アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!

  • 文藝春秋
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163904306

作品紹介・あらすじ

大反響の「NHKスペシャル」を書籍化!これまでアレルギーの”常識”とされてきた数々の情報。「一度発症した花粉症は治らない」「アレルギーになりたくないなら、アレルゲンをとにかく排除する」「アレルギー予防のために、離乳食はゆっくり進める」「卵などのアレルギー食品は赤ちゃんに食べさせないのがベター」「妊娠中、授乳中の母親の食事が子どもをアレルギーにする」……。これらはすべて、間違いでした!20世紀後半から、先進国で爆発的に増加したアレルギー。日本では国民の4人に1人が花粉症を、赤ちゃんの10人に1人が食物アレルギーを発症しています。アレルギーパンデミックとも言われるこの状況を打開する手はないのだろうか?最新研究に迫ろうと始動した取材班が直面したのは、医療の常識が根底から覆ろうとしている衝撃の事実でした。カギを握る存在として注目されるのが、日本人研究者が発見した新たな免疫細胞「Tレグ」です。この細胞の働きが分かったことで、アレルギー発症メカニズムの解明が進み、完治を目指す根治療法の研究が世界中で始まっています。世界中の最新研究を丹念に取材し、アレルギーの予防と完治に向けた実践的な情報が詰まった一冊です。【目次】第1章 アレルギー患者のいないコミュニティーを追って 家畜との生活に秘密を発見第2章 免疫の常識を大きく変えた「Tレグ」 日本人研究者が発見! 唯一の制御細胞第3章 アレルギー予防の“常識”は間違いだらけだった! 根拠のない指針が患者を激増させたという真実第4章 アレルギーの本当の原因に迫れ 「いつ」「どこから」入り込むかが分かれ道第5章 アレルギーを完治させる! 驚きの最新治療法 体内の“天秤”をコントロールせよ!

感想・レビュー・書評

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  • この春、私は花粉症になった。もう一生ならないものだと思っていたから、かなりショックだった。周りの反応はふた通り、「ようこそ花粉症の世界へ」と「まぁ大変ね」である。2016年刊行のこの本では、日本国民の4人に1人は発症しているらしい(友人情報だと2人に1人だとも言う)。4人に1人以上は仲間意識で一言を言っていたので、実態に合っている。みんなが信じていたのは、「体内に取り込まれた花粉があるレベルを超えると発症する」と言う説だ。しかし、NHKは、それは「間違いだった」と断定する。しかも、治らないと言われた花粉症の治療薬が来年あたりから出回るとの情報も。驚きである。

    免疫細胞の役割は、戦争の攻撃そのものだ。偵察隊のマクロファージが情報をもたらし、司令官のT細胞が敵(栄養等の有益なものではない)と判断を下し、現場に出向き命令のサイトカインを出す。実働部隊が武器の活性酸素を放出し、B細胞の抗体で防衛する。しかし、司令官の判断は時々間違いを犯す。だから膵臓のβ細胞を攻撃して1型糖尿病になったりする。でも、簡単に間違うようでは人間は直ぐに病気で亡くなるだろう。そこで間違いを正す司令官が存在するはずだと研究して、見つけたのがTレグ細胞だ。これを応用すればガン特効薬にもなる。この本ではノーベル賞を受賞した本庶佑さんは登場しないが、あゝこの流れだったのだ、と腹落ちた。

    さて問題は、いかに花粉症を防ぐTレグ細胞を増やすかだ。そこで再び注目されたのが「衛生仮説=都市化して衛生的になったからアレルギー発症が増えた」説だ。私の幼少期は、家でニワトリを飼うような片田舎で育った。衛生的でなかったから今まで発症しなかった、といえば確かにそうかもしれないとも思う。実際、都会から養豚業に鞍替えした重症の花粉症患者は、多くの場合根治したらしい。しかし、大人の根治には大きな環境変化と時間が必要だ。

    では希望はないのか?有る。舌下治療法と花粉症を治療するお米。2015年現在、農水省が2020年の早期実用化を目指していると言う。他にも3回の注射投与だけで劇的に治るとか、日々治療は進歩している。遅れてきた私は、その恩恵を易々と受けれそうだ。これも幼少時の非衛生的な環境のおかげである。

  • 第1章 アレルギー患者のいないコミュニティーを追って
    先進国ではアレルギーが急増しているのに、アーミッシュにはアレルギーが非常に少ない。家畜と濃密に接触するため、家畜が出す最近を体内にとりこみ、それにより制御性T細胞(Regulatory T Cell、Tレグ)が増加しているため。

    第2章 免疫の常識を大きく変えた「Tレグ」
    大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文教授がTレグ細胞を発見。免疫システムが異物に対して攻撃するのを止める働きをする(基本的に誤った攻撃だけを止める)。幼少期に体内への細菌侵入が頻繁に起こると、Tレグ細胞が増え、アレルギー発症が押さえ込まれる。大人になってから細菌接触でアレルギーを軽減するには時間がかかる(家畜と接触する田舎暮らしを10年とか)。

    第3章 アレルギー予防の“常識”は間違いだらけだった!
    妊娠中にアレルゲン(ピーナッツ等)を避けても、アレルギー予防に効果はない。むしろ、ピーナッツを母親が食べていたほうがピーナッツアレルギーの発症率が少ないという実験結果も出ている。

