誰も知らなかったココ・シャネル

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163755106

作品紹介・あらすじ

シャネルはナチスのスパイだった――コードネームは「ウェストミンスター」。
独仏の秘密文書を発掘、世界の新聞の見出しを飾った話題の書を独占翻訳。

感想・レビュー・書評

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  • ファッション界に君臨するシャネル。彼女の人生は権力のある男性たち(チャーチルなど)が必ず周りにいた。そして、なぜスパイをすることになったのか。彼女の新たな一面を知ることができる。

  • おもしろかったー。シャネルには興味無かったけど、シャネルNo.5を嗅いでみたくなった。第二次大戦下のパリの様子についてほとんど知らなかったので、興味がわいてきた。

  • コルセットでいじめぬかれた服装から
    女性を解放する新たなファッションを生み出し常にその最前線に立ち続けるココシャネル。
    でもその生き方は順風満帆ではないし
    決して清廉潔白な人でもなかった。
    エレガントなお洋服を生み出す反面、
    モルヒネの常習者で、ユダヤ人を心底軽蔑し、ナチス政権のスパイでもあったシャネル。
    タモリさんが美しいものをつくるには
    その10倍汚いものを見なければ
    それは本物の美しさではないって言ってた言葉を思い出します。
    何かに飛び抜けて秀でた人というのは、歴史的な偉人をみてみても
    人間的にとんでもない面をもってたりするから。
    たくさんの男の人に愛されて
    でも決して一つ所にとどまれない。
    シャネルの生き方を凄いと思う反面
    なんともいえないシャネルの孤独感を感じながら
    複雑な思いで読みました。

    それでも79歳になっても恋をする情熱のあるシャネルはかっこいい。
    決して男性に見返りを求めない姿勢は
    読んでいてはっと背筋をのばさせてもらった。

  • 資料番号:011486420
    請求記号:289.3/シ

  • 帯文:"ナチスのスパイだった!" "ベルリン陥落時のソ連奪取文書から決定的証拠を発掘"

    目次:プロローグ、第1章 修道院の反ユダヤ教育、第2章 No.5誕生、第3章 英国王室の傘のもとで、第4章 ハリウッド進出、第5章 ディンクラーゲという男、第6章 お針子たちのストライキ、第7章 ホテル・リッツ、第8章 ナチスのスパイとなる、第9章 香水利権争奪戦、…他

  • 今更ながら読破、彼女みたいなしたたかな生き方しないと大きい名前になれないのだなと実感。

  • 「SLEEPING WITH THE ENEMY -COCCO CHANEL'S SECRET WAR-」の翻訳本(2012/08/30発行)。

    香水にドレスなどでファッション界に多大な影響を与えたことで知られる、二十世紀を代表するファッションデザイナー、ガブリエル・シャネルの評伝。

    本書では、今まで否定されていたシャネルについての悪評(売春、娼婦、反ユダヤ主義、売国奴etc.)が、関係者へのインタビューや公文書他の資料から事実であったことを明確にした異色の評伝です。
    特に第2次世界大戦中のドイツ占領下のパリで積極的にナチス第三帝国に協力し、スパイ活動に従事していたことを、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、アメリカに散逸しいた史料を元に重点的に暴いており、シャネルと関わりのあった、王族、政治家、詩人、芸術家など、当時ヨーロッパを代表する様々な人々が、どうシャネルと関わり、協力したのか書かれています。

    そのため、1940年前後のヨーロッパの政治や経済及び芸術と云った西洋史について、ある程度予備知識がないと話の内容について行きづらいところもありますが、興味深い内容であると思いました。

    それにしても、79歳の老婆になっても年下の男を愛人にする衰えることの無いシャネルの色欲には、驚くばかりです...

  • ファッションには縁が遠い私もココ・シャネルの名前は知っている。
    1883年生まれで孤児院育ちから、華麗な遍歴を重ねたココ・シャネルは第二次世界大戦中ドイツのスパイの協力者であったらしい。以外と知らなかったのだが、当時のヨーロッパは反共、反ユダヤからナチス親派も以外と多く占領下のパリでもドイツの占領を戦争よりはましと受け入れ、ドイツ人に群がる人もいたらしい。戦後ドゴール政権ではドイツ協力者は厳しく追求されたがココは個人的な友人のチャーチルの口利きもあり罪を逃れた。
    当時の愛人ディンクラーゲについてはドイツスパイとは知らなかったと押し通したようだ。
    ただ、本書を読むと元々半ユダヤであったことや、昔の愛人ウエストミンスター公の影響もありナチスドイツに嫌悪感は無く、ドイツの捕虜になった甥の解放や、権利を奪われたと感じている香水のシャネル社社長ユダヤ人のヴェルメール兄弟から会社を取り戻そうと画策する辺りは、政治的な動機ではなく、自分の都合だけのようである。結果としてはヴェルメールがシャネル社のブランドを守るためココ・シャネルを守っていたりする。
    88まで生き、晩年には大統領宮に招待された。やはり強烈な人なのだろう。

