ドローン探偵と世界の終わりの館

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163906805

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  •  今、ミステリ界一の曲者といえば、早坂吝さん以外にない。前作『双蛇密室』は色々な意味で呆れる作品だったが、はるかに呆れる作品が届けられるとは。

     主人公は、身長130cmの、ドローン探偵こと飛鷹六騎。本人は、≪黒羽を継ぐ者≫だと主張しているが…。ドローンとは、もちろん、テレビでも話題になったあのドローンである。ドローンを駆使して事件を解決するから、ドローン探偵なのだ。

     最先端の技術を取り入れた本格は、意外と少ない。正直、保守的なジャンルではある。冒頭の読者への挑戦状によると、早坂さんは、推理小説のトリックは出尽くしたという意見には与しないという。ドローンを使ったトリックであると、堂々明言している。

     一発ネタ的作品であることは、書いてもいいだろう。ありがちな舞台と、ありがちな嵐の山荘パターン。登場人物の背景描写は薄っぺらいし、北欧神話ネタはこれまた薄っぺらい。終末思想みたいなのもどこかで読んだことがある。焦点はトリックだけ。トリックに相当の自信があるに違いない!

     …などと、本気で思ったわけではない。過大な期待はしていなかった。いざ、真相が明かされてみると、ドローンの使い方が予想と違っていた。確かに、ドローンを使ったトリックではあるが……。釈然としないまま、とりあえず調べてみた。

     なるほど、僕は知らなかったが、これなら本格の古典的ルールに違反はしていない。ルールを逸脱しない範囲で、トリックは無限であることを、早坂吝は示してくれたと言えるだろう。もしかしたら、後世に語り継がれる作品かもしれない。

     それなのに、何だろう、この拭えないもやもやは…。星0個にすべきか、それとも5個にすべきか。ここまでもやもやさせるのは、ある意味、すごい手腕ではある。なぜか癖になるんだよなあ。

     本作を受け取ったとTwitterで語っていた、綾辻行人さんの感想はいかに。

  • ドローン探偵自体の造形は好きだけれど、真相の衝撃度はもうひとつと言ったところか。近作の出来からハードルが上がっていたのはあるかもしれない。

  • 【思わず拍手喝采! 意表を突く、痛快ミステリ】ドローン遣いの名探偵六騎が挑む連続殺人。奇妙な死体と北欧神話が示すのは…。廃墟ヴァルハラで繰り広げられる命懸けの知恵比べ。

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著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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