風がページを....

  • 文藝春秋 (2003年11月27日発売)
3.72
  • (3)
  • (7)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 75
感想 : 7
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784163654300

みんなの感想まとめ

多様な本の魅力を深く掘り下げた一冊で、読者は著者の独自の視点を通じて新たな作品に出会うことができます。特に、硬質な文体が心地よく、読書日記形式で展開される内容は、文学やノンフィクションにおける選書のセ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文学

  • 池澤夏樹さんの書評は、本当に面白い。

  • 今日は移動時間が長かった。で、乗り換えも多かったから、こういう「開いては20分、閉じて、また開いて15分…」という読み方に最適な、この本を連れ出した。「感想」は、こちらたなぞうでのPipoさんのものに、ほとんど「ご同感」なので、そちらをトレースしてください(って、手抜きでごめんなさい、Pipoさんにも許可無くご登場いただいて失礼)。私には、これくらい硬質な文体がちょうどいい気分でした、特に今日は。書評の対象となっている本との距離の取り方が絶妙だ、と感じます。一箇所だけ引用します。「学者は研究の成果を業界の中でトレードしているだけではいけない。成果は最後には万民の手に渡らなければならない。」…「学者ギョーカイ」にも様々あるでしょうが、それがうまくいくといいなあ、と思った次第です。「学者」の側の問題もとても大きい、もちろん。でも、「そうではない側」にもまた問題はあろう、と思うのです。目先の一文の得にもならぬ(ように見える)営為を日夜重ねている人たちを、ただそれだけで「無為徒食」と看做したりそのことを蔑したりするのはいけないかな、と。ちょっと本論から外れましたが…。「読みたい本」も増えましたが、それより「このひとがこういう読み方をしているんだったら、もう割って入る余地はないな」と思わせられるものも多かったりして。

  • ロマンチックなタイトルと装丁のブックガイド。週刊文春に連載の読書日記をまとめたものとのことです。『パレオマニア』で微妙に外した(笑)こともあり、池澤さんの繊細な筆致でどういうふうに本を紹介されるのか興味を持って、かつ慎重に開きました。体裁はまんま読書日記。紹介されている本をみて感じたことは、・文学作品はヨーロッパもの多し・国内・国外ノンフィクション多し→特に科学・宇宙もの・SFは少数精鋭感アリ・新書多しでした。前3つは、個人的に好みのセレクト。文春読者の年齢層を考えたわけではないと思いますが(笑)、新書が多いのは意外。選ばれる作品は総じて、内容に厚みがあって読みごたえのあるものが目立ったように思います。サン=テグジュペリ夫人の回想録『バラの回想』の書評には、読書マインドをわしづかみにされてしまいました(笑)。文体は池澤さんには珍しく硬質っぽくて、私好みかも。書評もさることながら、池澤さんの読書観が垣間見えるフレーズが愉しいです。「長い小説は…、それこそ寝食を忘れて読みふけったほうがいい。半端に現世に戻ってこないで、あちら側へ行きっぱなしがいい」、おっしゃる通りです。「翻訳書というのは多くの場合、一回しかチャンスが与えられない」…重版かからないもんなー(涙)。「その人の作ならば必ず買って読むという作家を五人か十人持っていると、人生はしのぎやすくなる」は、乱読な私には人数がちょっと微妙ですが、大筋納得いたします(笑)。池澤作品の芳醇さをご存じの向きには味気ないかな…とも思いますが、紹介される本の量では十分お腹いっぱいになり、読みたい本も続出。巻末索引も実用的です。でも、池澤さんの読書に関する本領発揮…という面ではほかの著書に譲るように思いますので、この☆の数となってしまいました。ごめんなさい。-----[2008.10.4 未読リストアップ時のコメント]-----地元新聞の「書店員さんによる本の紹介」コーナーからのお取り置きです。タイトルが素晴らしく、表紙イラストも可愛い…もう書店に並んでいたら買っちゃう(笑)。でも、『パレオマニア』で感じた、「池澤さんはタイトルの付けかたで引っかけられるのでは?」という疑念がちょっと消えない(笑)ので、しばらくキープしておいて考えようと思います。

  • 読むのに時間が掛かった重い一冊。でもそれは、しみじみと味わうために掛けた時間。
    実際に読んでみたい本も10冊くらい拾えたし、個人的に実りのある読書だった。

    9.11を途中にはさんだ5年間に亘る読書日記。本の選び方といい、考え方といい、とても憧れる。
    読むたびに、著者の言う「風」が自分の頭の中にも通り抜けたような気がした。

    装丁も良い。イメージにぴったり。
    あと、新しかったからかもしれないが、インクの「乗り」が綺麗だった気もする。触るとちょっとデコボコしてて。

全5件中 1 - 5件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

(いけざわ・なつき)
作家。1945年、北海道帯広市に生まれる。小学校から後は東京育ち。30代の3年をギリシャで、40~50代の10年を沖縄で、60代の5年をフランスで過ごす。ギリシャ時代より、詩と翻訳を起点に執筆活動に入る。1984年、『夏の朝の成層圏』で長篇小説デビュー。1987年発表の『スティル・ライフ』で第98回芥川賞を受賞。その後の作品に『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『静かな大地』(親鸞賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)など。その他、自伝『一九四五年に生まれて――池澤夏樹 語る自伝』(聞き手・文 尾崎真理子)、編著に『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』(全30巻)、『池澤夏樹=個人編集日本文学全集』(全30巻)などがある。

「2026年 『遙かな都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池澤夏樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×