花を運ぶ妹

著者 :
  • 文藝春秋
3.86
  • (19)
  • (17)
  • (28)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 111
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163187709

作品紹介・あらすじ

一瞬の生と永遠の美の間で麻薬の罠に陥ち、バリ島で逮捕された画家・哲郎。誰にも兄を殺させはしない!妹カヲルはバリ島へ飛んだ-。意志と祈り、西欧とアジア、死とエロスの対立と融合を描く7年ぶりの書下ろし傑作長編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  読んでいるときのわたしの置かれている精神状態にとても似ていて、ドキリとすることばかりでした。
     難局に対峙する姿勢の教本。

  • あー
    鬱々として
    ベトベトした夏が魅力的すぎる

  • 表紙の絵が魅力的だ。
    ウウト・バンバン・スゲンという人の『共寝』という絵となっている。

    哲郎は画家だ。
    「絵を描くこと」と向き合っている中で、ヘロインを体験し、一度中毒から脱した自信が再び、ヘロインを手にし、逮捕されてしまう。そこはバリだった。
    その妹のカヲルは日本とパリを往復して、通訳やコーディネーターの仕事をしていたが、バリに哲郎を助けに行く。
    アジアという土地と、政治と、慣習の中で、最悪死刑になってしまうという兄を妹は助けられるのか。

    カヲルと哲郎のお互いの時間が交互に流れる小説の形も面白く、一気に読ませられた。

  • 感情や状況が様々な言葉を尽くして表現される。その繰り返しが不思議と気持ちに残る。

  • 2014.05.30読了。
    今年16冊目。

    Bali Tripの前に。
    前回バリに行った時に占い師の家で見つけたこの本。
    バリのことが描かれていて興味を持ったんだけど、読みはじめはイライラ笑
    バリにいた兄が麻薬所持で捕まり、兄を助けるため妹がバリへ向かう。
    状況が状況なだけに妹のバリへの印象は最悪で、バリの大好きな私はそんな悪い場所、人じゃないと勝手に憤慨。
    ただ確かに今でもバリの警察は悪いらしく、この本の内容と似たような話を聞いたこともあり、そこは残念なところでもある。

    裁判が良い方向へ向かい、妹はBaliの文化や歴史、いろんなものに興味を持つようになる。

    私も初めて行ったときからバリの人が祈る姿、お供えする花、食べ物、宗教、文化、歴史、たくさんのものが新鮮で面白く、知れば知るほど奥が深い。まだまだ知らないことはたくさんあり、何度行っても飽きない島だと思う。


    麻薬中毒になり麻薬所持でつかまった兄については正直気持ちを理解することができなかった。
    画家である彼が自分の今の画風を破るため手を出してしまったヘロイン。

    でもヘロインを教えてくれた女性との絵の話、岩の話は面白かった。
    私は絵に詳しくないけど、そんな見方、感じ方もあるんだなと。

  • 断続的に読んでいたので、いまいち内容を忘れてしまった。あまり読みやすい小説ではなかったはず。画家の兄が異国で投獄され、それを救い出す妹、という設定。兄の章と妹の章が交互に展開するという設定。物語としてはさほどの展開はなかった。出だしに妹が洗礼を受けるという宗教色たっぷりのプロローグであったが、予想に反して中盤はそうでもなく、終わりのほうで普遍的な大いなるものの存在を少し絡める。なのでこの小説はやっぱり宗教的なテーマを持った、なかなか重厚な小説であったと思われる、嫌いではない。ただ、この後半の部分に差し掛かるまではかなり冗長だった気がする。

  • 木沼駿一郎氏より寄贈。

  • 書名にひかれて読みました。
    園芸的な意味で。

    そうしたら、最初の洗礼からしてもう、なんだこれ!
    でした。
    面白い。

    そしてとてもタイムリーなことに、薬物の話。
    しかも絵描き。
    ぐいぐいひきこまれました。


    はらはらし通しでしたが、この本に出会えた幸運に感謝。

    亜熱帯でスコールに打たれたいです。

  • 書評で評価が高かったので、図書館で借りて読んだ。

    兄と妹、一人称でそれぞれ代わる代わる語られる物語。

    兄の、ヘロインにはまっていく描写
    とりもどせない時間、後悔と、無気力。
    妹の、絶望と、ある時一変する(「悟りを開く」)心情の変化。

    それぞれが細かくよく描かれていて、
    本当に鮮やかな作品だった。

    おもしろい。

  • 画家でありイラストレーターでもある哲郎は、日本とアジア各国を転々としている。妹のカヲルはコーディネイターとして主にパリを拠点として仕事をしている。タイでインゲボルグという女性からヘロインを教えられた哲郎は嵌まり、寺で一度は断ったものの、バリにきて2gのヘロインを買ったところで警察に捕まる。2gのヘロイン使用のはずが、国外から大量に持ち込んだマフィアということで死刑も余儀ない状態となる。連絡を受けたカヲルは兄のために奔走するのだが…。とにかく話が濃いです。ヘロインの怖さとバリのすばらしさが、途中しんどくなるほど描かれています。自分と小説に距離をおいて読まないと私にはキツイです。引力の強い本でした。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池澤夏樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×