映画覚書 Vol.1

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163659206

感想・レビュー・書評

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  • 『青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン! 』(リトルモア)にはかなり笑わせてもらったが、本書はそれよりやや真面目(!)に映画について論じている。読んでいて新鮮だったのは、ハリウッドの洗練されたスタジオ製作システムが崩壊し、映画の表現方法(あるいは技法)がリアリズムに近接するようになったとい「時代の流れ」について言及している部分だ。70年代に入ると、ルーカス、スピルバーグ、デ・パルマ、スコセッシといったニュー・ウェーヴが登場し、アクションを機軸とした展開の速い作品がもてはやされるようになるわけだが、たしかに僕らも「生々しい映像」が映画の醍醐味と考えるムキがあるように思う。そういう意味では、1968年のアンシャンレジームへの反対運動から世界の脱構築が進み、それまでなんとなく固定化していた「人生の枠組み」みたいなものが砕けてしまって、信仰心もブッ飛んで、日々の生活が希薄化したことが原因かもしれない。「刹那」が跋扈するようになった世界は日に日に「映画のイメージ」と境界が曖昧になりつつあるようで、先を見通すことのむつかしさに改めて思いを馳せる今日このごろ。

  • ひたすらマニアック。映画ってこんなに深く見るもんだんだなーとお勉強になった本。ただ、この本が冒頭で褒めているブライアン・デ・パルマの「ファムファタール」。観てみたいと思ったものの、他の本では酷評されてたり、どうも手が出せてない。

  • 690

  • 作家阿部和重が雑誌「Cut」で連載していた映画評論などをまとめたもの.中原昌也や重鎮,蓮実重彦との対談もあります.映画学校出身の方なのでさすがに視点が鋭い.

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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