座席ナンバー7Aの恐怖

  • 文藝春秋
3.29
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163909929

作品紹介・あらすじ

娘の命が惜しければ、おまえがいま乗っている飛行機を落とせ。事件解決のデッドラインはブエノスアイレス発の旅客機がベルリンに着陸する瞬間。とんでもない仕掛けをひそませた〈閉鎖空間タイムリミット・サスペンス〉!出産を控えた娘に会うため、精神科医クリューガーは旅客機に乗り込んだ。だが機が高空に達したとき、携帯電話が鳴る。相手は言う――娘を誘拐した。解放してほしければその旅客機を落とせ。同機のチーフパーサーのカーヤは、高校生だったときに無差別銃撃事件に巻き込まれ、心の傷を負ってクリューガーの患者となった。彼はカーヤの心の弱点を知り尽くしている。そこを突いて彼女の心を破壊し、飛行機を落とせ。一方、ベルリン。クリューガーの娘ネレは若い男に拉致された。どことも知れぬ廃墟に監禁されたネレ。その行方を追うクリューガーの元恋人フェリ。空の密室に閉ざされたクリューガーは、なんとか事態の突破口を見出そうと恐怖に駆られつつ奔走するが、謎は深まるばかり。無差別銃撃事件の隠された真相とは? そして、なぜ機内には死んだはずの彼の妻の香水がどこからともなく香ってくるのか……?飛行機内で展開する謎また謎。監禁された女性をめぐる必死の追跡と、その陰に張り巡らされた奸計また奸計。ドイツのベストセラー作家が再び贈る閉鎖空間サスペンス。すべての謎が解かれたとき、物語全体に波及する真実が明らかになる!

感想・レビュー・書評

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  •  前に同じ著者の乗客ナンバー23の消失を読んだが、昔の人かと思っていたら現代の作家だったんだ。その最近作。前のはクルーズ船内の事件だったが、こんどは航空機内という同じ閉ざされた空間の事件。ジェットコースターミステリというか時間切迫サスペンスというか、舞台が舞台だけに緊迫感あふれるストーリー展開で読ませる。ドイツの誘拐犯と南米発の機内とでスマホでやりとりするなど設定は現代的で、携帯電話の特性がうまく生かされている。思わぬ登場人物のつながりなど、あっといわせる意外性に次ぐ意外性は前作から健在で、後半はまさに頁をめくる手が止まらない。最後の閉じ込め症候群もよく考えついたものだ。いろいろ不自然なところもあるけれど快作であることは間違いない。

  • ブエノスアイレスからベルリンへの旅客機に乗ったクリューガーは機上で「娘を救いたければ飛行機を墜落させろ」という脅迫電話を受けた。一方、娘のネルはベルリンで出産直前に拉致監禁される。クリューガーは元恋人に連絡して娘の行方を捜してもらいつつ、機上で事件の謎に迫ってゆくが‥
    三者の視点で交互に描きながらサスペンスを演出する手腕はさすがだと思う。
    しかし主人公がけっこうダメ男なので同情できないことと、誘拐されたネルが凄まじい陣痛に苦しみながら苦境を打開しようとする様子があまりにも辛くて、最初はなかなか読み進められなかった。後半は一気読み。
    読み終わってからプロローグを読み返すと感慨深い。

  • 書名が前作と似ていることと、続いて出たこともあり、勘違いして買っていなかった。遅れて読んだ本の雑誌での書評を見て、新刊ということに気づき急いで書店へ。船内のものよりこちらの方が面白かった。一気読み。
    最後の方は、「航路」みたい。怒涛の展開に、最初のページでのことをすっかり忘れていました。もともと作者のファンですが、今作面白かった。

  •  ハリウッド映画みたいな小説に遭遇することが時にある。それは主に海外ミステリに多い。日本小説は、武器類が一般的に許可されていないために、ドンパチを嘘臭くないように書く状況を作るのは大変であろう。嘘臭くても、日活無国籍アクションが許された時代はある。赤木圭一郎や宍戸錠が、撃ったばかりの銃口を口元に近づけて、口で硝煙を吹き飛ばすポーズが恰好よかった時代は確かにある。でもそういう作品は、映画でも小説でも、今の世に出てゆくのはちょっと難しいかな?

