- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163909462
作品紹介・あらすじ
映画史・時代劇研究家の春日太一さんが、偏愛する邦画を思い入れたっぷりに紹介する週刊文春の連載コラム「木曜邦画劇場」待望の単行本化です。過去6年、300回を超す連載から「これこそ春日太一を作った映画である」というコラム93本を自選しました。時代劇から、SF、ホラー、怪獣、角川、ヤクザ、ニューポルノ、ミステリー、そしてアニメまで自在にジャンルを横断し、大作、名作はもちろん、他の映画本では紹介されないであろうB級の怪作、奇作も収録しています。加えて、単行本特別企画として、愛する「洋画」についてのコラムを書きおろしました。時代劇研究家である春日さんが愛する洋画とは――? さらに、特別企画第二弾としてライムスター宇多丸さんと「わが青春時代の映画」をテーマに濃厚な対談を敢行。お二人が映画に耽溺していた80年代~90年代の映画を語りつつ、春日青年の迷走する青春時代を振り返ります。映画との出会い、デートで初めてみる映画は何が正解か、自戒を込めて説く、若者が評論家気どりで映画を語るイタさ、など身に覚えのある読者も多いはず。春日さんは「はじめに」でこう綴ります。『本書は「映画という泥沼」にハマりこんだ一人の男の姿を映し出したドキュメントでもある。映画でしか救われない魂があった。そんな想いが、少しでも届いてくれたら――と思う。』。単なる映画コラム集ではなく、青春の苦さ、イタさ、そして素晴らしさを「映画」というフィルターを通して縦横無尽に語る1冊です。
感想・レビュー・書評
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時代劇研究家、映画評論家の春日太一さんの週刊文春掲載コラムの単行本化。
春日さんの本は好きで、何冊か読んでいるが、前書きにもあるように春日さん自体の過去の経験や私情が含まれ、ラジオなどで垣間見れる姿が出ていて、おもしろい。
映画のチョイスも幅広く、兵隊やくざからセーラームーンまでフォローされている。
人生のいろんな場面で、映画の影響を受けてきたことを読むと、自分ももっといろいろ映画を見てくればよかったかなぁなどと思う。
対談のデート映画話などもおもしろいし、この本と研究家としての立場についての悩みなどは、考えさせる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者のトークイベントで購入。
時代劇研究家である著者が、自らの映画遍歴(「泥沼」体験)を語るエッセイ。週刊文春のコラムが元になっている。この手のコラムは往々にしてセンチメンタルな自分語りになりがちだが、本著は研究者らしくあくまでもドライな文体だ。その中で、作品への熱い思いがかいま見えるのがおもしろい。また、著者と自分が同じ歳なので、同世代人の記録として共感する部分も多かった。
文末のライムスター宇多丸との対談では、「映画ファン」である自分と「映画の有識者」である自分の葛藤や、読者・リスナーとの距離感の話が興味深い。
本職である時代劇研究の取材の裏話も豊富。ラジオを中心とした著者の語り仕事しか知らない人がこれを読むと、本職である研究書が読みたくなるんじゃないかな。 -
春日太一という人は町山さんのラジオで一度話を聞いたことがあり以前から興味を持っていて、その流れで図書館で借りてきた。
が、目次をパラパラ見てがっかり。ほとんど邦画。自分は邦画が嫌いなので読まずに返却しようかなと思ったけど折角なので読んでみた。
しかし予想に反してどはまり。
中には中古で5000~6000円するけどそれでも観たいと思う作品も。
邦画の見方、楽しさのようなものを教わった気がする。
でも最後の対談集は、正直不要だったんじゃないのかな。 -
『週刊文春』に掲載された300超の日本映画のコラムの中からセレクトされた93本と、書き下ろしの洋画編5本、ライムスター宇多丸さんとの対談からなる1冊。
正直なところ、私は映画評論家によるかっちりとした評論がどちらかといえば苦手であり、何が苦手なのかと考えると、評論とはなんぞや、どんな人がどの位の目線で語るのか、から始まって考えが纏まらず、結局は気持ち悪いとか表現がまどろっこしくて不快とか、熱い思いが伝わってきたから何がなんでも観たくなったとか、個人の自由な主観で受け止めて良いもの、として捉えることにしている。
で、立派で詳しい解説や評論も、あまりにも語っている人の人物像や癖とか人が見えてこない文章には、気味の悪さを感じてしまうことに気づいた。
作品について書かれたものはいろいろとあり、作品の裏話だったり、違う目線を提示してくれる文章に出合うと楽しい。小難しい話や文体でなく、楽しくするすると読める映画レビュー本。この本は、まさにそんな感じ。
プロの文筆業の方をこう評するのはおこがましいけれど、抜け感といい情報のバランスといい絶妙でいちいち上手いな、と思った。計算された、巧みなとっつきやすさ。
とりあげられている日本映画は、観たことがない作品がほとんどだけれど、片っ端から観てみたくなった。確かに昔の日本の映画には、とてつもなく熱い作品が多かった。あの時代ならではかもしれないけれど、人間くさい業とか欲とか情念とか、どこか振りきれていた。綺麗で美しく整ったスタイリッシュなものばかり観ていると物足りなくなる何かが昔の日本映画にはあったなぁ、と懐かしく思った。
時々出てきた観たことがある作品について書かれた回も面白かった。
私もあの女優さんは苦手だなとか、この作品には圧倒されたなとか、『敦煌』映画館に観に行って良かったなとか、若い頃に初めて観た『八つ墓村』は落武者の生首のインパクトが一番強烈で、村人を殺してまわる要蔵よりも洞窟の中で辰弥を追いかける美也子が最高に怖かったな、とかいろいろと懐かしいからこの本オススメです。 -
武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000153046
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春日太一さんのサインをいただきました!
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週刊文春連載をまとめたもの。
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【「映画しかなかった青春時代」が稀代の映画研究家を作った】週刊文春の人気連載「木曜邦画劇場」が単行本化。ライムスター宇多丸さんと「青春時代の映画」を語り尽くした特別対談も収録。
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週刊文春好評連載中「木曜邦画劇場」ベストセレクション93本+書下ろし洋画コラム5本。特別企画、ライムスター宇多丸との25000字対談。
著者はこんな青春時代を過ごしていたのか! そのことに驚きを隠せない。