静人日記

著者 :
  • 文藝春秋
3.32
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本棚登録 : 479
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163287201

作品紹介・あらすじ

200余篇の生と死と愛の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 随分前に前作の悼む人を読んだことがあり、その続編があるとは知らずにたまたま読む機会が持てた。
    読み始めてすぐにこれは中々読み続けられないと思い少しずつ何日かかけて読み終えた。
    感想は正直重たくて、読み続けるのはしんどい。
    救いがあったのか無かったのかも分からない。
    主人公の悼みを続ける生活と普通に生活をするとの違いもよく分からなくなった。
    迷いながらも生きていくのはどんな生活を送っていても同じ事なのかもしれない。

  • まだ途中読みですが…。
    2年ぐらい前に「悼む人」を読んで衝撃を受けてしばらくしてから図書館でこの本に出会いました。

    読んでいくのがすごく苦しい。
    「悼む人」の内容結末がうろ覚えになっているのだけど、静人が放浪して、事故や事件で亡くなった人を悼む行為をするようになったのは親友の死からだったか…。

    最近自分にとっても身近でもあり、遠くもあり…という人がたてつづけに2人亡くなり余計に心に響く。静人のような人がいたらきっとその人たちも悼んでもらえたのかな…。

    でも、私の人の親。自分の子どもが静人のように死にとらわれるようになったらすごく悲しい。
    親を悲しませてまで赤の他人の死を悼んでどうするの?
    あなたにはあなたの生きる使命がほかにもあるでしょう?と思う。どこまでいったら満足なの?
    それでも悼み続けたいというなら、僧侶の道に入ったらいいと言ってしまうでしょう。
    お坊さんで生前の故人のことを聞いてくれる人は今まで会ったことがないし、私が遺族だったらそんなお坊さんにお経をあげてもらえたらすごく嬉しいし辛い気持ちも癒されそうな気がするのだけど…。
    仏の道に進むいうことは彼にとってはまた違うことなのかな…。

  • 悼む人 の静人の日記という体裁で描かれている作品。
    人を悼む。その人のいいところを、誰かに愛されたことを そういうところだけを心に刻む。
    心の奥深いところで読んだ気がする。
    すごく深いメッセージがあり、どう生きるか、どのように人と接するか、自分自身も深くいろいろと考えるところがあった。
    後半に出てくる、二人の女性との出会い、関わりが特に好きだった。

  •  「悼む人」のあと、まだ混乱している時に読んだからか・・・
    途中、読むのがとてもつらかった。
     天童荒太さんは、人が亡くなった現場を実際にまわって、自分だったらどのように悼めるだろうかを何回も試して、それを3年続けてようやく自分の中に静人が生きられるようになったそうです。
     その静人の日記。
     「7年の歳月を費やし」・・・・・悼む人のこのフレーズが、とても重く、深く感じられました。
     

  • 以前に読んだ「悼む人」、その関連作。死者たちを悼むために各地を旅する主人公、静人。「悼む人」ではその静人の奇妙な旅そのものと彼を取り巻く人々を描く小説であったが、この作品は、作者が静人の心象そのものを自らに投影するために三年間書きためた日記をまとめたものらしい。それこそ、架空ではあるが200人以上の死者、おもに事件や事故、自殺などの非業の死をとげた人々を各地で悼む旅。あまりにも淡々とした完全主観の日記風物語は、3分の2を読み終わったところで、かなり気分を滅入らせるものがある。思えば、本にしおりを挟んでパタンと閉じた瞬間から死について考え始める、という得体のしれない心理状態の積み重ねがかなり自分的にこたえたんだと思われる。まるで自分が追体験しているような気分になるこの文章力はすさまじいし、ここまで作家としての何かをかけて生きている作家も少ないかもしれない。悼む人を読んだ後に読むのをすすめる。

  • さらさらと読むことができた。人間って不思議なもので、死者になったとたんに忌み嫌うものとなったり逆に妙に美化されすぎたりする。どんな人もかつては良いところも悪いところもある、私たちとなんら変わりない生活を送っていたのにもかかわらず。
    静人という架空の人物を通して、多くの人の生と死を考えることができた。

  • 悼む人の続編。日記のような感じ。悼む人を読んでないとつらいかな。

  • 2017/1/28
    中々進まなかった。

  • もしこれが本当に日記なら、他人には理解できない情報の断片となるはずだ。しかし、この日記は、状況描写、心理描写が丁寧で、最初から他人が読むことを前提に書かれている。だから、これは日記ではなく、人の死を悼む場面限定の短編小説集である。作者は静人になりきるため、3年間,この日記を書き続けたのだという。しかし、作者が本当に静人になりきりたいなら、こんな蛇足的な小説を書くのではなく、実際に「悼む」行為を現場で行い、そのルポを書けばいい。その作業をもし1ヶ月でも続けられたなら、私は作者を偽善者ではないと信じられただろう。

  • 2012.4図書館で借りて読了。
    時系列的には「悼む人 」より以前の静人の行動になるのか?
    静人が悼む人達の背景にある出来事は、どこかで聞いたことのある事件や事故が多い。私達がなんとなくしか覚えていないそれを、ひとつひとつ記録し記憶してる静人は、悪い言い方をすれば、やはりどこか病んでるように見えるのが普通だろう。だから、彼にやり場のない怒りをぶつける遺族の気持ちもわかる。だけど、これは静人の日記で彼の苦悩がわかるから、彼の行動によって少しでも救われる人達がいるとホッとする。しかも「悼む人」では、死にしか対峙してないような彼が、きちんと今から産まれてくる命も見つめていて安心した。しかし、ここでも心を動かされた女性とお別れ…。小説とはいえ、静人の今後を心配してしまう。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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