ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163718101

感想・レビュー・書評

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  • ベトナム戦争を扱った「ベスト・アンド・ブライテスト」で有名な著者の朝鮮戦争についての著作。この著作のゲラ刷りに手を入れた後に交通事故で亡くなったという。最後の著作だ。雲山(운산)まで進出した米軍は、1950年11月に鴨緑江(압록강)を越えて攻撃してくる中国軍と衝突したとの記述で始まる。朝鮮戦争開始時点からの時系列ではなく、時期の前後があるので読んでいて戸惑うときもあるが、ワシントン、北京、モスクワ、東京などでの軍人、政治家達の立ち位置、考え、声も拾い、立体的に朝鮮戦争の流れを把握できるように記述している。

  • ハルバースタムの最後の仕事、Coldest Winter

    それは、なされなくてはならない仕事であった。
    あたかも、私の来訪を55年間にわたって待っていたようだった。

    忘れられた戦争、
    始まりは、国務長官アチソンンの大きな過ち。
    金日成は、3週間で勝利を目指すが、3年にわたる戦争となった。

    アメリカはフランスの轍を踏んでいる、ただし、別の夢をみながら。
    そして、アメリカは、中国を失う。

    改めて知る、1950年代の戦い@韓半島

  • 第二次世界大戦の勝利によって偉大なるヒーローになったマッカーサーは自分自身を神格化し、そのため、ときの大統領トルーマンや統合参謀本部を出し抜いて朝鮮戦争を泥沼化していったのだ。 死地に赴くのはいつも大多数の一兵卒で、一握りの高級軍幹部はかすり傷ひとつ負わないのだ。 ところで、蒋介石が率いていた国民党の軍事・政治構造は腐敗し、蒋自身もその日暮らしを求めていたのだから目も当てられない。蒋政権が崩壊したのも 納得がいく。また、スターリンと金日成の関係も興味深い。

  • 「アメリカの司馬遼」こと、ハルバースタムの絶筆となった作品で

    ある。本書を手にとって初めて気が付いた。第二次世界大戦、

    ベトナム戦争、湾岸戦争等の本は何冊も読んだ。だが、朝鮮戦争

    についてきちんとした作品を読むのは初めてだ。

    第二次世界大戦とベトナム戦争の間の戦いはアメリカでは「忘れら

    れた戦争」と呼ばれているらしい。私も忘れがちかも知れぬ。アジアで

    起きた出来事なのに。反省…。




    「それはスターリンが共産世界で好んだやり方で、本当の政治的支援

    組織を持つ者はあつかいにくくなり、本当に独り立ちしたと思い始める

    ことをかれは知りすぎるほど知っていた。だれでもいい、適材の者を

    連れてきて英雄だと宣言し、あることないことお構いなしに神話をでっち

    あげ、権力の座に据えるほうがまだましだ。」

    そうやって権力の座についたのが、北朝鮮建国の父。かの偉大なる

    金日成。スターリンが作り上げた神話は、今でも北朝鮮で生きている。




    それにしても、邦訳が読み難い…。

  • 比較的政治を含めた範囲では、読み易くできている。
    ただ、それほど目新しい部分はないので、期待しすぎるのも良くはないでしょう。

  •  私は「ベトナム戦争」という単語を知っている。
     枯葉剤というものを撒いて、戦争が終わった後も土地の人々にたくさんの傷跡を残したことも、アメリカ人兵士が戦争が終わった後に心に傷を残し、PTSDという言葉が生まれるきっかけとなったことも知っている。知識としては、だけど。
     ベトナム戦争に比べると、朝鮮戦争は「忘れられた戦争」になる。

     この本は、1950年代に起きた朝鮮戦争について、書かれている。
     実際に戦争に行ったアメリカ人兵士たちのインタビューから描かれる戦争の状況と、それを指揮するマッカーサーをはじめとした将軍たちや、ルーズベルト大統領たちとの権力闘争の様子、それらが交互に描かれる。

     権力闘争は本当にパワーゲームで、皆「いかに己が優位か」を示すために、朝鮮戦争を用いている。
     そして、実際のアメリカ人兵士たちは、状況もよく分からないまま戦い、必死で生き延びている。

     こういう作品を読むと「現代で自分に何が出来るんだろう」と、無力感を感じる。
     けれども、今の時代に何もかもを力で解決する「英雄」が産まれたら、きっとこの作品に出てくるようなパワーゲームが巻き起こるんだろうなとも思う。

     そんな現代において「正義の話をしよう」という作品をアメリカが出版しているのは実に象徴的。

     恣意的な部分も多々あるだろうし、この本に書かれたことが真実だとも思わないけど(話を読ませる、面白くさせるためにうまく書いていると思う)、今まで考えることもなければ知ることもなかった視点での歴史を読ませる1冊である。下巻で「朝鮮戦争」にどんな幕を下ろすのか楽しみである。

     活字中毒ならオススメ。
     長いです。まだ上巻しか読んでいない。

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