烏に単は似合わない

  • 文藝春秋 (2012年6月26日発売)
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本 ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784163816104

作品紹介・あらすじ

松本清張賞を最年少で受賞、そのスケール感と異世界を綿密に組み上げる想像力で選考委員を驚かせた期待のデビュー作は、壮大な時代設定に支えられた時代ファンタジーです。

人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?

あふれだすイマジネーションと意外な結末――驚嘆必至の大型新人登場にご期待ください。

感想・レビュー・書評

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  • 姫様方のつばぜり合い。
    火花も散れば恋も散る。

    相手に良かれと思って
    したことが状況をより
    複雑にして、

    その相手や周りの人達
    を苦しめる様が在々と
    描かれてます。

    そう、その相手を思い
    やる言動は、

    実のところ自分の想い
    に酔ってるだけでは?

    ・・・って私もドキッ(汗

    まあこんなにチヤホヤ
    されてたら自分に酔う
    のも致方なしですかね。

    頭の中で、女優さんを
    勝手にキャスティング
    ・・・

    お、大河風でなかなか
    良きかも♪

    ただこれ衣装代かかる
    だろうなあ(笑

  • 新たなシリーズものに手を出してしまいました。若宮を巡る四人の姫の攻防が面白かった!
    キャラが立つとは、まさにこのこと。四人の生い立ちや個性が全く違っていて、誰が若宮に選ばれるの?と、ドキドキしながら読んだ。
    そしてラストは皆さんと同じく、しっかり騙されてしまった。
    どんな風に続編は続いていくのかな?

  • 平安王朝風ファンタジー。
    構成はむしろミステリかも。
    若い作家さんのデビュー作で、ラノベかアニメかというキャラ設定ですが、面白く読めました。

    「八咫烏」が支配する世界「山内」。
    宗家の世継ぎである若宮のお后選びが行われます。
    四つの大貴族の家からそれぞれ姫君が選ばれて登殿し、桜花宮で1年間暮らすことになっていました。

    東家のあせびは、桜花宮の春殿へ。
    南家の浜木綿は、夏殿へ。
    西家の真赭の薄は、秋殿へ。
    北家の白珠は、冬殿へ。
    (真の名は公開しないしきたりのため、仮の呼び名ですが)

    あせびは当主の次女で、長女のピンチヒッター。
    お后を目指す教育を受けてきた姉とは違い、屋敷から出たこともなく暮らしていたのが、すべてを初めて見聞きし体験するという展開に沿って、読者もだんだんと宮殿のことを知ることになります。
    若宮の実妹の藤波は、あせびと知り合いで、無邪気に気に入ってくれている様子。

    華やかな美女で口も達者な真赭の薄(ますほのすすき)。
    きりっとして気取りがなく大人っぽい浜木綿。
    小柄で色白、お人形のように綺麗だが無表情な白珠。
    おっとりとして琴の演奏には才能がある、あせび。
    それぞれの家の事情や権力争いが背景にあります。

    贅をつくした御殿で、季節の催しが華やかに行われますが。
    肝心の若宮が姿を見せないまま、次々と事件が起こります。
    峻厳な山の内に宗家の宮殿があり、周りに大貴族の館があるんですね。
    仕える召使達は烏にも人にも変身できるという設定。
    宮烏ともいわれる貴族は人の姿のままだけど、本質は同じ。

    お姫様方が烏である必然性がないので、そんなことは忘れて読み進んでしまいます。
    白珠の初恋はあまりにも幼いけど、切々と展開し、引き込まれました。
    先を予想させる要素がちらほら出てくるものの、はっきりとは限定されていないのが、これはもしかしてミスリード?と思わせ‥
    最後に怒涛のように謎が明かされます。

    20歳の大学生が書いたにしては、色々な場面の描写で飽きずに読み進められるし、しっかり考えられている構成。
    ああ、あれはそういうことだったのね~と、トントンと繋がっていきます。ただ、ミステリとしてはフェアとまでは言えません。
    ファンタジー設定を前もって全て書き表しているほどではないので、え、そうなの?と思うところがあり。
    心理的に、というか、読者の心情として、ここまでは無理でしょうという部分も。

    若宮の登場が唐突で、感情移入できないため、その推理間違ってるんじゃないのと言いたくなってしまう(笑)
    何を偉そうに‥いや偉いんだろうけど(苦笑)
    最後に一発だけ、へこまされるところに思わず一番納得してしまいました。
    タイトルの意味は、読み終わるとわかり、なるほど!と。
    欠けている部分を補うようなものなのか?若宮の視点での作品に続くようです☆

