人類最年長

  • 文藝春秋 (2019年4月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163910062

作品紹介・あらすじ

江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。

男は1861年3月13日、横浜で生まれた。

とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。

何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。

五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。

この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは?

30歳の女性看護師に何を託すのか。

さあ、夢見るようなタイムスリップが始まる!

文壇の鬼才が世に問う、圧倒的なイマジネーションと構築力による衝撃の書。

感想・レビュー・書評

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  • 159歳まで生きて明治維新から平成までを見てきた男、という話なんだけど、それほどSFファンタジーぽさはなくて、一般人の目から見た歴史という感じ。もっと政治的な事件やできごとについて語られるのかなと思っていたんだけど、それよりも、たとえば文明開化、日露戦争、関東大震災、第二次世界大戦、終戦、オリンピック、高度経済成長などを、ごく一般の人たちがどういうふうに見ていたか、そのころどんなふうに暮らしていたかがわかる感じだった。本当にその当時実際に生きていた人の思い出話のようにリアル。主人公159歳まで生きた男が子ども~若者までの時代、つまり明治、大正、昭和の戦後くらいまでの話がより詳しい感じだけど。
    やたら長寿であることの説明も、不老化した細胞が…、とか思ったより現実的な感じで(でもちょっと「精霊」とかは出てくる)、ロッキード事件でも有名なフィクサー児玉誉士夫(あんなに当時有名だったのに名前忘れてて検索してしまった…)がモデルの人物が、自分も不老不死になりたいからと主人公に近づくとかおもしろかった。
    ラストのほうで、時間の哲学みたいなこととか、死生観みたいなことを考えさせられて、個人的にだけどけっこう暗い気持ちになった……。結局、若いころにはいろんなことを見て経験できるけれど、長生きしたとしても晩年はやはり暇を持て余して孤独になる、っていうか……。
    日本の未来についても、実質「滅びる」ことが短く書かれているし。
    でも、著者は絶望してはいないと感じられてそれはよかった。
    「悲惨な事態をできる限り避けようと努力し、非情な運命から逃れようとし、また日々の暮らしの中に安らぎと楽しみを得ようともしてきた。そして、それらの営みを忘れまいとした。」すべてはそれでいい、というような。

  • まさにタイムトラベラー。大人の少年ドラマシリーズです。こういうの大好きです。自分も長生きしたいので、なんとか肖れないものでしょうか。時代を冷静に分析、評価しているところも流石です。

  • 読み始めて最初は、なんだー、明治維新のころから、現在までを、もしその間ずっと生きて、時代の変化を目の当たりにした人がいたとしたら、どう見えていたか、という感じで歴史を書いただけかな?と思ったけど、違った!150年以上生きて、時代の変化をつぶさに見続けた老人(老人の域を超えてるけど!)が、もうなんというか、悟りの境地に達して、日本の近現代史を庶民の目線で語る。それを、たまたま出会った看護師の女性(ソメイヨシノさん)に語る、という設定で物語が進む。主に老人の語り、ときどきヨシノさんとの対話が挟まるのだけど、それがまた、面白い。
    老人(何度も名前を変えているのだけど、最初の名前は鱗太郎さん)は、明治維新の前に生まれたので、まだ侍が刀をさして歩いていた頃のことを覚えている。生まれた時から異常に成長が遅く、成人しても少年にしか見えなかった。人よりずっとゆっくりとしか年をとらないらしい。日清・日露戦争も、大東亜戦争も経験し、しぶとく生きぬいた。人よりずっとゆっくりとしか年をとらないため、それらの出来事を、俯瞰的に捉え、分析し、正しく生きようと努力する。しかしあくまで、無力な庶民なので、生きるためにあきらめることもあれば、ずるいこともする。その辺が絶妙で、正義感溢れる英雄の物語でもなければ、無力な庶民の物語でもなく、あくまで庶民目線だけれど、特別な人生を歩んだ頼もしい物語になっていて、面白い。普通の庶民なので、女郎屋に通ったりして、性風俗も描写されていて面白い。幾人かの女性とのやりとりも生き生きと描かれている。
    太平洋戦争で、従軍記者として大陸にいく羽目になり、九死に一生を得た時に現地のシャーマン的な人から”精霊”を移される場面が私にはとても面白く感じました!
    その人物も150歳とか、とにかく長生きしているわけだが、後釜を見つけた!てな感じで、鱗太郎氏に精霊を譲って、自分は息を引き取る。もちろんその時点では、鱗太郎氏は「そんなバカな」と信じておらず、自分が本当にそんなに長生きすることになるとは思わない。しかしなかなか老けず、娘からも「その顔でパパとか呼ばせないで」と言われてしまう。妻や娘、孫が普通に年をとっていくのに、自分は若いままで、どうなっていくの?というのも、ドキドキして読み応えがあります。もちろん悲しい別れを経験しなくてはいけないわけで、泣けます。でも、ながく、ながーく生き続けることで、そういう哀しみも、少しずつ超越していくような感じ。
    そんなあれこれを、ヨシノさん相手に語り、語り終えたとき、どんな矜持を語るのかと思いきや、おっぱい触らせてくれ、とかいうのがとっても面白いです。ヨシノさんの手を握り、精霊を移した、とか言うのですが、え!?本当に!?と思ってまたドキドキ。果たして精霊が本当にヨシノさんに移ったかどうかは最後にわかるのですが、とにかく面白い展開でした。
    最近、近現代史を見直すような動きもあるし、そういう著作も多く、私もいろいろ読みましたが、これはまた新しい角度で明治維新から日清・日露戦争、二度の大戦やアメリカとの関係を描き、日本がいかに劇的に変化してきたのか、いや変化していないのかを考察していて、興味深く、勉強にもなりました。
    装丁や、途中の挿絵も素敵です。

