アクティブメジャーズ

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163823706

作品紹介・あらすじ

マスコミ界の大物の死が引き起こす恐慌。シリーズ第4弾対外諜報のスペシャリストとして研修を受けた倉島警部補に下る新たなミッションは同僚の調査。興奮がとまらない異色の警察小説。

感想・レビュー・書評

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    アクティブメジャーズ ー 倉島警部補シリーズ4作目《単行本》
    2013.08発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.08.27~28読了。★★★★☆
    ブックオフWebで発注、220円で購入2023.08.27

    警視庁公安部外事一課、倉島達夫警部補の活躍の物語です。

    倉島は、公安のエースといわる者が選ばれて受ける、ゼロでの1年の研修を終えて帰ってきた。ゼロとは、警察庁警備局警備企画課の中にある情報分析室。全国の公安情報がここに集約される。公安の中枢である。この研修を受けた者は、公安のエースといわれる。

    その倉島に、警視庁公安部公安総務課長である安達警視正からエース級の公安マン葉山昇の調査を命じられる。ゼロの研修を受けたといっても駆け出しのエース級に、エース級の公安マンの調査をする事となった倉島は四苦八苦する。

    倉島は、葉山の調査を命じられた日が、全国紙でかなりの発行部数がある東洋新報社編集局次長の津久見茂が死亡した日であった。そのタイミングについて考えがおよんだ時に、倉島は、葉山と津久見の関係とそれを取り巻く人間関係を調べだした。そして行きついた先にロシヤのエイゼントがいた。

    【読後】
    テンポが速く、展開がよく、楽しく読めました。自殺と思われた津久見の死が、最後には、殺害されたものであり、それがロシヤのスパイによるものであることが分かってきます。このあたりが最後の見せ場です。楽しかったです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    倉島警部補シリーズ一覧
    06.ロータスコンフィデンシャル
    05.防諜捜査
    04.アクティブメジャーズ 2023.08.28読了
    03.凍土の密約      2023.08.11読了
    02.白夜街道       2023.07.20読了
    01.曙光の街       2023.07.13読了
    ~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 公安警察官・倉島シリーズ第四作。
    他の作家さんが描く公安ものはダークな雰囲気になりがちだが、今野さんが描くと爽やかで真っ向勝負な公安マンたちになる。だが一方で様々な駆け引きがあるし、刑事たちとの考え方や立場の違いも対照的に描かれている。

    前作でエース級の公安マンになるための『ゼロ』研修を受けた倉島。今作は研修後初めての仕事になるのだが、命じられたのは倉島と同じ外事一課に所属する葉山という警察官を調査すること。まるで監察官のような任務に戸惑う倉島だが、これは一種のテストなのかも知れないと気持ちを切り替えて新たに出来た二人の部下と共に調査を始める。
    とはいえ葉山は倉島以上のキャリアを持つ公安マンだけに人事データに接触するだけでも一苦労。そんな中、葉山と有名新聞社の編集局次長が転落死した事件に繋がりが出てきて…。

    タイトルの『アクティブメジャーズ』とは諜報の世界でいう『積極工作』のことだそうだ。例えばマスコミを上手く利用して自分たちに都合の良い報道を増やすのも該当する。今ならネットの発達によりもっと簡単かも知れない。それでもオールドメディアの影響力はいまだに重視されているようだが。他にも政治家や外交官たちに働きかけるロビー活動などもある。

    この作品で言えば、転落死した有名新聞社の編集局次長は『アクティブメジャーズ』に利用された側に見える。だが有名新聞社の編集局次長クラスならそのような工作を受けることも珍しくない筈。逆にその工作を利用して何かを仕掛けた可能性も考えられる。

    倉島ら公安警察官たちにとって情報は明るみに出すものではなく活かすもの。そのため敵対関係にあるロシアの協力者とも持ちつ持たれつのバランスで渡り合っている。時には上司だろうが同僚だろうが情報を隠蔽しなければならない時もあるだろう。
    しかし刑事たちは犯罪の詳細を明るみにし犯人を逮捕するのが使命。立場が違う両者が殺人事件でぶつかり合うのだから厄介だ。

    安積班シリーズのような刑事警察目線の作品を読むと公安警察官は時に事件そのものすら握り潰す陰湿なヤツに見えるが、この倉島シリーズのような公安警察官側から読むと刑事たちは目先のことしか見えない小さなヤツに見えてしまう。何とも面白い。

    殺人事件を捜査しその真相と犯人を明るみにすることによって、時には新たな犠牲者が出たり別の損害を被ることもある。庶民の私には分からない世界で倉島のような警察官たちが闘っている。
    とはいえ倉島は割りと情報を共有するし、厄介な交渉相手とも正攻法でぶつかるのでダークなイメージにはならない。逆にこんなに正直で大丈夫?と思うくらいだ。