  • 日本神話にも登場する「八咫烏」が支配する世界を描いたファンタジー。
    平安時代の後宮を思わせる人物・舞台設定と、物語のミステリアスな進行が面白い。

    すっかり騙された。
    真相が分かった途端、可憐な笑顔の下に隠された女の強かさに鳥肌が立った。
    振り返ると、確かにあの女は胡散臭い。
    「悪意が無ければ、全てが許されるのだと知っている」女の怖さ。
    そしてその女に対して、はっきりと拒絶の言葉を投げる男の爽快さに救われた。
    幼馴染の悪友との再会と、花見台での笑顔の訳にきゅんとなった。

    そんなもの着ても着なくても、何も変わってない、と。
    お前はいつだって、一番強くて素敵だった、と。

    ラストの文章で表題の意味が分かる。
    このシリーズはこのまま追いかけていきたい。

  • 平安絵巻を彷彿とさせる、絢爛豪華なファンタジー。
    舞台は八咫烏一族が司る宮廷。
    日嗣の御子のお妃候補として登殿した4人の姫君。
    春のあせび・夏の浜木綿・秋の真赭の薄・冬の白珠。
    そして、なかなか姿を現さない若宮。

    とにかく姫たちの衣の描写が美しくてうっとり。
    蘇芳・瑠璃紺・山吹・露草・紅・薄萌黄・檜皮色・・・
    世の中には、こんなに美しい”色”があるんですよね。
    登場人物の名前の由来はあの和歌から?などと思い巡らしたり、
    古典や着物が好きな私は、もうそれだけでうれしい。

    白珠の初恋には泣きました。
    真赭の薄の意外に男前なところも、浜木綿の清々しい潔さも魅力的だけれど、
    王子様は結局、無邪気なお姫様を…といった少女マンガ的な結末と思いきや、
    そうではありませんでしたね。
    松本清張賞ということで、ミステリーなんだろうとは思っていましたが、
    まさか、まさかの鮮やかな反転でした。

    満を持して登場した若宮の見事な(?)お裁き。
    それが少々鼻につくところもあったので、
    「ガツンと一発」に驚きながらも、よくやった!(笑)
    続編が楽しみです。

  • 先にアニメを観たのですが小説を読んだ方が面白いときき、読み始めました。でも全部で12冊…ちょっと構えてしまってましたがアニメでよくわからなかったところも『こういうことか』とわかって良かった〜!頑張って少しずつ読み進めようと思ってます。

    • ねこさん
      まなさん、こんばんは♪
      私は小説を先に読んでアニメも観たのですが、断然小説の方が面白かったです。
      すっかりハマって、続けて読んでしまいました...
      まなさん、こんばんは♪
      私は小説を先に読んでアニメも観たのですが、断然小説の方が面白かったです。
      すっかりハマって、続けて読んでしまいました(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)
      2025/01/29
    • まなさん
      ねこさん、ごめんなさい。せっかくのコメント下さっていたのに気づかなくてすっかり返信遅くなってしまいました。
      やっぱりこのシリーズアニメより面...
      ねこさん、ごめんなさい。せっかくのコメント下さっていたのに気づかなくてすっかり返信遅くなってしまいました。
      やっぱりこのシリーズアニメより面白いですか?
      私も今図書館で借りている本を読んでしまったら一気読みする予定です。(^O^)
      2025/02/15
    • ねこさん
      いえいえ(⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠) お返事ありがとうございます。
      私は断然小説派です。若宮推しなので、前半が特に面白かったです♪
      いえいえ(⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠) お返事ありがとうございます。
      私は断然小説派です。若宮推しなので、前半が特に面白かったです♪
      2025/02/15
  •  NHKでアニメ化されると知り、手に取りました。著者にミスリードされ、最後はあっと言わせる展開に続きが楽しみになりました。これが映像化されたら、どうなるのだろう(正式な原作は次の「烏は主を選ばない」ですが)というのも。
     無知は罪である事、自分の身内を殺した者やその娘にも情けをかけるなど、若宮や主要な4姫のキャラクターが際立つ中、謎解きがしっかりしていてあっという間に読了しました。

  • 王道で進んでいた物語がストンと切り替わるのが気持ちいい。
    作中で髪を切る場面のある姫が一番好き!(ネタバレに配慮してみる)
    烏である必要や習性はちょっと飲み込みきれなかったが、次巻以降で明らかになっていくのかな。

