女は学校へ行ってなく、文字が書けない
さらに家の店の手伝いを朝から晩までさせられてる
女だからという理由で学校に行けない女子たちのために学校を作る
なぜ、彼のことが大好きだったと過去形なのが最初分からなかったが後半にその理由が出てきてショックだった
生徒に銃で殺された…
狙って殺されたというよりは、巻き込まれる形
インドでの、子どもの結婚など問題となってることが書かれてる
三つ編みの本が読んでみたくなった -
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フランス人作家描く「児童婚」「ダリット」のリアル | 読書 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
https://toy...フランス人作家描く「児童婚」「ダリット」のリアル | 読書 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
https://toyokeizai.net/articles/-/6302002022/11/07
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前作「三つ編み」に続く作品。インドの不可触民・ダリットの母娘のその後が描かれていました。
元教師のフランス人女性・レナが海辺で少女・ホーリーに命を助けられたことで物語は大きく展開します。
そしてホーリーが助けを求めた相手 「レッド・ブリゲイド」と呼ばれる女性のための護衛組織。そのリーダーを務めるプリーティとの出会いもまた、レナの人生に大きな影響をもたらす。
偶然に思える出会いも、実は「必然」じゃないかと思うことがある。
「児童婚」「児童労働」などの慣習。「女に教育は必要ない」という考え方。
本作を読むと、ある国では女性の立場がいかに低く見下されているか、置かれた境遇の凄絶さは想像を絶する現実だということを突きつけられる。
希望の見えない生き地獄のような境遇に愕然とした。正直これが現実だなんて思いたくない…。
そんな社会で、未来のために、誰かのために、本気で願い果敢に行動するホーリー、プリーティ、レナの3人の女性たち。
彼女たちの頑張りや行動力に勇気がわいてくる!
人々の意識に深く染みついてる慣習を変えるって本当に難しい…。
彼女たちの試みが成し遂げられるように祈るような気持ちで読み終えました。
ここまで劣悪じゃないけど、「時代が流れてもメンタリティは変わらない」という点においては日本もまだ同じだなぁと感じました。
残念なことに、自覚・無自覚を問わずそう感じる場面が少なからずある。
次作の「彼女たちの部屋」も気になります。
『「女性をひとり教育すること、それは国民全体を教育すること」。いつも学校で会う少女たちにはほかに上昇のチャンスがない。学校こそが、社会が閉じ込めようとする見えない牢獄から逃れる、唯一可能な道なのだ』 -
☆4.5
生きる希望を失いフランスからやってきた元教師のレナ。インドの海で溺れかけて、10歳の少女
ホーリーとプリーティらメンバーに助けられる。
レナは、読み書きのできない子供たちのため学校をつくろうと奮闘する。
インドの不可触民(ダリット)の女に生まれる不運がリアルに描かれている。
「ここでは強姦は国民的スポーツ」
ブリゲイドの支部リーダーであるプリーティは
女性たちに護身術を教えるが、彼女たちもまた読み書きができない。
養父母の店で働くホーリーは口がきけない。
彼女の本当の名前を見て「この子は『三つ編み』のラリータではないか!」と思わず声を上げてしまった。物語は繋がっていたのですね!
インドの貧困層の実態(児童婚、児童労働など)を知れば知るほど、その苛酷さに胸が締め付けられる。
「女の子に学校はいらない」
「本を読む娘は悪い妻」
不条理な古い因習に従い、法律が正しく機能してないインドにおいて、「教育は、彼らが生まれによって定められた運命を乗り越える、唯一のチャンス」だと著者は語る。
娘ラリータを連れて南の地にたどり着いた母スミタは、生業にした便所の汲み取りで肺を患い亡くなった。娘がよりよい人生を送れるようにと願った母親の思いを今度はレナが受け継ぐ。
レナから勉強を教わり、将来バスの運転手になって、来た道を逆にたどり、生まれ故郷の父親のもとへ会いに行く。黒い瞳の少女の夢がどうぞ叶いますように!
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読者モニターに当選し、一足お先に読ませていただく幸運に恵まれた。『彼女たちの部屋』がよかったので、こちらも期待。
主人公レナにはかつて何かとても辛いことがあったようなんだけどそれはなんだろうという興味に導かれ、また初めての地での少女たちや人々との出会いでレナの世界がぐんぐん広がっていくのに連動してページを捲らされていく。
悲惨な問題は山のようにあり解決の道は険しいけれど、自分の培ってきた力で、出来ることから糸口を掴もうと行動していくレナの、まっすぐで果敢な姿は魅力的だった。 -
『何があろうと、人生は続く。』
主人公でフランス人のレナ、レナを救い教育機会を得ることができたラリータ、現地で闘うプリーティ。
女性達の奮闘、そして残酷な現実の中でも希望を求め信じて進み続ける姿はただ感動だけではない力強いメッセージが込められている。
男性として生まれて、日本で生きている自分自身はこれを遠い国の物語として傍観していてはいけない。
人間社会で起きていることは身近にも起きている。ということを改めて感じた。
読後、一言では語り尽くせない感情が心を埋め尽くす。国、性別、親、環境…この社会におけるあらゆることを私たちは自分自身で選択することできずに生まれてくる。ある意味それは選択ができないがゆえ本当の意味で平等なのかもしれないが…生を受けた後のこの世では平等に生きていくことができない。
本小説ではインドが舞台となっており、性差別、階級差別、貧困、児童労働など多種多様な問題が複雑に絡み合いそこからさらに問題が派生している。
国全体でということだけでなく、村単位の文化によるものもありもはや簡単にその実態を掴むことはできない。
また主人公のレナが元教師ということもあり、やはり「教育」が本作品のメインであり、キーである。
『女の子を無知なままにしておくのは、願望や意見を封じ、服従させるいちばんの確実な方法だ。教育の機会を奪うことで、彼女たちを脱出不能な牢へ閉じ込める。社会に出て活躍する望みを奪いとる。知識は力だ。教育は自由への鍵なのだ。』
この言葉はまさに多くの女性の置かれた状況を物語っている。
著者の作品は一貫して『逆境にあきらめず抵抗する女性たち、その連帯、絶望からの再起』を描いている。他の作品も是非読みたい。 -
一貫して女性の権利問題をテーマにした作風のレティシア・コロンバニ。『三つ編み』『彼女たちの部屋』そしてこの作品と続く。三つ編に登場したインドの最下層の女性。その女性の娘が主人公と関わることから物語は始まる。
「女に勉強はいらない」はらわたが煮えくりかえる!
それは日本の医学部入試の女性差別とも地続きでもある。 -
インドという国の知らなかった一面に触れ
そんなバカな…と何度も思い何度も愕然とした
決して西洋的な文化や進んだ教育が絶体的であるとは言わないが、やはり負の風習が続く事のマイナス面は
キチンと見ていかないと、その被害者になるのは
もしかしたら自分にとても近しい人だったのかもしれないと想像すると泣けてくる
人種も性別も年令も関係なくたくさんの人に
読まれて欲しいと心から思えた作品
※今回ゲラを読ませてもらう機会をいただけた事には
ただただ感謝しかありません。