たまさか人形堂物語

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163277707

感想・レビュー・書評

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  • 装幀・デザイン:野中深雪
    装画・カット:曽根愛

  • ■祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。

    ■■古い人形店を引き継ぎ経営することになった主人公と、その店で働く二人の人形師とその周りを取り巻く人たちの物語。主人公のヒロインはわりと平凡な性格なんですが、脇のキャラが少し独特で個性的。ほのぼの物語りに見えて、ちょっと一癖二癖あるお話でした。

  • 推理物かと思ったのですが違いました。
    連続短編集でした。
    金持ちとしか背後が分からない従業員Aと
    まったくもって分からない従業員Bと
    雇い主、という3人のお店。
    Bは一体何なのか、という謎が、全ての話にちらほらと…。

    当然ですが、人形の話題が。
    ちょっと手作り熊さん欲しいな、とか思ったり。
    最後には…多分当事者になってしまったら
    同じように回れ右、しそうです。
    願望願望、とか呟いて…w
    結局、元の位置に全員納まる、のですね。

  • 「たまさか人形堂」は人形の修復を主とした小所帯の専門店。
    成り行き経営者の澪さん、我が道を行く青年・冨永くん、謙虚でスゴ腕ながら素性来歴一切不明な師村さんの3人で、今日も人形に関わるさまざまな人の想いに触れてゆく。

    軽い読み心地ながら、端々まで行き届いたつくりが信頼の津原泰水。
    毒の効いたエピソードが多いですが、生き生きした登場人物たちの仲よさげなやりとりと、多方面にわたる人形薀蓄のおかげで、後味よく読み終わりました。おもしろかったー!続編待ってます。

    忙しい忙しいと悪態つきつつ澪さんの前に現れすぎの束前さんが素敵すぎる。

  • 以下、編集中。

    読みづらい。
    場面の途中で主語がコロコロ変わる。わかりにくい。

    キャラ良し。
    一話完結のドラマ化すれば当たると思う。
    人形の依頼→蘊蓄→エピソード(ミステリー、人情)→修理完了

    話は良い。
    ビスクドール、ラブドール、いろんな人形。
    ぬいぐるみのエピソード。
    蘊蓄ある。
    だが薄い。

    言いたいことがたくさんありすぎるのか、主題が分散しすぎ。

    最後の章、意味不明。
    唐突過ぎ。
    人形関係ないし。

    ミステリーや人情にしては弱い。
    パイロット版?

  • 装画・カット / 曽根 愛
    装丁・デザイン / 野中 深雪
    初出 / 『Beth』vol.1〜8連載を改稿改題。

  • 「毀(こわ)す理由(わけ)」熊の縫いぐるみ、活人形
    「恋は恋」ダッチワイフ
    「村上迷想」雛人形
    「最終公演」チェコの人形劇
    「ガブ」人形浄瑠璃『日高川』
    「スリーピング・ビューティ」青い眼の人形

    ・この半年で最も面白かった本。
    ・澪(店主)、冨永(職人)、師村(職人)の玉阪人形堂。
    3人のほのぼのとした掛け合いに笑っていると、人形を通して、人間の奥部のしんと冷えた闇が覗く。魅力ある登場人物、人形に関する知識と人形観、人間(特に暗い心理)への洞察が織り成す唯一無二の物語だった。この笑いと恐怖のバランスは津原泰水にしか書けない!

  • 可愛らしい表紙とは裏腹に、こわい話、悲しい話も入っているのだけれど、作者はそれをさらりと書く。
    好ましい文章で紡ぎ出される、魅惑的な物語。
    続編が読みたい。

  • 祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる(「BOOK」データベースより)

    人形師として有名だった父が作った、自分に生き写しの大型創作人形。娘がその顔を壊した理由とは?小学校2年生の男の子が、毎晩共に寝る大事なテディベアの手足を引きちぎるのはなぜなのか・・・「毀す理由」

    冨永くんが友人から預かったのは、ダッチワイフから進化したラヴドール。リアルで美しい、少女のようなラヴドールの麗美が巻き起こした、一陣の風・・・「恋は恋」

    ひなのころ、人形の里・村上を訪れた澪。そこには附子の方という戦国時代の愛妾の伝説が残っていた。遠い親戚の家にお世話になる澪だったが、そこの兄弟のうちの兄・渉から、弟の衛には気を許すなと助言される。しかもその直後に渉は急な心不全で死んでしまい・・・「村上迷想」

    あまり自らを語らない師村さん。アルコールを介して思わず知ることになった、彼の昔の思い出話・・・「最終公演」

    ラヴドールの件で知り合った束前から、「ガブがまっている」という師村宛ての伝言を受け取った澪。ガブとは人形浄瑠璃の、狂気の表現で用いられる特殊なかしらの事だったが、師村にとっては特別の意味合いがあったようで・・・「ガブ」

    たまさか人形堂を閉めることを決意した澪だったが、祖母の思い出の「青い目の人形」と相まみえたり、束前の渾身の創作人形を目の当たりにしたり、何かと心揺らぐ出来事が舞い込んできて・・・「スリーピング・ビューティ」

    以上の6編。

    うちにもぬいぐるみの「くまちゃん」を就寝時に愛用する小学生男子がいるもので。
    どうも第一話目に心惹かれてしまいました。
    うちは意識して壊したりはしてなかったですが、あんまり可愛がり過ぎてもぬいぐるみってボロボロになるんですよ~。
    我が家も何度「外科手術」(うちではくまちゃんの補修修理の事をそう言ってました)をした事か!
    なかなかおんなじ生地って見つからないし、もとのボディはほつれまくっているから針を指すのにも慎重さを求められるし、失敗は絶対に許されないし!!
    世界でひとつの大事な人形って、素敵なんだけど管理はたいへーん(泣)
    でも愛する人形の為に、精魂こめてしまうのよねぇ。
    こういった気持ちをすべての人形にそそぐことができたら、たまさか堂の職人さんになれるのかしら?
    あ、いやできたらお客さんとして通うくらいにとどめたいですね、あはは。

    って、ワタクシの実感云々は置いといて・・・。

    人形にまつわる蘊蓄やトリビアが面白かったです。
    人形に込められた人の想いのあれこれも、色とりどりで読み応え有りましたしね。
    自分そっくりの人形の顔を、ほんの少し老けさせて修理したり、ただ修理するだけでなく、顧客が望む、本当のものを与えるってトコはうなるほどのうまさでした。
    フィギュア製作者と人形師の違い(人形師は、人形に耳の穴も開けるそうです)もなるほどと思わせられたし、ホントひとつひとつの挿話に無駄なものがないんですよね。
    お話の進め方がお上手だな~と感心しきり。
    ただラストがイマイチ。
    第6話には、かなりあれこれ詰め込まれていて・・・、いきなり終章に突入した感じ。
    それまでの5話では、色々と考えさせられる部分が多く、しみじみさせられた分、この6話のあわただしさにがっくり。
    もともとはっきりしたラストが好みだという事もあるのですが、少し中途半端に思えてしまいました。でもこれは単なる好みの問題かも。気にならない人は気にならないのかな?
    その他は全く問題なかったですね。
    大事な人形がある人もない人も、等しく楽しめる一冊です。

  • 冨永青年が…すごく、好みです……。
    彼の人形世界に無断で踏み込もうとすると、容赦無く撥ねつけられそう。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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