  • 「SLEEPING WITH THE ENEMY」って、すごいタイトルだなぁ。

    バイタリティがあり、最後の最後まで仕事に生き、そして恋に生き、だけど安定した幸せはついに得られなかったシャネルの孤独な人生は、これまで本にもなり、映画にもなり、多くの人に知られてきた。
    だけど、彼女が強烈なユダヤ人嫌いで、対独協力者であったということはあまり語られてこなかった。この本ではディングラーゲという大物スパイを介してナチスと繋がっていたことをクローズアップし、いかにして罪を逃れたかまで言及している。(チャーチルが一枚かんでいるそうだ。)
    シャネルが生まれた1883年から1971年88歳で亡くなるまでの生涯を、戦争におけるヨーロッパの動きを丁寧に説明しながら追ってくれるので、歴史のお勉強にもなり、たいへん興味深い一冊でした。

    ココ・シャネルは印象深い多くの言葉を残している。

    「もしも翼のない姿で生まれたのなら、翼をはやすための努力を惜しんではいけない。……早起きしてよく働きなさい。やってみて損はない。精神は活発に、体は活動的になる。」

    「孤独ほど悪いものはない。孤独は男にとっては、自分が何者なのかを知る手助けになることもある。だけど、女は孤独によって壊れてしまう。」

    2012年12月16日 arcana伊豆にて読む

  • シャネルはちょっと前に映画になったり、本が色々でたり話題になっていたけど、「ブランド」のイメージが強くて、私にはどうしても興味がわかなかった。今回はスパイものなので、買って読んでみたら、あまりの面白さに2日で読み終わってしまった。
    シャネルがナチスのスパイだったということが書かれているんだけど、この本の特徴は、スパイだったことを、それほと非難していないことだ。これが、作者の書き方のためなのか、翻訳者の訳のためなのかはわかならい。この本全体が、作者の論評や感想よりも、誰かへの報告書のようなイメージをもたせる書き方になっている。何年にだれそれがだれそれに会って、こんな会話をしたと何々の文章には書いてある、みたいな感じだ。ただし、それが、退屈かというと、全然退屈ではないのだ。
    あとがきからの連想だけど、この作者がアメリカで情報部の仕事をしていたためかもしれない。想像よりも文献や証言の方が、真に迫っていて面白いものだ。
    ナチスのフランス占領という戦争の時代を背景に、その時なにがおこり、人々はどのように行動したのかが、整理されて書かれている。
    印象的だったのは、ドイツがパリに侵攻する前に、パリは煙でいっぱいになるところだ。占領前に、政府が書類を燃やしていくのだ。政治とは情報の蓄積であり、それを敵に渡してはならないのだろう。そして、ドイツが敗戦を迎えると、逆にドイツ占領時の書類を燃やして撤退していくのだ。だけど、燃やしきれない書類は残り、占領した側の手におちる。今回のシャネルのスパイの話は、ソ連の書類がフランスに返還され、それを作者がみつけて、はじめて展開していくのだ。
    もう一つ印象的なのは、シャネルの愛人でドイツのスパイだったディンクラーゲについての描写だ。作者はスパイであるディンクラーゲを悪い人物としては書いていない。なぜなら、ドイツのためにスパイ活動のプロであり、軍人として使命を果たしたものだったからだ。死後の記述は彼に墓地に関するこんな表現だ。「四十年以上にわたって祖国に使え、二度の対戦を戦ったドイツ軍人にふさわしい最後の地だった」。
    最後に、そして最大に魅力的なのはもちろんシャネル自身だろう。スパイであろうと、戦後そのことを隠し、うまいこと逃げおおせた卑怯者であろうと、彼女の魅力にかなうものはないのだ。
    戦後、再びショーを行った彼女の作品はあまりよい評価を得なかった。彼女は70を越えていた。失敗の中でも彼女はモデルのドレスにマチ針をとめていうのだ。「わかるでしょ、続けたいの」「仕事を続けて勝ちたいのよ」。それが全てだったのだろう。そしてそれだけで十分だったはずだ。彼女も、彼女の周りの人々も。

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