こうしてあなたたちは時間戦争に負ける (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5053)

  • 早川書房
3.14
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本棚登録 : 398
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350533

作品紹介・あらすじ

あらゆる時間と並行世界の覇権をめぐり争う二大勢力である〈エージェンシー〉の工作員レッドと、〈ガーデン〉の工作員ブルー。二人の女性は幾多の時間線でお互いを好敵手として意識するうち、秘密裏に手紙を交換する関係になるが……超絶技巧の多世界解釈SF

感想・レビュー・書評

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  • 1ページ目から戦慄した。対立し合う2大勢力の其々の工作員の描写が凄くリアルで、アニメを文章で表現したらこうなるのかと納得。しかも文通を始めた2人は紙の媒体でなく、蝉の翅や年輪と手段も奇想天外で楽しませてくれる。手紙に表現される様々な引用も格調を高めてくれて、さりげない言葉のひとつ一つに作者の知識の深さが偲ばれる。英語独特の韻が多用されているが、原書ではなくてもルビが振ってあるので大丈夫。凄い本に出会った。

  • めちゃくちゃ面白かった。
    荘厳華麗なバトル百合。
    文章がとても豪奢で美しい。全体的に何か「同人誌めいたものを感じる…」と思いつつ読んだ。巻末の謝辞などとても良い同人誌を読んだ時のあの感じを思い出させる。
    とにかく文章がとても良いので詩が好きな人にオススメ。
    とても豪華な時間が手に入ったのでまた再読したい。

  • 不思議な読み心地の作品。レッドとブルーの書簡が交互に綴られていくだけなので、ストーリーは流れは分かっても曖昧なまま。幾つもの並行世界を行き来し、過去にも未来にも行って闘いを重ねる二人はそれぞれの属する組織の為に戦ってる。他の誰にも知られないように手紙を交わし続ける2人が惹かれ合って、情熱的な言葉が溢れ出すようになる。そのグルーブが心地良かった。もっと私に教養があれば数倍楽しめたのだろうけど。

  • 私はこういうSFが嫌いなんだなと
    物語を蔑ろにしすぎているし、知識をひけらかすばかりで外挿的な楽しみがない

  • 2021-10-31
    なかなか凝った構成と美しい文章。百合ではあるのだけど、むしろふたつの魂の交流の詩。
    最後の最後でタイトルの意味が明らかになった時の爽快感たるや。人を選ぶと思うけど、刺さる人には奥底まで刺さる美編

  • 全部読み終わった後にタイトルの前、1ページ目をみたら
    同じ言葉なのに、全然違って見える。

    教養があればあるほど愉しめる作品なんだろうな。
    最後に訳注を読んで、そういう意味だったのかとわかったところもあり
    良かったけれど、できるなら読みながら気づいてふふっと笑えた方が良いものな。

    ただ手紙を送り合うだけでなくて、手紙そのものも手が込んでいて
    一つの作品のようだった。想いのやりとりの方法って色々あるんだなと
    手紙自体に工夫を凝らすことはあっても他の形式は考えたことがなかったな。
    青と赤もそのものだけではなくて多様な表現が存在があって
    そんな風に手紙を書けたら素敵だなと、友達に手紙を出したくなった。
    好みのタイプではなさそうだけど、この本を勧めてみるのも良いかもしれない。

  • 比喩、引用が多すぎて話に乗れず。

  • 時空の覇権を争う二大勢力・「エージェンシー」と「ガーデン」。「エージェンシー」の工作員・レッドと「ガーデン」の工作員・ブルーは敵対関係にありながら、時間を空間を超え、密かな文通を始める。

    壮大なタイムトラベル・パラレルワールド・歴史改変・ミリタリー文通百合SF(?)でした。最初から最後まで世界観や用語の細かい説明はなく、読者には「?」な部分もあるのですが(それはそれでまた良し)、序盤〜中盤の軽妙なやりとりからの終盤の手紙の熱量、そして時間を遡った末のラストの二行が素晴らしかったです。
    作中のメインである手紙が木の年輪であったり紅茶の茶葉であったりアザラシの中(!)であったりするのが面白いし、相手の呼び名が様々な言葉/引用で表現されているのも良いなと思いました(#0000FFとかコチニールとか)。本書がどのように書かれたのかは分かりませんが、男女二人の作家による共作というのも面白いポイント。

    訳者あとがきにもありますが、作中の数多くの引用の元ネタに馴染みがないのと、原書の韻を踏んだ文章をそのまま味わえなかったのは残念(ここは訳者もかなり悩んだとのこと。英語圏の読者が羨ましい!)。とはいえ楽しめたので、文通×百合×タイムトラベル(中略)ミリタリーSFにピンと来た人にはおすすめします。

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    作中に出てきたスマック(スパイス)、調べてみると「ゆかり」「梅干し」に近い風味とのことでちょっと食べてみたくなりました。

  • よー分からんかった

  • ★あさっぴ文学館さんからのおすすめコメント★
    過去と未来、すべての現実と宇宙で戦い続ける、
    二大勢力≪ガーデン≫と≪エージェンシー≫。
    それぞれの敵対する工作員レッドとブルーの、
    決して誰にも知られてはならない、互いへの思慕と
    愛に満ちた手紙のやりとりで構成される物語。
    美しく詩的な文章で紡がれる、香り高いSF文学。

    武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000260087

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