    第4章 アレルギーの本当の原因に迫れ
    幼少時にピーナッツオイル入りスキンクリームを塗っていた子供は、ピーナッツアレルギー発症率が上がる。特に肌荒れがある皮膚にアレルゲンを塗るとアレルギーを発症する危険が高い。花粉症も経皮感作が原因で起こると考えられ、風邪等で喉や気管支の粘膜が炎症を起こしているときに花粉にさらされるとまずい。
    アレルゲンの異物が先に腸から吸収できれば攻撃を止めるTレグが作られ、体は異物を受け入れる。先に皮膚から入ってしまうと、免疫は異物を攻撃対象として認識しアレルギーになる。腸からいち早く摂取することがアレルギー予防のカギ。
    肌が荒れている場合、ワセリンを厚めに皮膚にのせて保湿、カバーする。口周りが荒れているときは、食事前にワセリンでカバーするとよい。

    第5章 アレルギーを完治させる! 驚きの最新治療法
    近年研究されている、Tレグ細胞を増やす治療法いろいろ。
    ・花粉症に舌下免疫療法。花粉症が飛ぶ3ヶ月以上前から毎日行う。Tレグをうまく増やせれば花粉症の根本的な治療も可能。4〜5年続けるとその後も効果が続く。効果が出なかった人は、摂取する花粉成分の量が少なかったと考えられる。
    ・花粉症を治療するお米。遺伝子導入によって、花粉成分のうちTレグが作られる反応を起こす部分だけを米に発現させる(アレルギー反応を起こす部分は発現させない)。
    ・3回で効果がある注射による免疫療法。細菌のDNAを注射し、人工的に細菌に触れ合っていた昔のような環境を作り出し、Tレグを増やす。
    ・ナイーブTレグのいるリンパ節に、花粉成分を注射で注入する。多くのTレグが効率的に作られる。
    ・経口免疫療法は一部の病院で実施されている。医師の指導下で毎日少しずつ食べるアレルゲンの量を増やす。

  • 実は私も大学院時代の恩師に勧められて読んだ本です。
    現在まだ論文や専門書にしか書かれていない最新に近い情報が、一般向けにやさしく書かれているのでお勧めです。この数年でアレルギーの治療については正反対とも言えるほど変わりましたが、その理由などについて詳しく知る事が出来る良書です。
    (健康栄養学科 沖嶋先生)

  • 20世紀後半から先進国では爆発的にアレルギー患者数が増大した。世界ではアレルギーの完治を目指す根治療法の研究が進められており、世界の最新研究を綿密に取材し、アレルギーの予防と完治の実践的な情報が読みやすくわかりやすくまとめている一冊となっている。

  • アレルギーは予防できるし、治すこともできる。アレルギーになるのは、アレルゲンが腸から入るか、皮膚から入るかで決まる。なるべく早く、いろいろな物を食べさせた方がいい。先に異物を腸から吸収できれば、攻撃を止めるTレグが作られ、体は異物を受け入れる。皮膚から先に入ると、免疫は攻撃対象として記憶してしまう。
    妊娠中にもいろいろな物を食べた方がいい。
    花粉症は花粉を腸から取り入れることで、改善できる。細菌などをアレルゲンと混ぜて注射することによって、アレルギーを治すこともできそうだ。
    アーミッシュは子どもの頃から家畜たちと濃密な接触があるので、細菌などを取り込んでアレルギーに強い。アーミッシュの生活は自給自足で、お金は欲の象徴として使用しない。

  • 備忘録としてネタバレ記録です。

    1/乳児期なるべく早期にアレルゲン食品を食べることで、食物アレルギー予防になる。

    2/アレルゲン食品を食べるより前に、肌荒れ部分など皮膚からアレルゲン物質やそれが含まれるクリームなどを塗っていると、食物アレルギーの原因になる。
    食べるのと、皮膚とどちらが先かで結果が大きく変わる。

    3/妊娠中にアレルゲン物質を避けていると、子どもはアレルギーになりやすい。
    避けずに何でも食べたほうがいい。

    4/妊娠中に低栄養だと、胎児が記憶してしまい、産後、エネルギーを消費しない子どもになる。将来、肥満や生活習慣病
    などになりやすい。妊娠中のダイエットはよくない。

  • 大人にはすぐに役立つ内容ではありませんが、
    お子さんにはすぐに役立つ内容だと思います。
    効果があるとされている治療法は、舌下免疫療法以外は研究段階のため、現時点で受けることはできませんが、
    早く普及してほしいなあと思います。

  •  Tレグ細胞(制御性T細胞)。

     ナイーブTレグ。

     経皮感作。

     アレルギー食品を避けずに食べる。

     花粉症免疫療法①舌下免疫療法②皮下注射免疫療法
     さまざまな工夫①花粉成分米②細菌DNAと一緒に注入③リンパ節直接注入

     アトピー性皮膚炎治療法は未開発。

  • アレルギーになる原因になる可能性のあるものはお腹にいる間からなど、早くから食べさせることがよいのでは!
    アレルゲンを食べることや、注射することでアレルギーを治療できる可能性があるということなど、大きく進歩したアレルギーに関する情報が載っています。

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著者プロフィール

キラーストレス(PART.1)監修。ストレスが原因の突然死、慢性病、精神疾患の増加が注目を浴びる中、ストレスに苦しむ人たちに有効な対処法を伝えようと企画を立ち上げる。2016年にNHKスペシャル「シリーズ キラーストレス」を放送、大きな反響を得た。

「2017年 『「キラーストレス」から心と体を守る! マインドフルネス&コーピング実践CDブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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