空色バトン

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163805405

作品紹介・あらすじ

母親の死によりひもとかれた25年前の同人誌。あのころの想いは、時代を、場所を、性別を越えてつながっていく-児童文学の旗手が少女期の想いを瑞々しくつなぐ連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 連作短編集です。
    笹生さんの児童文学も好きで、雰囲気がそのままで良かった(^-^)
    等身大の主人公たちがどの話もいいなぁ、と思えました!

  • (2011.08.10読了)(2011.08.07借入)
    日経夕刊の読書欄で、お話作りが上手になった、と紹介されていたので、図書館から借りて読んでみました。ごく平凡な人たちのごく普通の生活が描かれているだけなのにお話としてちゃんと読めるので、確かに上手かもしれない。
    6つのお話が収められており、語り手が変わり、年齢が変わるのですが、登場人物が重なるので、連作短編集ということになります。
    作品名は「サドルブラウンの犬」「青の女王」「茜色図鑑」「僕のパーマネントイエロー」「パステル・ストーリー」「マゼンタで行こう」です。読んでいるときは気が付かなかったのですが題名に色が付いているようです。パステルだけは、色の名前ではなさそうですが。
    話の中心になるのが、小学校の同級生だった四人の女性、樹村ショーコ(望月ショーコ)、吉野、森川、陣ノ内、です。

    ●「サドルブラウンの犬」
    語り手セイヤくんです。望月ショーコの息子です。高三です。
    望月ショーコ、専業主婦、40歳、が亡くなって、お母さんの3人の友人たちがお葬式にやってくる話です。死因は、急性心疾患とのことです。
    ショーコさんの最期を看取ったのは、娘のマドカちゃん11歳です。
    お母さんの3人の友人たちは、中学の時に漫画の同好会で一緒で、その時発行した同人誌を持ってきて棺に入れてくれということだった。お母さんが漫画を好きだったなんて知らなかった。
    ●「青の女王」
    語り手は、陣ノ内アキさんです。小学校の五年生です。富士山の見えるまちに引っ越してきました。転校生です。絵描きさんになるのが夢でした。
    テストの時に消しゴムをなくして困っていたら樹村ショーコさんが自分の消しゴムを半分に切って分けてくれました。
    ショーコさんは、陣ノ内さんが絵に興味があることがわかったので、森川さんと吉野さんに陣ノ内さんを紹介しました。
    四人の交流のお話です。
    ●「茜色図鑑」
    語り手は、吉野さんです。中学三年です。漫画家を目指して雑誌に投稿しています。
    漫画同好会で、文化祭に同人誌を発行することになった。
    仲良し4人組に、野球部の芹沢君が飛び入り参加。
    学校行事担当の志村先生に「文化祭参加許可証」を申請に行ったら、不登校の平岡君をメンバーに入れてくれ、と頼まれた。
    平岡君は、扱いにくかったけど、全く協力してくれないわけでもなかった。
    同人誌作りの話でした。
    ●「僕のパーマネントイエロー」
    語り手は、芹沢ユウイチ君です。二度目の大学受験で合格した二流私大の商学部一年生です。スキーサークルに入部しています。
    コンパに誘われて行ってみると、森川ヒロミさんに会ってしまった。漫画同好会の同人誌を一緒に作ったあの人です。森川さんの小学校時代のあだ名はドラミちゃん。
    森川さんは簿記の専門学校に通っている。
    芹沢君と森川さんにその後の同人誌メンバーのことを語らせたりしています。
    ●「パステル・ストーリー」
    語り手は、望月ショーコさんです。主婦です。
    子供が二人います。長男セイヤは八歳。長女のマドカは一歳。
    旦那が単身赴任して行ったので、車の運転を習って、自分で運転するしかなくなった。
    四苦八苦の末、やっと運転免許を手にした。
    陣ノ内さんが個展を開くというので、森川さん、吉野さんと会場で会うことになり、車で出かけました。
    ●「マゼンタで行こう」
    語り手は、吉野カオリさんの娘さんです。14歳で、中学2年生。
    父親と母親が離婚したので、母親の故郷に引っ越してきました。
    偶然見つけた母親たちが中学時代に作成した同人誌に掲載されていた故郷の街角の写真を手掛かりに散歩していたら、ケータイを落としてしまったようです。
    散歩の途中から、若い男が後をつけているのに気が付いたので、大急ぎで自宅にかけ込んだら、ケータイを拾った男が落とし主に渡そうと追いかけ来ていたのでした。
    追いかけて来た男は、望月セイヤ君でした。母親の友人の子供です。
    セイヤ君は、高校を卒業し、居酒屋で働きながら、通信制大学で勉強しようとしているそうです。セイヤ君やその妹のマドカちゃんとなじみながら新しい街になじんで行くようです。
    (2011年8月23日・記)

  • 「今夜も宇宙の片隅で」的な連作短編集。正しく空色バトンだった内容でタイトル上手いなぁ。

  • 40代で突然死してしまった母親の死。
    出てきた25年前の同人誌。
    関係者たちの青春と今がカラフルに煌めく連作短編。

    装画 / 石居 麻耶「夢待ちの街、君待ちの空」
    装幀 / 野中 深雪
    初出 / 『別冊文藝春秋』2010年5月号・7月号・9月号・11月号、2011年1月号・3月号

  • 富士山の見える田舎町。
    家の手伝いもせずに、年頃らしく喧嘩とエロいことばかりで頭をいっぱいにしていたセイヤの母、ショーコが突然亡くなってしまった。

    遺品整理のときに見つけた母ショーコが学生時代に友人たちと作った同人誌。

    クールで大人びていた絵がうまいアキ。
    がさつで人を笑わせることばかりしている森川。
    頭が良くて面倒見のいい吉野。
    おっとりしていてメルヘンチックな乙女のショーコ。

    漫画やイラスト好きだったの幼かったあの頃の思い出と、大人になった現在、彼らの子供たち。

    青春ですね。吉野バージョンで引きこもりだった平岡とのやりとりが、よかった。
    オトナたちが子供だった時間。夢が大きくて、現実は少しだけ知っているところ)^o^(

  • 第一話は現代日本の地方の町で、高三の夏、突然母を亡くした男子高校生が見つけた母の遺品。母親が息子と同じくらいの年頃に、学校の友達と作った一冊のマンガ同人誌をキーワードに繋がってゆく、昭和後半と平成の今、過去と現在を結ぶ人間模様を描いた連作集。

  • 登場人物が順番に主人公になっていく連作短編。学校のことや友達のこと。絵を描いたりマンガを読んだりするのが好きな女の子が出てくる。
    2014/5/13

  • 装丁に惹かれて。うーん…なんだか読みにくい文体…。斜め読みで読了してしまった。バトンのようにお話が繋がった連作短編集。2012/133

  • 読了。

  • 【収録作品】サドルブラウンの犬/青の女王/茜色図鑑/ぼくのパーマネントイエロー/パステル・ストーリー/マゼンタで行こう
     痛くも懐かしい思いがする。子どもとして読み、大人になって読み返したい、そんな本。

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著者プロフィール

東京都生まれ。慶應義塾大学文学部人間科学専攻卒業。1995年『ジャンボジェットの飛ぶ街で』が講談社児童文学新人賞佳作となる。1996年『ぼくらのサイテーの夏』でデビュー。同作品で第30回日本児童文学者協会新人賞、第26回児童文芸新人賞を受賞。2003年『楽園のつくりかた』で第50回産経児童出版文化賞を受賞。その他の著作に『世界がぼくを笑っても』『バラ色の怪物』などがある。

「2015年 『楽園のつくりかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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