ぼくのキャノン

著者 :
  • 文藝春秋
3.60
  • (15)
  • (17)
  • (32)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 110
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163224305

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「我らは村を守るために命を捧げると決めた。たとえ時代が変わっても、我らの思いは変わらない。たとえ歳月が我らを衰えさせても、決して思いは枯れない。たとえ命果てても、我らは永遠に村を守り続ける——。」

    最高だった!!!!!!!!!!
    久々の5つ星★★★★★
    素晴らしかったのです。

    相変わらず突飛でハチャメチャで・・・
    なんだけど、そこが好き。
    それでも、決して物語は色褪せないのだ。

    完成されている。
    どこもかしこも伏線だらけなのに、
    最後には綺麗にさっぱりまとまっているのだ。

    その後の村がどうなっていくのか、物凄く知りたい。
    しかし、想像は安易な気がする。
    きっと素晴らしい村になったに違いない。

    これは、凄かったなー。
    ホントに。
    あー、池上永一さんにどっぷり☆☆

    【6/1読了・初読・市立図書館】

  • 砲台(キャノン様)に見守られ、キャノン様の巫女であるオバァの采配でどこよりも豊かな生活をする村。
    しかし村には誰にも知られてはならない秘密があった…

    オバァ達によって慎重に守られてきた秘密が暴かれ、村は崩壊の危機に陥る。

    すごく切ない戦いをする話。
    自分の暮らす町をまもる、崩壊した故郷をたてなおす、そんな悲しい戦いは誰もしたくない。

    それはそうと、主人公の子供たちの遊びぶりにノスタルジーを覚え、笑い、村の行く末をドキドキ心配し、大人たちとのかかわりに涙して、大して長くも無い本なのに忙しいこと。いろんな要素が凝縮されてワッと迫ってくる、熱帯の森のような密度の濃さ。

  • キャノンさま……。<br>
    読み始めの頃はまさかそんなキャノン様が……。<br>
    と……ちょっと意外のような展開でした。<br>
    いや、むしろ物語としては王道なのかもしれないけど。<br>
    しかし切ない物語ですね。いろんな意味で。<br>
    生々しい叫びが聞こえるようです。<br>
    土地の精霊の語り部池上永一が、作家池上永一になるために、
    最後の気力を振り絞って土地の物語を語っているような気になりました。<br>
    <br>
    まあ、作品としては面白かったです。<br>
    よくできたお話です。泣けます。<br>
    十分に人に薦めるに足る物語です。<br>
    作家池上永一としての代表作にしていいでしょうね。<br>
    面白かったですよ。<br>
    未読の方は是非一度読んでみてください。<br>
    (20040714)

  • 時代を感じさせる箇所が
    読者の年齢層を決めてしまいそうで惜しいな
    時代ネタだけではない
    受け継いでいく郷土愛や
    大げさなくらいのシナリオが凄いのにな
    伏線がしっくり来てつながっていく!!
    池上さんの作品の中では、好きな本になるかも(^_^)

  • 沖縄のとある島。
    WW2により残された表に見える遺産、見えずに隠されている遺産により翻弄される村人を描いたファンタジー。

    壊滅した村が復興する過程がかなり強引だが気にしないことにする。

    マカト、樹王、千代が守ってきた秘密が9.11により漏れだし、村は再び崩壊の危機にさらされる。
    それをキャノン様と3人の孫達、雄太、博志、美奈が村を守ってゆく。

  • 舞台は沖縄、戦争の名残である巨大砲台を「キャノン様」とあがめる集落を、表に裏に統治する三人の老人。
    トレジャーハンターやゼネコンの魔の手が迫り、暴かれた秘密は繁栄の源かそれとも崩壊の標か。



    キャノンを崇める巫女として絶大な権力を有し、自警団「男衆」や、お色気部隊「寿隊」を操るマカト。
    表向きは隻腕の漁師だが、凶器と化した義手で村に仇なすものを闇に葬る役目をもつ樹王。
    凄腕の泥棒として盗品を闇オークションで捌いては、村の運営費を充填するチヨ。


    …文章にするとだいぶブっ飛んでますね(笑)
    でも読ませる力がスゴいのかあんまり違和感は感じませんでした。
    ちなみに主人公は彼らの孫たち三人です。こいつらもこいつらで濃い。というか登場人物みんな濃い!


    村の秘密を隠し繁栄を支えてきた旧世代の三人と、村への愛を胸に項が進むほどに成長していく次世代の三人の対比が良かったです。
    いちおう?現代小説ですが(9.11とかあるし)、スケールの大きさはSF的ですね。さすが。


    面白い本はいっぱいあるけど、ここまで純粋にワクワクする本は久しぶりでした!!!

    あー沖縄いきたい(笑)風を受けたい(笑)

  • 話の筋が途中まで掴みずらかった。概要が掴めてからはそれなりに楽しめた。もう少し沖縄っぽさを期待したが、自分の期待には至らなかった。

  • 表紙がいい!

    安心の池上永一。この人、文章は上手だとは思わないし話も大筋だと比較的古典的なのに、目が離せない魅力があるんだよなあ。ハジけていて、極端で、切なくて、恰好いい。
    沖縄戦がどうの~という視点でこの本を見るのは勿体ない。オバアら村の大人たちの「未来のために今」という信念が眩しい。麗華の結婚式も良かったなぁ。優しくってさ。
    子供たちの選択を、「君たち今はそれでいいかもしれないけど、将来絶対悩むことになるよ、まぁ人生そんなもんよねうんうん」みたいな感覚で見てしまう自分に愕然。

    関係ないけど、ドラマ版テンペストの真鶴(少女時代)がとっても合ってたなー。あの子に寧温までやってほしいなー。

  • 石垣島などを舞台とした作品です。

  • 2009.8 沖縄戦をテーマに世界の不思議まで巻き込んでに物語。読み応えあり。

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上永一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×