TVピープル

著者 :
  • 文藝春秋
3.36
  • (15)
  • (38)
  • (90)
  • (10)
  • (1)
本棚登録 : 463
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163115108

作品紹介・あらすじ

得体の知れないものがせまる恐怖、生の不可解さ、そして、奇妙な欠落感…。生と死、現実と非現実のあいだ…。小説の領域をひろげつづけてきた作家の新しい到達点。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「TVピープル」と聞いて、どんな人を想像するか?

    TVの中でしか存在できない、別世界の人。
    TVに夢中になりすぎて、TVの中に取り込まれてしまう人。

    現実世界の「こっちの人」と、TV世界の「あっちの人」の交流を期待して読み始めると、「ん?何か違うぞ!」と期待を裏切られる。

    人間よりいくぶん小さい「TVピープル」は、テレビを部屋に運び込み、設置し、点検していく。しかも、ソニーのカラー・テレビだ。

    いったい、何のため?
    最初のうちは、一言も口をきかず、ただ、テレビを設置していたが。。。


    あれ?
    今、誰か目の前を通っていった??

  • バージョンアップ版の『ねむり』を読んでから一年経ち、バージョンアップ前の『眠り』が収録された短編集を読んだ。

    最初に載っていた『TVピープル』は話の雰囲気が『アフターダーク』に似ている気がした。あれも確かTVのなかがどうのこうのという描写があったと思う(あいまいな記憶だからもしかしたらなかったかもしれない)。

    そのほかの短編も、バージョンアップ前の『眠り』も理解はできなかった。念のため一年前の『ねむり』の感想を読み直してみたが、やはり理解出来ていなかったみたいだ。自分のどうしようもなさに笑ってしまう。

    『眠り』の主人公の女はソファでお菓子を食べながら時間をかけて読書をする。読書の合間には運動もする。
    その生活スタイルに共感した。
    自分も何か食べながら本を読むのが好きだし、何時間か読んだらジムに行って運動をしてまた読書をする、という休日の過ごし方が一番好きだ(この読書スタイルを実践する際、本を理解しているかどうかは自分にとってあまり重要なことではない)。

  • 佐々木マキの表紙がかんぺき。

  • 川上未映子が絶賛していた”眠り”が収録されているので読む。
    ”眠り”歯科医を夫に持つセレブな妻が眠れなくなって2週間くらい一睡もしないのに眠くなく”アンナ・カレーニナ”を予後と読みふけり夜のドライブをし、不穏な感じで終わるんだけど、女性の心理描写がほんとに上手い。想像力でこれだけ書けるものだろうか。
    しかも、この短編集みんな面白かった。
    最近の長編よりもむしろ面白かった。

  • 短編集。幻想?ホラー?
    不思議な作品たち。
    「我らの時代のフォークロア」は『ノルウェイの森』を思わせる雰囲気。
    「加納クレタ」と「ゾンビ」は、ショート・ショートほどの短さのホラー。
    表題作が一番謎だった。

  • 二度目の「眠り」が染みた。
    きっとこの女性は昏睡状態か何かにあって、眠れない日を17日間過ごしているのだ、という仮定で読み進めると、「傾向」にずっと自分の時間を奪われてしまって、本来の自分らしさを損なっていることに気づく物語なんだとわかって、今の現代人になんてぴったりなんだろうと思った。

  • 「TVピープル」

    ある日、テレビのない家にテレビを運んでくる男3人組、またまた訳のわからない小説だ。
    結局、最後まで訳の分からないままで終わる。
    いったい何なんだ?

    「飛行機-あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」

    副題に”いかにして”とあるが、結局それはわからないまま。
    何を言いたいのか?

    「我らの時代のフォークロア-高度資本主義前史」

    みんなのレビューを見ると、一番人気のようである。
    処女性というか、そういう女性のひとつの生き方を提示する話。
    みんなこんなのが好きなのか?

    「加納クレタ」

    とても魅力的な女性がたびたび男から犯されることから、
    それに対処する方策に関してのお話。
    あまりに現実離れ(この話しだけではないが)しているため冷めた目で読んでしまう。

    「ゾンビ」

    マイケル・ジャクソンのスリラーのPVのようなお話。
    終わり方も同じ展開。

    「眠り」

    これも人気の作品のようです。
    この作品の中に出てくる「アンナ・カレーニナ」は誰もが聞いたことのある
    トルストイの名作。
    僕も小学生のときから気になっていたものの本の分厚さからなかなか読むのが
    おっくうになっていてまだ読んだことがない。
    僕だけでなくいろんな人が今一度読んでみようかな?と考えるそうだ。
    それはさておき、この「眠り」も終わり方が気に入らない。

  • 子供の時なぜか。

  • 我らの時代のフォークロアが良い。
    処女性の重視について。
    ある一線を超えると、何かを失ってしまったり、変わってしまうことがある。
    でも人間は成長していくもので、一線を超えようが超えなかろうがじわじわと変化していく。自分が望んでいなくても関係なく。
    恋人など、対人関係において、相手に望むタイミングが違っていても、それは個人の問題だから当たり前の事だ。

    キッカケとタイミング。
    性に限定せず、気づいた時から世界が違って見えた時など、日常的な色々なことのメタファーになっている作品だと思う。

  • 主人公が女だったり、語り手が登場人物ではなかったり。
    村上さんの作品にしては珍しいが
    それだけで、特におもしろくはなかった。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×