- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163260600
感想・レビュー・書評
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陰陽師・安倍晴明とその友・源博雅が活躍する平安時代の物語小説。文藝春秋の「陰陽師シリーズ」としては、(絵物語を除いて)10冊目となる。
本書には、「月琴姫」から「浄蔵恋始末」まで、9編を収録。
ストーリー展開が基本的には同じなので、最近はマンネリ感も出てきていた。それもあってか、今回は、これまでのものとはひと味違った、ユニークなストーリー展開やエピソードが目立った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
男の友情と云う程暑苦しいものでも無く、男女の恋情よりも流麗とした関係。
此の一冊は夢枕獏のシリーズ「陰陽師」の中でも、晴明と博雅の時代風景と相俟った雅な関係を、最も燦々と表現されたものだろう。
晴明と博雅の関係のみに留まらず、此の一冊には美しい恋噺の章もある。
正しく、此の一冊は妖物や呪、陰陽道の噺よりも、人間同士の美しい関係をメインとしている。
季節感漂う草花や木々の生命。季節の芳香や色彩。そして素直な音色を奏でる事の力。
博雅の有つ純粋で真直ぐな感歎の言葉や奏でる笛の音色が、晴明の力にも優る、万物の芯を揺るがす自然な力を、此処では特に誇張されている。
そして、其れ故に晴明と馬が合い、無二の関係を築いている事がよく解る一冊だ。
全体で此の二人は、御互いに素直過ぎる程の、まるで恋情を告白するかの様な辞を口にしている。其れに対する相互の反応も見所である。
斯様な関係を築けたなら、如何程に僥倖だろうかと、沁々想わされた。 -
やっぱりこのシリーズは短編の方がいい。出だしは清明の庭。四季折々の花が咲くこの庭の描写は秀逸。作者がこの日本の自然を愛しているからこそですね。そして清明と博雅の禅問答もおなじみ。ただ、博雅の天然には清明も敵わない、といったスタンスから少しずつ変わってきているような気がします。この巻では目立つだけかもしれないけど、博雅最強じゃん?って感じが強すぎるかな。
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短編が9作。
晴明と博雅の仲の良さが良いです。
褒め合ってる感ですが、こんな怪異のある世であるなら、お互いを助け合う親友がいていいなと思いますね。 -
晴明の呪、博雅の笛が京の闇に響くとき――若き陰陽師・安倍晴明と雅楽の名手・源博雅が龍神、幽鬼、獄卒、怨霊たちが引き起こす怪事件を鮮やかに解決する大人気シリーズ。全9篇を収録。
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あれと思ったのは、安部晴明と源博雅が、晴明の屋敷で庭を眺めながら、酒を飲みながら、会話する場面。今までなら晴明の禅問答のような答えに納得のいかない博雅という構図が、今回は博雅の話に晴明が納得してみたり、問答になっても博雅が晴明を納得させるような図がいくつかの作品に見られた。
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2010.02.02読了。
晴明と博雅のコンビやっぱ好きだなー。
季節を感じられる晴明の屋敷の庭の描写もすごい好き。
博雅の吹く葉二や阮咸の音色は聴いてみたくなるし。とにかく引き込むのがうますぎ(笑)
どれも面白かったけど浄蔵恋始末が特にお気に入り。 -
いつも通り安心して読める。
「ゆこう」「ゆこう」そういう事になった。
この部分が好きです。
今回は短編が少し多め?なのかな。その中でも「魔鬼物小僧」が哀しくて好き。 -
読書日記。
いつもの通りの陰陽師。
このシリーズは短編集がいいですね。
読み終わるのが惜しくなるタイプ(最大の賛辞かも)。
そう思えるのはお話そのものよりも、やはりキャラクタでしょう。
登場人物の恬淡とした雰囲気。
だからこそちょっとした「こだわり」に鬼となってしまう人びとの事件が強調されるのかも。
キャラクタの中でも晴明と博雅の関係(会話)を見ているだけでもいい。
特に博雅がいい、ということになるのでしょうね。
ともあれ、今回も読み終わるのがもったいなかったです。
(2010年11月06日読了) -
最後の話がなんか、すきだったなぁ。