ステーキを下町で

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163761206

感想・レビュー・書評

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  • 京都のうどん、はおいしそうだ。

  • ネットでオススメされていた『サンドウィッチは銀座で』を読みたかったのだが、残念ながら図書館になかった。同じ作者で何かないかと見つけたのがこの本だった。

    飾りの少ない文章で「旅」「食」「酒」について書く。自分の食べた感想よりも他の人との会話や食べている様子、料理人や製作者の話を重視している。

    例えば帯広の豚丼を扱う章では、十勝内陸の開拓をしようと入植し、その後豚を持ち込んだ事から始まり帯広の養豚の歴史を書いてから有名店「ぱんちょう」での豚丼との対面を書いている。

    ここまで書かれると、ただうまいものというよりも背景を含めその土地その想いを食べるような気持ちになる。そのためによく取材をしていると思う。

    また"佳き居酒屋は旅の杖である"という名言を残す筆者の気持ち良い飲みっぷりもぜひ読んで感じてほしい。

    食べる事にその事以上の意味を持たせながら全く説教くさくない。南は沖縄から北は北海道まで、日本のあちこちのおいしいものとそれを作っている人たちに触れられる本である。

  • 各地の美味しいものの紹介エッセイ(^^)美味しいものだけでなく、その背景まで書かれていて読みごたえ抜群!文章の合間の谷口ジローさんの漫画がまた食欲をそそります(^q^)♪

  • 本を読むと、紹介されている場所や舞台となった地を訪れてみたくなるものだが、それでも、ここは無理、ここはいつかは行ける、となんとなく判断はできる。
    平松洋子の食エッセイ『ステーキは下町で』は、著者が日本各地を訪れ、うまいもの、うまい店を紹介している。
    そのどれもが、うまそうで、味わいのある店で、すぐにでも訪れてみたくなる。
    だが、私には無理めなところがある。
    東京は赤羽にある「まるます家」という居酒屋だ。
    朝9時開店。50ほどある席が午前中にほぼ満員。先代が「俺 朝から酒が飲みてえ」と言って昭和25年に始めたディープな店だ。
    大衆的なのに入れない理由、それは、私が下戸だからである。
    平松さんの食エッセイの魅力は、グルメな店がミシュラン的に次から次へと紹介されるのではなく、訪れた平松さんが食事を楽しみ、お店に料理に作った人に敬意を払う、それが読者にも伝わることだ。
    この人はおいしそうに料理を食べ、そしてうまそうにお酒を飲むんだよな。
    酒が飲めないと人生の何十パーセントか損している気がする。
    まあ、酒飲みが酔っ払っている間に本は読めるのだけれど。

    この本にもう一つ気になる場所が取り上げられている。
    それは、昔、行こうとして行けなかったところ、縁がなかった場所。青森県下風呂温泉だ。
    津軽海峡に面したこの温泉になぜ行こうとしたか。
    それは、私が学生時代、観光事業研究同好会という長い名前のサークルに入っていて、ここは観光地のあり方を研究、調査し、発表するという活動をしていたからだ。
    学生の分際で何を偉そうことを、と今は思うのだが、そういうものだったのだから仕方ない。
    その年・大学2年のときの研究テーマは「温泉地の再生」で、温泉地が、80年代の今! (小泉今日子がアイドルだった時代だ)どう、新しい時代の旅行者のニーズに対応していくか、なんてことを調べようとしたのだ。
    下風呂温泉のほかに、岩手県の夏油温泉、山形県の銀山温泉などが候補にあがった。
    前年の調査地が岡山県の倉敷だったので、今年は西ではなく、北の方へ行ってみたいというのが、サークル全体の空気だった。
    ところが、東北から一転、調査地は群馬県草津温泉になってしまった。
    サークルの前代表が、そのテーマにするなら歴史のある温泉地でなければいけない、という鶴の一声を発したからだ。
    まあ、そのとおりかもしれないけれど、草津はいいところだったけれど、東北をゆっくり旅する(調査合宿のあとは各自自由行動となる)機会は失われた(さらにその夏、当時の人気テレビ番組だった「アメリカ横断ウルトラクイズ」の予選を突破していた私はスーツケースを手に成田空港に向かったが、ジャンケンに負け、飛行機に乗ることかなわず、人生始めての海外旅行の機会も失った)。
    青森県下風呂温泉、津軽海峡をはさんで函館の夜景が見える宿。ここで著者は、名物のあんこうのフルコースを堪能する。
    いいなあ。ここはいつか行けるかなあ。

