届かなかった手紙

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 71
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163199504

感想・レビュー・書評

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  • 題名と前書きから想像していたものとは全く違う結末に衝撃を受けた。
    手紙を交わす二人の男の、それぞれの悲鳴が恐ろしい。

    30分ほどで読み終えてしまうような短編ながら、深く力強い。
    小説という技法の無限性を感じる。

    今年の一冊はこれだなあ。

  • 遠距離の往復書簡ということで『チャリング・クロス街84番地』のような心温まる結末になってほしいと願いながら読んだが、やはり甘くはなかった。アメリカとドイツを結ぶ友情、からの急展開。短いなかに時代のうねりと絆の脆さが凝縮されている。

    読後思い出して『あの頃はフリードリヒがいた』のラストシーンを確かめた。良心を持つも地獄、持たぬも地獄。誰もが苦しみのなかにいた。

  • 2021.05.08 図書館

  • 友情がナチスの存在により崩れていく話。最後は恐ろしい結末が…!

  • 100ページもない書簡形式の小説。後書きにもあるが、これが1938年に出版されたということが奇跡。親友の一人が在米ユダヤ人、一人が故郷ドイツに帰ったドイツ人だったことから起きる悲劇。ナチスを糾弾した最も古い小説のひとつなのだろう。

  • 何という復讐!
    “ADDRESS UNKNOWN”で、「届かなかった手紙」ってことなんですね。

    片方の高揚と、反比例するようなもう片方の絶望と。
    やりとりされる言葉の裏にあるそれぞれの気持ちが、目に見えるようでした。

  • アメリカからドイツに戻ったドイツ人、アメリカで事業を継続するユダヤ人の共同経営者の間の書簡のみの本。
    作者の説明は一切無い、本当に手紙のやり取りだけ。
    アメリカでの自由を知っている筈のドイツ人がドイツでナチスの思想に心酔し、友であったユダヤ人にユダヤ人虐殺の正当性を当然のように述べる。

    怖かった。
    侵食された思想は生死とか友情とか、そんなものは一切切り捨てて大衆の流れの渦に呑み込まれてしまうのだ。

  • こわかった。
    壊れていくのは殺される側だけじゃなくて、殺す側だけでもなくて。
    「ふつうのひと」がごく自然にのみこまれてゆくから、こんなことはあっちゃいけない。

  • 本の設定はおもしろいのだが、もうちょっとボリュームが欲しかったです。
    あっという間に読み終わってしまいました(^^;

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