  • 設定はおもしろいが、主人公の視点が次々と変わり、読みにくい。力量のある人が取り入れるのは効果的だが、この著者はまだ…。無邪気な悪意にはうなづけるが、驚かせようという意図が前面に出過ぎて、また人物像があまりにも漫画的で、深みに欠ける。

  • 978-4-16-3816-10-4

    C0093¥1350E

    烏に単は似合わない (からすにひとえはにあわない)

    2012/06/25.第1刷発行

    著者:阿部智里(あべ ちさと)
    装画:苗村さとみ
    発行所:株式会社文藝春秋
    ---------------------------
    カバー袖より
    八咫烏が支配する世界”山内”で始まった
    日嗣の御子たる若宮の后選び。
    春殿のあせび、夏殿の浜木綿赭赭
    秋殿の真赭の薄、冬殿の白珠(しらたま)

    大貴族四家から集められた四人の姫は 陰謀や恋心を胸に美貌と再起を競い合う。
    だが、肝心の若宮不在のまま次々と事件が起こる。
    后に選ばれるのは誰…?

    ---------------
    あせび
    楽人を多く輩出する東家の二の姫。春殿を与えられ、うこぎら侍女と住まう。

    浜木綿
    商才にたけた南家の一の姫。夏殿を与えられ、芋麻ら侍女と住まう。

    真赭の薄
    文化芸術に優れた西家の一の姫。秋殿を与えられ、菊野らと侍女と住まう。

    白珠
    武力を誇る北家の三の姫。冬殿を与えられ、茶の花ら侍女と住まう。
    ----------------------------------------------------------------

    お話の展開については、ほかの方も書いておられますので割愛。

    このお話の面白さは、トラップが上手に仕掛けられていること。

    この本、表紙には4人の女性(入殿した各家の娘たち)が描かれ、それぞれのキャラクターをほのめかしている。
    日嗣の御子の后「桜の君」が統括する桜花宮の見取り図
    ●山内衆:宗家の近衛隊。藤花宮と桜花宮を含めた御所の警備
    ●頸草院:山内衆の養成機関。
    ●藤宮連:普段は宗家女房として使え、有事の際は敬語・戦闘に当たる。

    次に、宗家・四家 家系図

    それから大前提に至るあらまし(メモへ)がありまして、序章となります。

    序章には「私」という人物、「すみ」という人物、桜模様の着衣を身に着けた巻き毛の人物の3人が登場し、いずれも5.6歳の子どもとして描かれている。
    --------------

    表紙の絵。家系図。桜花宮の見取り図。ここまでで読者は(少なくとも私は)
    ふ~ん、この4人がおきさき候補で、女の駆け引きがあるのか?
    見取り図が乗っているとは事件性 有だな。 と考えた。

    次に 序章で3人の人物(幼い子どもとして)登場し、このうち一人だけが「娘」と書かれ性別がわかる。が、この文章の終わりには、風景、景色が書かれ、雅な雰囲気で、のどかな、やさしい余韻を残す。
    これが、物語の導入部の雰囲気作りだけではないとこの時点で気が付く読者がどのくらいいるだろう?

    一通り、四家娘たちのキャラクターを色濃く感じさせる出来事がつづき、中でも東家の姫(あせび)は好意的に(緊急の代打で登板し、芸の才を持ち、悪心なく)描かれる。
    たぶん多くの読者は、この人が主人公で、后に選ばれてほしいと応援する気持ちになるような出来事が多々仕込まれている。
    物語はこの姫から始まっており、印象も強い。

    家系図にもあり、代々のしがらみ、宗家の力と四家の力。
    この物語では、子は卵で生まれるそうだから、その辺りはよくわからないが、戦国のお家騒動と国盗り合戦の女性版のよう。
    男性版との違いは 「女の性のような、産む性のしがらみ(執着)も含めた部分」なのかも。

    終章では、序章がリフレインされ さらに若宮の内面をうかがわせて終わる。



    この作品はまだまだ続きがあるので、この巻は作品全体としたら、舞台設定と、立ち位置のお披露目なのかもしれない。

    この宗家の若宮(つまりは后を選ぶ)が強烈なキャラクターで、しがらみと運命に縛られて、諾々とそれを受け入れるだけのぼんくらではないらしいところも、次巻の展開を期待させる。山内サイトに対抗する適役も必要になってくるだろうし、その存在は強烈そう。

    アニメや漫画はみやびやかなシーンだけでもファンがつくかも。類似品がなければ。

    長編としての作品を楽しむには、この巻の、これまでに至る先代の絡みも忘れないようにしないと。


    松本清張賞(良質な長編エンタメ作品に贈られる賞)

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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