岸辺の旅

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163289809

感想・レビュー・書評

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  • 3年前に失踪した夫が帰ってきた。
    しかも彼の体は海に沈み、蟹に食べられたという。夫の帰りを待つことにつかれてしまっていた妻は、夫と旅に出ることにする。

    死んでしまった人と旅に出るなんてなんだか突拍子もない事のように思えますが、物語の中では違和感はありません。ただ、淡々と色んな場所に旅します。

    そこではもう死んでしまっているのに気がつかない人や、同じく死んだ夫と旅に出て帰って来たものの、記憶を失ってしまった女性などが出てきます。

    夫は死んでしまった原因は病気だったと言っていますが、だとしても、残されたものの事も少しは考えてほしかった。そんな事に考えも及ばない状態になった人が自ら死を選ぶのだとしても。

    最後夫は光になります。
    残された妻の未来に幸あれ。

  • 興味深く読み始めましたが、今ひとつピンときませんでした。「ポプラの秋」「夏の庭」の方が、個人的には好きです。

  • 静かな本。
    3年前に失踪した旦那さんが突然帰ってくる。
    「俺の体は、とうに海の底で蟹に喰われてしまったんだよ」

    それから夫婦の旅が始まる。水の音がする場所を。

    胸がキューンってなった。あったかいけど、常に不安がある感じ。
    でも、やっぱりせつないなー。

  •  第68回カンヌ国際映画祭受賞作品の映画を見て、原作の小説を読んだ。
     「この世」でやり残したこと、大切な人に言い残したことがあって、主人公優介は「あの世」から一時的に戻ってきたのだろう。
     「岸辺の旅」とは、含蓄のあるタイトルである。「彼岸」が彼(優介)のあの世で、「雌岸」が彼女(瑞希)のこの世で、二人はその間を巡る旅をしているという意味だと解した。

  • 2015年読了

  • 深津絵里と浅野忠信の映画での
    役のイメージが強すぎて
    小説として楽しめなかった。

    どこから現実で
    どこから幻想なのか

    自分の記憶や目に見えているものの境目が
    曖昧で

    でも それは別に重要なことじゃない

    思い出に生きて
    今の現実にしっかりと生きてないからといって
    不幸とは言えないし

    幻想でも愛した人と時間を共有できているのであれば
    それは十分幸せなことな気もする。

  • 3年前に行方不明になった夫が帰っきた。ただし、死者として。全ての時間が止まっていた妻は、夫とともに旅に出る。
    死んでから3年かけて妻の元へ帰っきた夫の足取りを二人辿っていく。
    ぼんやりとした霧が立ち込めているような情景。
    私も死んだら誰かと岸辺の旅に出るのだろうか。

  • 失踪した夫が三年ぶりに戻ってきて、空白の時間を一緒に旅するファンタジー。夫はすでに亡くなっていて、死者と生者の想いが廻る物語。
    夫婦それぞれにどろどろとした環境にありながら、静かに穏やかにいられるのはなぜだろうか。
    満月、蟹、海、滝と水の流れ……。いくつかのキーワードで展開されていく。
    映画化されるとのこと、これが映像になるのが少し想像できない。

  • 映画化されたという事でこの本の存在をを知り、初めて湯本さんの作品を読みました。夫の死を受け止められない妻の想いが通じたのか、夫が突然帰ってきて岸辺を旅するのですが、その旅は夢なのか現実なのか、はたまた幻なのか。霧がかかったモヤッとした内容で、読み進めていくと登場人物全員が亡くなっているようにも思えたり、あるいは全員生きているようにも思えたり。フワリとした文体のせいか、泣けることもなく、穏やかな気持ちで読了しました。

  • 死者との距離感が極めて現代日本的で面白かった。

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著者プロフィール

1959年東京都生まれ。作家。著書に、小説『夏の庭 ――The Friends――』『岸辺の旅』、絵本『くまとやまねこ』(絵:酒井駒子)『あなたがおとなになったとき』(絵:はたこうしろう)など。

「2022年 『橋の上で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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