  •  去る3月12日に急逝した梅本洋一が「nobody 2012 Best」の中で書籍部門のベストに挙げていた『野蛮な読書』。その著者・平松洋子の新刊『ステーキを下町で』(文藝春秋 刊)を手に取った。北海道・帯広へ飛び、元祖の「豚丼」を頬ばる。鹿児島県立伊佐農林高校を訪ね、同校自慢の黒豚のブーブーという健康でうまそうな鳴き声を聞く。下北半島の北の突端であんこう尽くし。東京でも、京成立石「宇ち多゛」でガツとレバーに昂ぶり、東向島「カタヤマ」で510gのステーキと格闘する。
     本書のクライマックスは、2回あるように思う。1つは、上野不忍池の「二東マッコリ」で噛みしめるホンオフェだ。ホンオフェというのは、エイの刺身を発酵させたもので、韓国南部・全羅道の名物である。私もソウル・東大門市場(トンデーモンシジャン)の店で挑んだことがあるが、一噛み毎に襲ってくる強烈なアンモニア臭、ビリビリと舌を痺れさせる電気のような刺激、噛み心地の悪いゴリゴリとした食感(いつ飲みこんでいいのか分からない)など、あれほど手ごわい食べ物はない。本書の登場人物たちもこれにはだいぶ参っていたし、運んでくる韓国人女性の店員が「私、ホンオ、ぜったい食べられません」などと正直なことを言ってくれるので、読者たるこちらの面目も少しは立ったようである。
     クライマックスのもう1つは、東北の三陸鉄道・北リアス線でごく少数だけ販売される伝説の駅弁「うに丼」のフィーチャーだろう。この「うに丼」は、今話題のクドカン脚本の朝ドラ『あまちゃん』のモデルとなったもの。ドラマを見て興味を持った方には、ぜひ本書をお手に取っていただきたい。
     梅本洋一は、平松洋子の「侠気溢れた文章が好きだ」と書いた。私はといえば、自分はさんざん食べ物や飲み物について手前勝手に書いておきながら何であるが、どうもこの人のわいわい突き上げてくるようなうまさの描写は若干、肌に合わない感じがある。
     ──と、そんなことを、第三京浜を走るプジョーの中で議論し合ったりすることも、もうできないのである。この無性のさびしさは、日々こたえている。

  • 20130518 取材と自分の意志が出ているしっかりした文章。読んでいて感情移入出来る。楽しいエッセイだと思う。

  • とにかく、我がふるさと北海道の帯広の豚丼を絶賛しているので
    お勧めである。
    「ぱんちょう」、そして依田勉三の晩成社、さらに帯広の
    養豚の歴史にも触れていることが素晴らしい。
    ちなみに、現在のNo1は「とんた」。
    ここにも、チャレンジしてほしいものだ。

    月島、そして東向島の肉の話もそうだけど、
    全体的に肉の話が、読んでても美味しかった一冊だ。

    • アセロラさん
      こんばんは。こちらにコメントさせていただくのははじめてですね。

      豚丼好きです^^
      今年のゴールデンウイークに帯広の美味しい店を巡りましたが...
      こんばんは。こちらにコメントさせていただくのははじめてですね。

      豚丼好きです^^
      今年のゴールデンウイークに帯広の美味しい店を巡りましたが「ハゲ天」の豚丼が良かったです。天ぷらもサクサクで。また食べたいです。
      帯広は美味しい物がたくさんありますね(^ー^)
      2013/12/07
    • ヒョードルさん
      アセロラさん、コメントありがとうございます!
      ハゲ天、帯広人には老舗です。そして、以外にも豚丼も美味しいんですよね。
      六花亭に柳月、お菓...
      アセロラさん、コメントありがとうございます!
      ハゲ天、帯広人には老舗です。そして、以外にも豚丼も美味しいんですよね。
      六花亭に柳月、お菓子も素晴らしいですよね!
      2013/12/12
  • 『サンドウィッチは銀座で』に続く、平松洋子と谷口ジローによる食のエッセイ。北海道から都内、青森、九州、沖縄、三陸と日本全国を酒とともに食べ周る。平松洋子の美味そうな文章に谷口ジローのこれまた美味そうな漫画にたまらず、涎が出てしまいそうだ。今回はやたら肉類と正統派の居酒屋が登場する。何とも魅力的。

    第四話に登場する赤羽のまるます家は確か久住昌之・谷口ジローの『孤独のグルメ』にも朝からやってる居酒屋として描かれていた。

  • 平松洋子さんサイン会「ステーキを下町で」刊行記念

    日時 2013年3月10日(日) 14時~
    会場 東武百貨店池袋店7階 旭屋書店特設会場
    お問い合わせ、予約先 03-3986-0311
    定員 100名様(要予約)
      2月23日発売の「ステーキを下町で」¥1575
    お買い上げのお客様、先着100名様に整理券の配布を致します。電話でのご予約も承っております。

    文藝春秋のPR
    「胃袋のおもむくままに食探訪
    食をめぐる痛快エッセイ、今回は地方へも足を伸ばし、帯広の豚丼に三陸うに弁当、京都のあんかけうどんに沖縄そばまで、一気食い!
    担当編集者から一言
    「オール讀物」で好評連載された平松洋子さんの食べ歩きエッセイ「いまの味」が、『サンドウィッチは銀座で』に続き、またまた単行本になりました。下町の510グラム(!)ステーキから早朝営業の大衆酒場、東京駅のエキナカグルメまで、胃袋のおもむくままに食探訪。今回は地方へも足を伸ばし、北は帯広の豚丼から三陸うに弁当、京都のあんかけうどんに沖縄そばまで、一気食い! もちろん前作同様、漫画家・谷口ジローさんの思わずよだれが出そうな絶品カットも満載です。(HS)」

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著者プロフィール

平松洋子=1958年、倉敷生まれ。東京女子大学卒業。エッセイスト。食文化、暮らし、本のことをテーマに執筆をしている。『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる私』『忘れない味』『下着の捨どき』など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平松洋子の作品

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