一言でいえば「親世代のミドルエイジ・クライシスに巻き込まれた少年の受難物語」である。
12歳の少年ヘンリーの母親はある日「モルモン教の宣教師になる!」と言い出しアフリカへ。
父親も母親についてアフリカに行ってしまったため、やむなくヘンリーは母親の妹である
叔母二人に面倒をみてもらうことになる。
しかしこの叔母二人、会社を経営し社会的には成功しているものの、子どもとの
付き合い方を知らず、当然ヘンリーとも仲良くはない。
そんな中叔母の一人マグノリアが病気で寝込んでしまう。回復後、自分が人生で仕事以外
何もやってこなかったことに気づいた彼女はもう一人の叔母ピッグとヘンリーを連れ
アメリカ大陸を車に乗って当てもなく旅行することにした。
旅の途中で叔母たちに連れられ生まれて初めて母方の祖父に会うも、母と祖父が
絶縁状態なため心を通わせることがほぼできなかった。
また旅先の沼地で同年代の少年に出会うも、相手が自閉症児だったがために意志の疎通が
できず、さらに最悪なことにワニだらけの沼地で一緒に三日間も遭難する羽目になる。
旅の途中でピッグ叔母は結婚相手を見つけて旅から離脱、アフリカから帰ってきた両親が
途中で合流するものの、両親の仲はすっかり冷え切っていて、マグノリア叔母も含めた
三人でお互い罵りあいを始める始末。
ヘンリーは何とか両親の仲を修復しようとするものの、旅行中の人々との出会いの中で
物事にこうあるべき姿などなく、両親の仲も自分が無理やり変える必要などないことに
気づくのであった。
正直読んでてわくわくするような話ではありませんが、アメリカという文化の一端が
垣間見える話です。
児童書なのですが、果たしてこれを読んで理解できる子どもがいるのかな…という
疑問は感じます