    一方の葉山の方はいかにもな公安マンという感じ。一匹狼で神出鬼没、倉島たちの先へ先へ行く。そんな葉山が転落死事件とどう関わったのかという点については意外な感じもあった。彼ほどのキャリアの長い公安マンでも想定外の展開はあるということだろうか。
    それでも殺人事件の真相や犯人については今野さん作品らしくシンプルな構造で分かりやすかった。むしろその事件をどう倉島が捌くのかが興味深かった。

    今回、片桐・伊藤という対照的な部下が出来て、白崎・西本という同僚も助っ人として参戦。思わぬ大所帯のリーダーとして今回のオペレーションを見事やりきった倉島。さらに新たな仲間も出来そうだ。
    次はどんなミッションが待っているのか。

    ※倉島シリーズ作品一覧
    第一作「曙光の街」
    第二作「白夜街道」
    第三作「凍土の密約」
    第四作「アクティブメジャーズ」(本作)
    第五作「防諜捜査」
    第一作~第三作はブクログ登録前に読んだためレビューはなし。

  • 四作目かよ!というね
    またまた今野敏さんの面白いシリーズを知ってしまいましたよ
    あらためてすごい作家さんですわ

    さてさてアクティブメジャーズ、積極工作ということで対象国で自国に有利あるいは他国に不利となるような情報操作をすることのようですが
    それらにかかわる人々の思惑が入り乱れて…
    それらを解き明かすのが主人公の倉島警部補、この人がまあ公安らしくないわけです
    スカッとします
    公安らしいというのがどういうもんかといえば数多くのミステリー作家そんたちのアクティブメジャーズなわけですがw
    うまいこと言った!

  • シリーズものだったのか!!!!
    知らないで読んでたよ。
    つーか今野敏氏の本はけっこう読んできたと思ってたのに
    この倉島警部補シリーズは読んだことなかった。
    恐るべし。さすがに作家生活30年は伊達じゃないやね。

    読み進めてて、倉島の人物像がいまいち判らなくて
    若干困惑してたんだけど
    この前にも話があったんだ、と判った途端に納得。
    取り急ぎこの前の3冊を探して読まなきゃな。

    公安警察の何やらはあまり題材として取り上げられることがないので
    このシリーズは改めて腰を据えて読んでみたいと思った。

  • <習>

    この作品は題名の意味を物語の中でハッキリと語ってくれていた。ああよかった。加えてしばしば出て来る”インテリジェンス”と云う言葉は前に『ロータスコンフィデンシャル』を読んだときに学習していたのでこれまた良かった。
    こう云う事が分からないままだとなんだかづっと気になるのだ。

    例をあげると例の『MS』にはかなり手こずった。MとSがなんのイニシャルかサッパリ分からなくて,とうとう出版社の編集部にMailまでたがつれなく,つれなく何も連絡もらえず。そうこうするうちに親切な読者諸兄が,ここの読書コミュで教えてくだすった。分かるまでしばらくはスッキリしない気分で嫌な思いをしたが結果は親切な読者諸兄にも出会えて,まあだいぶ良かった。またもやほとんど読んだ本の感想では無かった。すまぬ。

    まさかの ”MS” は物語の中心的教授の部屋名である ”Mystery Seminar” : ミステリーセミナール 否異 「ミステリーゼミナール」なのであった。外国語に堪能な人ならばすぐに分かるのだろうが僕ら ただ本が好きってだけの凡人は,まさかゼミの頭文字が”S”だとは絶対に思いつかないのであった。Zemi とかだと勝手に思っているww。ちなみにゼミナールと云う読み方は英語ではないそうだ。何語かはドイツかフランスかポルトガルか・・・とっくに忘れた。大いに笑う。

  • 期待したほどではなかったけど、公安らしい雰囲気は楽しめました。

  • ふむ

  • 倉島警部補シリーズ第4弾

    警察庁警備局警備企画課の情報分析室、通称ゼロの研修から戻った倉島は初めてオペレーションを任されることに。

    それは同じ公安マンでエース級の葉山の調査だった。

    アクティブな片桐と地味で目立たない伊藤の色の違う若手二人を補佐につけ、調査をすすめていくと、大手新聞社幹部の殺害事件に繋がっていく。

    殺人事件とその背後にある公安事案を倉島が暴く。


    倉島が暗中模索しながらも公安マンとしてさらに成長していきます。
    もう倉島の行く末を最後まで見守るしかない。

  • 倉島警部補シリーズ第4弾。
    公安というと、国のためなら手段を択ばない、冷酷なイメージ。
    だが彼らにはダークな印象はなく、人間味すら感じられる。
    読後感もよい。
    表立った捜査はできず、人脈を駆使し、駆け引きをし、時には非合法な手段を使いながら、調べ上げる。
    刑事とは違ったアプローチが新鮮。

  • 倉島シリーズの4作目。新たなメンバーも出て来て、今野さんらしく先が気になる展開になってて、最後もそれなりに面白いのだが、なんかイマイチ感を覚えてしまった。でもまだ先が出てるので、読んでみよう

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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