ディアスポラ

著者 :
  • 文藝春秋
3.43
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本棚登録 : 120
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163807508

感想・レビュー・書評

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  • 48u3

  • 軽く読み始めたが意外と読み終わるまで時間がかかった。
    タイトルから感情移入がなかなかできなかったみたい。
    「デイアスポラ」とはまき散らされたものというギリシャ語が語源だとか。
    つまり、難民を意味しているが難民はいつか元の場所に帰れるがデイアスポラは帰る場所がない人たちで区別されているらしい。

    10年前に書かれていたことから予言小説と評する向きもあるが、世界を飛び回っている著者ならではの発想だったのではなかろうか。
    放射能がまき散らされたことで国外に逃げた人たちと残った人たちを対比とした二作品。
    どちらも不幸。放射能は恐ろしい。と訴えた小説なのだろう。

    福島が起こって切実な事故になったが…
    海外に脱出して生き延びるより国内で受け止めたいと思った。
    虚無感の漂う二作品。

  • ■へー、勝谷さんてこんなシリアスな小説も書いてたんだ。って驚いた。

    ■東日本大震災での福島の原発事故を予言していたかのようなストーリーがちょっと鳥肌モノだった。時間の経過と共に認識が薄くなってしまっていることにもちょっと焦った。

  • もし日本全土が放射能で汚染され、国家が国民に国外退去を命じたとしたら、私は素直に国外に逃げるだろうか。それとも日本に留まるだろうか。
    2001年にこの小説を著した著者はすごい。だって、それはもう遠い現実ではなくなってしまったのだから…
    http://bit.ly/s7B8eb

  • んー。教養不足なんだろうか、物語に入れない。テレビをつけたら映画をやっててとりあえず最後まで観てしまった感じ。小説でないといけなかったんだろうか。発行当時に読んでいれば違ったのだろうか。

  • 原発事故後に住めなくなった日本を題材に2編の小説が収録されている。書かれたのは、福島前の2001年である。最初の話は、あまりにも設定が突拍子もなく、展開が冗長で途中で読むのを止めようかとも思った。しかし、直接の接点は何も無い次編を読んで両編それぞれの完成度に驚いた。対比的な2編の小説がセットになることで、日本人というものについて、はたまた生き残るということの意味について考えさせられる、極めて奥の深い内容であることに気づく。

    世界中に離散した日本人の難民の内、中国に避難した日本人は、チベットの奥地を割り当てられる。仕事も無く、配給だけで生きて行く全てを失ったはず日本人達が、そんな辺境に至ってまでも断ち切れない日本人特有の醜い村社会。そして、死んだ際には現地のしきたりに沿った鳥葬と呼ばれる遺体を野生の鳥に食べさせて葬られる。

    一方、避難せずに村に残った日本人。放射能が命を蝕む現実を淡々と受け入れながら、黙々と自らの仕事に没頭する少数の人達。そして、彼らは故郷の土に還っていく。

    生きる事とは何か・・・それを二つの物語の対比がその本質を浮かび上がらせてくれる。

  • あの勝谷さんがどんな小説を書くのだろうと思っていましたが,
    引き締まった印象の文章,どこかニヒリズム感の漂うストーリー展開は
    らしいといえばらしいですが,
    他方でロマンチストな一面を感じました。

    「事故」のために,国土全体が廃墟と化した日本。
    3.11後,決して絵空事とは言えない戦慄を覚えました。

    そのような決してあってほしくはない世界が描かれた小説ですが,
    決して絶望的ではありません。
    表題の「ディアスポラ」のラストは,たとえようもなく美しいと感じました。

  • 元週刊誌記者でコラムニストの勝谷誠彦氏の小説集。およそ10年前に月刊誌に掲載されたものだが、震災があり、原発事故があった現在の日本の状況をあるいはそれらを経験した後の日本の未来を描いているかのようであり、勝谷氏の「想像力」におどかされる。
    勝谷氏の小気味良い文体が好きで、以前からエッセイなどは読んでいたが、小説ははじめて読んだ。
    エッセイ同様、テンポ良く進む文体が、非常に読みやすかった。

  • sep 29,11 at maruz
    borrowed on oct 1, 11 yayo
    no emotion

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著者プロフィール

コラムニスト。写真家。1960年兵庫県生まれ。
「SPA!」の巻頭コラムをはじめ、雑誌に多数連載を持ち、TV番組にも出演。
2013年10月よりサンテレビ「カツヤマサヒコSHOW」でメイン司会を務める。
対談「怒れるおっさん会議 in ひみつ基地」(西日本出版社)、「日本人の『正義』の話をしよう」(アスコム)のほか、「ディアスポラ」(文藝春秋)「平壌で朝食を。」(光文社)などの小説、評論「バカが隣りに住んでいる」(扶桑社)など、著書多数。
365日毎朝10時までに400字詰め原稿用紙で12枚以上を送る有料配信メール「勝谷誠彦の××な日々。」は多くの熱狂的読者を持つ。

「2015年 『カツヤマサヒコSHOW 酔談3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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