コークの味は国ごとに違うべきか

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 428
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163713700

作品紹介・あらすじ

世界はフラット化し、国境に意味なんてなくなった。これからは市場のグローバル、生産もグローバルに!そんな「常識」をまるまる信じて大丈夫なのか?答えはNO。いまも国境のあちらとこちらに「違い」は生き残っているのだ。"セミ・グローバリゼーション"の世界で勝ち残るためにはどうすればいいのか?一流企業の成功と失敗から学ぶ、ハーバード・ビジネススクールきっての俊才による、ほんとうに役に立つ経営教室。

感想・レビュー・書評

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  • 「テクノロジーの発達によって世界がフラット化したと言われて随分経つけど、実際にはまだまだ国の違いって大きいよね。そんな『セミ・グローバリゼーション』の状況はこの先数十年続くと思うけど、国境を越えてビジネスを行う企業が、クロスボーダー戦略を作成する際に役に立つフレームを作ってみたよ」という本。
    差異を分類する観点(CAGE)、価値創造を分析するための構成要素(ADDING)を用いたスコアカード、取りうる戦略(AAA)など、国によるビジネスの違いを考えたり説明したりする際に参考になりそう。他にも、Learn-to-burn ratioなど使えそうなアイデアが随所にちりばめられている。また、「親会社への知識の還流」は、もっと意識的に行いたいと思った。

  • ITの世界を中心に世界はフラット化してきていると言われていたが、実はそうではない。今でも国境はあり様々な違いがあることを筆者の印象や感想ではなく事実をベースにえぐり出しており、国ごとの差異を活用すれば新しい勝ち方があることを知らしめている本。結局はグローバル市場は存在せず、あるのは各国の市場があるだけであり、特定の進出国で勝っているものの総和で規模が大きいだけ。CAGEのフレームワークで考え差異をうまく取り入れ戦略を組み合わせると自ずと勝てる可能性は高まる。ただしそれを実行するには複雑化された戦略を統合する組織能力が必要。

  • 発刊当時に読みとても感銘を受けていたのですが、再度手に取りました。本書、中身は大変有益なのですが、やや難解な点もあるので、できたら2度くらい読み返すと理解がかなり深まるのではないでしょうか。
    ゲマワット教授はグローバルストラテジーの世界的な権威で、本書の冒頭にも書かれているように、本書はアカデミクス向けではなく、あくまで実務者向けを意図して書かれている本です。グローバルビジネスで悩んでいる実務者の方は是非読むことをオススメしますが、翻訳の質はイマイチなので、できたら原書も購入して読めると最高だと思います(そもそも日本語の題名の付け方で品位がだいぶ落ちている)。
    本書で紹介されるツール(フレーム)は大きく3つです。1つめは、国の差異を分析する際に用いるCAGEフレームワーク。これはCulture(文化)、Administration(制度)、Geography(地理)、Economy(経済)の4つの面で国の差異を分析せよ、ということで、日本を主語にすると相手国によって差異の大きさや種類がだいぶ変わってきますし、どの差異に影響を受けるかは業種次第であるということが理解できます。
     2つめのツールはADDINGスコアカードと呼ばれるもので、これはグローバルビジネスにあたってしっかり価値創造ができるのかを6つの要素面から検証するためのツールです。巷で出版されているグローバル本のほとんどが「グローバルビジネスは必須だ」という盲目的な前提の元で議論が進められますが、ゲマワット教授の素晴らしい点は、グローバル事業が価値を生み出すのか、生み出さないのならやるべきではない、というスタンスであることです。当たり前ですがこのスタンスは素晴らしいと思いました。
     3つめのツールはAAA(トリプルA)と呼ばれるもので、これはグローバル戦略を3つのオプション(Aggregation:集約、Adaptation:適応、Arbitrage:裁定)に分類しています。Aggregationは国の差異をどう「克服(overcome)」するか、Adaptationは差異に対してどう「調整・修正(adjust)」するか、そしてArbitrageは国の差異を「活用(harness)」するという内容で、どれが優れているというものではなく、これらのオプションを幅広く念頭に置きながら戦略を作りなさい、というガイドラインとなっています。
     繰り返しになりますが、本書は他のグローバル経営本とは違って、(1)実務者にとって実用的な内容になっている、(2)価値創造を究極の目標としている、(3)国の差異があるという現実に目を向けたケースバイケースの戦略立案を念頭に置いている、という点で大変優れていると感じました。オススメです。

  • 筆者の言いたいこと!
    世界はフラット化してない!
    実際はセミ・グローバルな状態である。

    「グローバルに考え、ローカルに行動しろ」は間違い。「ローカル化しろ、ローカル化しろ、ローカル化しろ」が正解
    実際はこんなに両極端な戦略を組み合わせるとろくなことにならない。

    国際経済における「重力モデル」=2国間の貿易はそれぞれの経済規模に比例し、2国間の距離に反比例する。

    完全な現地化や標準化という極端な方法は避ける必要がある。

  • 未感想

  • 読書メモ参照

  • 進出すべき地域を分析する際のフレームワーク
    C : Cultural
    A : Administrative
    G : Geographical
    E : Economic

    グローバル化による付加価値を分析するフレームワーク
    A : 販売数量,伸び率の向上
    D : コストの削減
    D : 差別化
    I : 業界の魅力と交渉力の向上
    N : リスクの平準化,最適化
    G : 知識の想像

    セミグローバル化戦略
    A : Adaptation
    A : Aggregation
    A : Arbitrage

  • 日本の経営本を連続で読んだので国際経営本をば。グローバル化はただそれでけで真という思い込みを否定し、コカコーラやP&Gなどが思うほど成功していない事例(成功している事例も)を解説している。「グローバルに考え、ローカルに行動する、という誤謬」「なぜグローバルするのかという問いに対する答え」。グローバルに活動する企業の経営者は読んでおくと良い。なんとなく正しいと思っていることをきちんと検証することが重要であることを再確認。

  • 「世界はフラット化し、国境に意味なんてなくなった」。そんな「常識」を信じて大丈夫なのか? 答えはNO。いまも国境のあちらとこちらに「違い」は生き残っているのだ。“セミ・グローバリゼーション”の世界で勝ち残るための方法について、ハーバード・ビジネススクールきっての俊才が、一流企業の成功と失敗の事例を交え解説する。

    第1部 フラット化しない世界
    第2部 国ごとの違いを成功につなぐ

  • グローバル化する世界に警鐘を鳴らし、世界は「セミグローバル」と呼ぶ一歩手前の段階が続いていくとの主張を実例(コカコーラやウォルマートなど)を元に説明する経済学の本。
    実際に国際案件に関わったことのある人ならば当たり前のことだが、明示的に4分類として「文化・制度・地理・経済」にわけて考えることで新しい一面に築くことも確かに存在する。

    自社の何をコアとして変えずに、何をローカライズするのかというのは経営者の永遠の悩みなのかも。

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