     さて本書は、ドイツ小説。ドイツのミステリを読んだことがありますか? ドイツと言えば医学? だからというわけではないのだろうが、本書の主人公は、医師のマッツ。飛行機嫌いなのに、わけあって、ブエノスアイレスからベルリンに向かうエアバスに乗り込む。そして、機内で脅迫を受ける。この飛行機を落とさなければ娘の命はないぞ。

     一方ベルリン。ソシオパスのサイコ野郎に、娘のネレが誘拐される。臨月を迎えていたネレはHIV感染者であり、今日にも出産が始まろうとしている。病院で帝王切開を受け、赤ちゃんを自分の血液に触れさせてはならない。ネレは切実にそう思う。しかし彼女は、廃屋となった搾乳工場に牛のように閉じ込められ、ベッドに縛り付けられ、動画用のレンズを向けられる。

     ベルリンでの娘の救出を医師が密かに依頼する。相手は、過去に関係を一度だけ持った女医フェリ。フェリは今日が結婚式当日であるにも関わらず、ネレの行方を追うことにする。

     さて以上三人のトライアングル主人公による超サスペンス、スタート! パーフェクトな閉鎖空間である飛行機内と、地上との二か所での状況小説が展開する。そう、この状況が生まれた地点から始まる小説なのである。ジェットコースターに乗ったかのような気分。読者はページを繰る手が止められない。映画館に入った観客のように、暗闇と轟音の世界から逃れられない。

     かつ、タイムリミット型である。ベルリンに着くまでに飛行機を落とさないと、ネレとそのベビーの命はない。そう脅されているからだ。場面展開も早い。次から次へとかかる三人へのプレッシャー。最後まで出口が見えない。二転三転の迷路が続く。

     これだけ凝りに凝った展開を、作者は、事前にすべてをではなく書き紡ぎながら考えるのだと言う。見たこともないような長いあとがきの中で。書き出してみないと、本当のところ、考えが動かないらしい。前もって考えている部分は骨子だけ。そこに加わってゆく新たなアイディアや、思いもよらぬ展開が、執筆中に沸いて出てくるらしい。まるで自動筆記だ。でも、彼は一年一作のペースでじっくり書いているという。クリスマスも正月も、必ず毎日、机に向かって書く、という。どこかで聞いた話だ、とぼくは国内のある作家を思い浮かべて微笑する。

     セバスチャン・フックは2006年『治療島』でデビュー。その後一貫して、面白く外連味たっぷりなサイコサスペンスを書き続け、毎作、ドイツ本国はもちろん翻訳先でも好調な売れ行きを示しているそうである。本書を含め7作ほど邦訳されているが、その他は未邦訳。本書は昨年出版された『乗客ナンバー23の消失』というこれまた豪華客船での面白小説に続いての物語であるらしいが、シリーズ物はこの作家は書かず、すべて単発作品。

     ぼくがこの小説を知ったのは、携帯にも登録してある翻訳ミステリーサイト『翻訳ミステリー大賞シンジケート』内の『書評七福神の今月の一冊』による。書評家・吉野仁(ちなみに知人です)ら数人が本書を推していた。読後印象は、ほぼ推薦文通りのジェットコースター小説。あるいは全体が遊園地のよう。仕掛けに満ちた閉鎖空間を舞台にした強烈なサスペンス。さて、このゴールデンウィーク10連休、どこにも行けず楽しみに餓えているあなたにお勧めの一作である。毒気は強いが、美味。是非、ご賞味あれ。

  • 前作『乗客ナンバー23の消失』に続くタイムリミットサスペンス。旅客機で起こる不可思議な出来事と、地上で起こる誘拐。それを繋ぐものは。犯人の動機は。読み始めたら止まらない面白さ。広げすぎじゃないのか、回収できるのかという不安も出てくるけれど、次第にそんなことも忘れて没頭する。追い込まれ、焦りながらもそのなかで大切な人を守ろうとする気持ちと、諦めがちらつく心。その揺れがさらに緊張感を高める。仕掛けがたくさんあってそこに目がいくけれど家族の物語も読み応えがあって読者を驚かすだけの作品になっていないことが嬉しい。

  • 「乗客ナンバー23の消失」が面白かったので拝読。
    都合良すぎじゃない?と思うところもあったけど、展開が面白くて一気読みさせられました。場面も次々に変わるので、まるで映画を見ているかのよう。

    ラストシーンがいちばんの驚き!

  • 若干ハンニバルの雰囲気を感じて、面白かったです。
    フランツとかカーヤは他の人を傷つけるような行動をしていた。
    精神障害?を持っている人は周りの人から見たらよくわからない思考で危険であると思うかもしれないけど、本人からしたら過去があって原因ありきの行動や思考なんだなって思った。

  • 何だかな〜〜
    もちろん騙されたんだけど
    スッキリしない
    最悪の結末でもないのに
    良かったとも思えない

  • 二つの事件が同時に進行する。導入部としてはもたつきもなく、素早いテンポで進むので「次は? 次は?」と頁をめくる手が止まらない。だが、終盤にかけて発揮される力技は肩透かし。技巧に走るのは良いがもう少しスピードを落としても良かったのでは。

  • 弱め

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