  • 江戸からの東京に変わり、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生きてきた男がいた。

  • 島田雅彦「人類最年長」https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163910062 読んだ。あーあ島田雅彦でさえもハルキムラカミ並みに落ちてしまったか。なんだろな時事を自分視点で解説したり昔語りしたりというのは老化上避けられないのかな、嫌だなあ。本の内容は何もない。ただの政経の教科書と同じで超他人事で浅く薄い(おわり

  • 映画化希望!和製フォレストガンプ。

  • 万延2年(1861年)生まれの159歳。名前はこれまで4つ使ってきた。幕末から明治維新、自由民権運動の時代、日清日露戦争の戦勝国だった大日本帝国時代、大正デモクラシー、エログロナンセンスの流行した昭和初年、戦前・戦中・戦後、高度経済成長、昭和バブル期、平成不況、そして令和の現代まですべてをリアルタイムで経験し、3つの世紀と9つの元号の時代を生きた男の一代記。近代150年史が一人の男の中にあるという驚異! 

    島田雅彦は、失礼ながら「終わった作家」のように思っていたが、考えを改めた。これはめっぽう面白かった。島田は60代を迎えて円熟期に入っている。今後も注目しなければならない。

    「「日進月歩」とか、「光陰矢の如し」とか、「苦節二十年」とかいいますが、私が思うに、時間なんてものは現実には存在しない。時間は「あの世」とか「神」と同様、人間が編み出した幻想に過ぎないんじゃないか、と。確かに万物は流転します。私たちは成長したり、老いたりします。物は壊れたり、腐ったりします。そういう変化そのものを時間の経過と錯覚しているだけなんですよ」……これはシベリア帰りの未来人ヒモテツの言葉。(pp.212~213)

  • 面白いし勉強にもなる。
    歴史って本当に繰り返してるのね。

  • 【Entertainment】 人類最年長 / 島田雅彦 / 202200504 /21/940/<285/166551>
    ◆きっかけ
    アマゾンで発見

    ◆感想
    ・明治維新前後から現代に至るまででの歴史が庶民目線で描かれてて面白い。
    ・「肉体は老いなくても精神は老いる」、「人生とは記憶の蓄積のことにほかならない。記憶が失われてゆけば、人生も儚く消える」など、人生100年時代と言われる今、私たちが持っておくべき。
    ・特に前半の「肉体は老いなくても精神は老いる」は、肉体の老いは気づくだろうが、精神の老いってなかなか気づかないものなのではとも思う。いずれにせよ、今ある状態がこのままずっと続くなんていうのはただの希望でしかない、ということは頭の片隅に置いておきたい。

  • 随所に日本社会への風刺が利いてて面白かった。

  • R3/1/4

  • 戦前、戦中、戦後と一人の目を通して見るってことは、こういうことなんだ。やっぱり語り継ぐ、言葉に残すって、大切ですね。

  • ある程度の長生きを超えると、しかも不死となると呪いなのかぁ。

  • 他の人が書いているので、感想のみ。
    うん、薄味だったけど久々の読書にはよい本でした。ただ一人の男の人生がそれこそ歴史に沿って淡々と述べられており、実はこの歴史の裏側はこういうことが実はあったのよ。とかそういうのがあればいいと思った。が、個人的にはこういうのは好きなので★四つです。

  • おっぱいのくだり、いらなかったなあー

  • 本当の生き字引のような一人の人間の話、とても痛快でした。
    最後のお願いが笑えた!

  • 幕末に生まれ、明治から現在まで、さらに未来を生き続ける男。自らの人生譚を通して、平民目線での日本の近現代史を伝える。それぞれの時代は、種々の書籍、映像あるいは年長者の語りで学んできたが、ここに一連の経緯をまとめていただく。とまあ、数奇な男の生涯が小説の体を成してはいるのだけれど、史実をなぞってとりわけ突飛な創作もないので、復習になりましたというところ。ヒモテツの時間の講釈は楽しかった。歴史上の人物は実名と思いきや、児玉誉士夫は鬼頭洪太で登場。松本清張のキャストを拝借していいのかな。

  • 1861年(大政奉還の5年前)に生まれた男。発育不良かと思いきや身体的には老けるのが普通の人のおよそ半分ぐらい。満州の長老に長生きの術を施されたせいもあってか生きに生き続け,現在159歳。不自然にならぬよう名を何度か変えつつこの男が生き抜いてきた明治・大正・昭和・平成の時代を,自分の歴史として生々しく克明に語り尽くす物語。圧倒される。主人公の誕生日1861年3月13日は作者島田雅彦の誕生から丸100年前なのだった。

  • 年を取るのが異常に遅い遺伝子をもった男の物語。
    明治から平成の終わりまで、他人の戸籍を乗り継いで生きていく。

  • 市井の人々に紛れて暮らす超長命者の主人公の眼を通し、明治・大正・昭和・平成の世相を串刺しにしたもので、とても読みがいのある小説だった。実在の人物・事件を処々にコラージュ的に織り込んであるが、違和感なく受け入れられる。老境を通り越した超長命者の心理はいかほどなものかと、想像をかきたてられた。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田雅彦の作品

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