総理の誕生

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163905761

作品紹介・あらすじ

目次序章 その時、安倍の言葉を聞いた二〇〇七年九月十二日、 私は全身の力が抜け落ちるような感覚を味わった。安倍が辞任する。ただただ悔しく虚しかった――。本書は、安倍が無役の若手議員だったころから、私が直接、安倍と話し、見聞き体験し、考えてきたことを記す本だ。第一章 実は出世は遅かった岸信介の孫、安倍晋太郎の息子、大叔父は佐藤栄作。だが、安倍晋三自身は同期の仲間たちが次々と政府のポストを与えられる中、ひとり取り残された。初めて政府の役職につくのは、当選から実に七年も経った時のことである。「ここまで外されてきたんだから、もう開き直った。こうなったら、(第一希望の)外務政務次官以外だったら、話が来ても受けない」第二章 小泉純一郎という両面教師要職に抜擢され、小泉に仕えながら安倍は二面を見ていた。暗闇の中、天皇が神々に新米を備える新嘗祭に参列した小泉は「電気をつければいいじゃないか」。郵政解散でも理念的保守の安倍の同志たちは刺客をたてられ落選。だが、その勝負勘には目を見張る。「郵政民営化なんて本来、我々が目指していることに比べたら、どうでもいいことではないか」第三章 小泉さんは、拉致を分かっていない北朝鮮に同行する直前、安倍は官邸で絞り出すように声を漏らした。あくまで日朝国交正常化を第一に考える小泉には、拉致問題の重大性への理解がまるで足りなかったのだ。初訪朝を終えて帰国した小泉は「なぜ皆、俺をほめないんだっ」と当たり散らした。「小泉さんは、拉致の『ら』の字も分かっていない」第四章 なぜ、一次政権は崩壊したのか五十二歳の若さで総理になった安倍だが、これまで支持してきた右派からの攻撃にさらされる。しかし政権運営となると様々な現実的対応が必要である。その中で安倍は、全国戦没者追悼式の演説の原稿で、こうした批判を丁寧に取り入れることも心がけた。「明日の式辞の原稿なんだけど、『心ならずも命を落とした方々』という表現は、保守派の評判がよくなかったよね」第五章 政治的な死者と言われてわずか一年での突然の退陣表明。会見後の深夜、記者クラブで呆然としていたところに携帯電話の着信があり、出ると相手は安倍本人だった。「私は求心力を失ってしまった」こう言う安倍に、私はこれで日本は十年、時を失うだろうと考えていた。「やれるところまで、できるだけ頑張ろうと思っていたのだけど、それも無理になった」第六章 盟友、中川昭一のこと政権を退いた安倍に追い打ちをかけたのが、理念を共にする中川の死だった。私も安倍同様に親しく付き合った。彼が総理を目指していたのは間違いない。「経済閣僚をやらないと首相になれない」という外務官僚の酒席でのひと言に中川は烈火のごとく怒った。「あの件さえなければ、今ごろ昭ちゃんが自民党総裁だった」第七章 橋下徹コネクション民主党政権下の二〇一二年六月、再燃する大連立構想に対し、安倍は強く異を唱えた。維新の会の国会進出が取りざたされたこの時期、安倍は橋下との会談で直接、自民党からの離脱を打診されていた。橋下とのパイプをテコに、安倍は奇跡の復活への足掛かりを築く。「自民党と民主党による大連立構想は、とんでもない話だ。そうなったら自民党を割って出る」第八章 経済という切り札何が第二次安倍政権で変わったのだろうか。それは、一次政権の時にはなかった「経済」を切り札にするということだ。憲法問題、安全保障のあり方が、選挙結果を左右することはない。そう学習した安倍は、二〇一三年七月の参院選で大勝する。「人生、やればやれるものだ。仮に六年前の(首相時代の)参院選で適当な議席で勝って第一次政権が長続きしていた場合より、一度政権を失った今回のほうが憲法改正に必要な議席に近づくことだろう」第九章 オバマとの関係はこう詰めた「私は政治的に厳しい立場にある。私の支持率は四五%だが、安倍内閣は六〇%あるから大胆に決断できるんじゃないか」。すきやばし次郎でオバマはこう安倍に迫った。外交とは互いの内政リスクを理解すること――安倍に対して次第にオバマは警戒を解くことに。「いや、日米同盟がわが国の基軸だ。だから今回は米国へ行く。日米同盟の強化を行いながら、中国との関係を考えていく必要がある」第十章 安倍の後継者は誰か?消費税増税を安倍が延期したのは、そもそも財務省の経済感を信用していないからだ。ただ皮肉にも、その決断に反対したのは安倍が見出した稲田朋美だった。ライバルと目される石破茂、閣内のプリンスと言われる岸田文雄……誰が総理の座を継ぐのだろうか。「稲田さんは、正義感からああ言っているんだろう」あとがき 少数派が中枢に位置する時略年表

感想・レビュー・書評

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  • 戦後70年(2015年)「安倍談話」の意義は戦後の謝罪外交に終止符を打つこと。

    「私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」と語りつつ、同時に謝罪外交との決別を宣言したのである。

    「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の8割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはいけません」、と。

    安倍談話は閣議決定され、以前の首相談話は上書きされる。

    (一部本文より引用)

  • 第一次安倍政権が潰えて、福田・麻生が引き継いだが、マスコミの総攻撃は留まることがなく政権批判が絶えなかった。
    一度民主党にやらせてみようじゃないかと政権交代したが暗黒の時代に突入した感がある。
    その中で一点でも良いことがあったのか?記憶がない。
    約3年でまた政権交代、勿論、前政権に打撃を及ぼした未曾有の天災があったのも事実だが、対応に国民の反発があったのは確かではないか。
    野田政権が発足当時は、期待もあったので一時的に支持されたが支持率は下降の一途を辿り、選挙で大敗しそして第二次安倍政権の始まりである。自民党保守層の中でも安倍は少数派でどうやって党を纏まるのか?保守的なジャーナリストは、外交的に弱腰と批判もありほかにいくらでも別の誰かがいるかのように言うが、実際にだれかと問うと次期に誰とは言わない。
    本書にも書かれているが、「政治家とは、少し古くなればより性能がよい商品に買い換えればいい家電など消費財とは異なるし、一人ひとり違う」と書いている。
    改めて問う、次に日本を任せられる総理は誰か?

  • 森友問題なんかで安倍総理が追い詰められたら、日本にとって大きなマイナスだろうと思わせる。

  • なぜあれだけ失態により「政治的に死んだ」安倍晋三が復活することができたのか、肉声を知る産経新聞記者による本。
    いいことしか書いておらずリベラル批判にはうんざりするが、安倍首相の人となりが分かった気がする。

  • 安倍晋三に長きにわたって密着してきた産経記者の著書。
    安倍総理に密着し、内政から外交にわたるまで安倍晋三がどういう判断を下してきたか。その背景にどういう動きがあったか。政局を動かす上で党内でどのように動いてきたか。周辺人物の人物評も含めて、安倍晋三に密着したドキュメンタリー。読みやすかった。

  • 再登板に至る肉声の記録が実に生々しかった。感情的で一方的で決まりきった批判しかしない自称リベラルのサヨクどもには理解出来ないかな。

  • 【安倍晋三の蹉跌も復活も見続けた産経記者が初めて書く】「小泉首相は拉致を分かってない」「私は求心力を失った」「人生やればやれるものだ。二度目だからこそ、この議席数」肉声秘話満載!

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