玻璃の天

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 626
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163258300

作品紹介・あらすじ

昭和八年。時代を見つめ謎に挑む令嬢と女性運転手。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和初期を舞台に深窓の令嬢と美貌の女性運転手が謎に挑む、“ベッキーさん”シリーズの続編です。
    ミステリーなのですが、視点が優しく、ちょっぴり物悲しい雰囲気で描かれています。
    個人的に、時々出てくる“お上品なユーモア”は勘弁願いたいのですが・・・それで−★ですね〜(笑)

  • ベッキーさんシリーズの第2話。日常の謎と呼ぶには余りにも重い当時の身分違いの悲劇と、国粋主義に傾倒する当時の不穏な空気が描かれている。鷺と雪のラストで226事件の場面で完結することは、街の灯の後書きで構想済みであったので、シリーズの中でも盛り上がりを見せる作。
    やはり順番に読むべきかな。

  • ベッキーさんシリーズの第2弾。
    「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天」

    「想夫恋」が一番好き。
    3編とも、大筋やミステリよりも、間に挿入されるいくつかのエピソードの方が強く印象に残った。
    軍人さんとのはなしとか、与謝野晶子の「君死にたまうことなかれ」の解釈とか・・・

    戦争に向かって進んでいく、きな臭い雰囲気たちこめる日本で、英子やベッキーさんのように違和感を覚える人たちがいたんだと、当たり前ながら再認識させられた。こういう人は少なくはなかったろう。それでも戦争は避けられなかったのか。。
    与謝野晶子が、たとえ弟を犠牲にしても日本中の「弟たち」に訴えかけたこと、そうやって声をあげることがいかに難しい時代であったか、ひしひしと感じた。

    「戦う相手を、同じ人間と思えなくするのが戦争です。わたくしは、軍人です。軍人になるしかなかったのです。しかし、戦争のそういうところを最も憎みます。わたくしの部下の一人一人も、戦のための道具ではありません。生きた人間です。そして戦場で向き合う相手も、命を持つ人間なのです。そう思うことが銃を向け合う時の、わたくしにとっての、礼なのです。」

    この軍人さん、また登場しないかな。英子といい雰囲気に発展していくのかと思ったんだけど・・・

    英子はおひいさまなのにこんなに賢くて、すごい。
    作中自分のことを「気が弱い」と言っていたが、うそおっしゃい!と突っ込みを入れてしまった。。気が弱い人の言動じゃないよ~

    「玻璃の天」では直木賞候補になり、第3弾「鷺と雪」で受賞されたそうで、「うれー」笑

  • 面白い

  • 昭和初期の上流階級の様子を知ることができ興味深い。少しずつ忍び寄る戦争の気配。凛として対峙するベッキーさんが清々しい。単に謎解き物としてだけではなく、人としてのあり方も考えさせられる。根底にある誠実な眼差しが心地よい。

  • 前作の<街の灯>から時間が過ぎ、英子お嬢様がとても聡明な女性に成長しているのが分かる。ベッキーさんの心にも迫る本巻はあっという間に読み進み、とても面白かった。

  • 2016.5.4読了。

  • ミステリ。華族。思想。お嬢様を取り巻く物事にピンとこずに驚いてばかりいた。それでいて現在を取り巻く空気と似ている。素敵だけど、どのお話も悲しかった。どうやらこれは2巻目のようだぞということは読みながらなんとなく感じていたけど、最初のも読もう。

  • 教養があるっていうのは硬も人生を面白くするのか、と、この人の本を読むたびに思う

  • 2/17

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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