少年と犬

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912042

作品紹介・あらすじ

傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!

感想・レビュー・書評

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  • 第163回直木賞受賞作(2020年)。6連作短篇。

    あれこれと細かいことをいう必要はない作品だと思う。読めば心にすうっと入ってくる。
    犬と人との絆。犬がくれる無償の愛。

    シェパードと和犬のミックスの<多聞>。
    元飼い犬だが野良になり、ボロボロになりながらなぜか南を目指す。
    その道中で出会う人たちにそっと寄り添い、心を通わす多聞。
    最終章で多聞の謎が判明したとき、落涙することは間違いない。

    全体的にサッパリとした調子で、御涙頂戴ではないのが逆に良かった。読者の感じるままに任せているというか。

    良いことも悪いことも含めて人生で、善人も悪人もいる。
    それでも変わらず、犬は私たちを愛してくれる。

  • 馳星周さんの直木賞受賞作品、20年以上前に作者原作の「不夜城」の映画は観たのだが本としては初読み。
    今作品は被災した「多聞」という迷い犬のミックス犬が色んな人々と出会い、助け助けられながら6篇のエピソードを繋ぐ連作短編集。
    凄く暖かい気持ちになる良い作品だった。

    物語の始まりは東日本大震災後の宮城県仙台市。
    多聞は仙台から始まり、新潟、富山、滋賀、島根、そして終着地の熊本迄の道のりを約5年の月日をかけて渡りきる。その都度その土地土地で多聞と関わる主人公が変わるのだが、その6編全ての主人公達が多聞と関わった事によりドラマが生まれている。その6つのドラマが各々素敵だった。

    自分も幼い頃から飼い犬がいる生活をしている。自分の人生の3/4以上は犬のいる暮らし。
    一昨年末に最愛の愛犬を寿命で看取り、その為色々と感情を揺らされてしまうので犬の出てくる作品は読むのを避けていた。ただでさえぽっかりと空いた気持ちにわざわざ穴を広げるような事はしたくなかった。
    しかし新たな縁があって先月からまた犬を家族に迎えいれた、その事により気持ちが前を向いている気がしている。その気持ちのままこの作品を読んだ、素直に読めたと思っている。

    犬だけでなくペットは家族。ある意味ではこの作品のように家族以上の存在になっている時もある、よく分かる。
    犬のいる生活が自分には一番だと思っている。自分にとって犬がいるのといないのでは心の安定度と日々の満足度が全然違う。

    改めて今回この作品を手にとれたのも新しく家族に迎えた犬がそうさせてくれたのだと感じている。

  • とても良かったー!多聞ーー╰(*´︶`*)╯♡
    多聞タモンとは、犬の名前。

    6話の短編連載となっており、全てに多聞が出てくるが、描き方が関わる人側を主人公にしたような、多聞がみんなに新たな気づきや変化を与える物語。

    震災後、迷い犬となるところから。
    これ、犬好きにはたまらないですね。涙
    文庫本になったらすぐ買おうと思い、購入して積読となっていたが、一気に最後の話まで読み切りました!!
    えー、、、、Σ('◉⌓◉’)みたいなラストで次の話に移る事もあったけど、もう多聞で全て帳消し花丸満点!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
    犬って、本当に優しい。
    私も小さい頃、実家で飼っており、色んな思い出が蘇り懐かしく、、、。


    この作者の方、緑の表紙の犬関連のも書いてますよね、コチラも必読したい。

  • 多聞の目は人の心をそのまま映す鏡のようだ。
    多聞と向き合うことは自分の心と向き合うことなんだろう。
    多聞にポツリポツリと語りかける言葉は、そのまま自分の心に語りかける言葉。
    本当は誰かに言ってもらいたかった、そんな言葉でもあるってこと……、そう思ったのだ。

    寄り添ってくれる温かい命。
    多聞は優しい言葉を掛けてくれることも、共感の涙を流してくれることもない。
    多聞は愚かな行いを戒めることもしないし、あきれ果てて自分から離れていくこともしない。
    ただ寄り添う。
    ただただ寄り添い、彼らの言葉にできない孤独や哀しみのため息に耳を傾ける。
    そんな多聞の姿が、彼、彼女らにとっての救いとなり癒しとなり、そして自らの人生を省みるきっかけとなっていく。

    彼らは多聞を守り神だといった。けれども見方によっては、彼らの人生の末路に立ちあう死神なんじゃないかと感じる場合もあるだろう。
    わたしは多聞は魂を狩りにくるような死神ではなくて、ひとり震える魂の声を聴きとり、その魂の孤独な旅立ちを見送る、死を見守る神なんだと思った。
    けれど多聞が彼らの守り神の役目を終え、ある少年と運命の出会いを果たしたとき、わたしが思った死を見守る神という多聞の存在は180度ガラリと意味を変える。

    少年と出会うまでに多聞がともに過ごした彼らの人生の旅立ちは孤独なものであった。けれど思い返せば、多聞が見送った彼らの人生は運命の糸で繋がっていたことに気づかされる。
    そう、少年と多聞が出会うという運命。
    彼らが存在したからこそ結ばれた運命の糸。誰かが欠けていては結ばれなかったその糸。
    確かにそこには彼らの生の証は刻まれている。そう思えば哀しさも少しは救われる。
    はぁ……、じんわりと滲んだ涙をそっと指で拭う。

    命あるものはいつかは死ぬ。
    死を迎えた瞬間、人は何を思うだろう。
    いや、この小説を読むと、当たり前のようにそう思うこと自体が、すでに人間の傲慢さであるように思えてくる。死はある日、ある瞬間、いきなりやってくることの方が多いのかもしれない。人が何を考えようと考えまいとお構いなしに。
    死と生は隣り合わせ。私たちはその意味をあまりにも軽視していないだろうか。


    ブク友さん方と涙活なるものを始めました。
    普段から涙もろいタイプなので、感動の涙などがスッキリストレス解消になることは、なんとなく実感してる。
    順番に本を紹介していくのだけど、うーん困ったな、最近小説はご無沙汰だったからな。韓国ドラマなら自信を持って紹介できるのだけど 笑
    これからどんな涙本に出会えるのだろう、楽しみ。

    • 地球っこさん
      みなさん、こんにちは♪

      雨は上がりましたが、今日も蒸し暑いです(。>д<)

      くるたんさんはたくさんの本を読まれていて、レビューもうまくま...
      みなさん、こんにちは♪

      雨は上がりましたが、今日も蒸し暑いです(。>д<)

      くるたんさんはたくさんの本を読まれていて、レビューもうまくまとめておられ、どの本もとても読みたくなるんですよ。
      レビューには、いつも最初にかっこいい一文を書いておられ、それが深いんです。

      松子ちゃん、了解です。くるたんさんのオススメの本を読んだときに、感想とともに必ずお伝えしますね。

      とはいえ、aoiさんのおっしゃるとおり、生きている間に、どれだけの作品を読むことができるのか、叫びたくなります 笑
      知らない本がいっぱいで、またそれらが面白そうで、もうどうしたらいいのでしょう。

      そしてそして、aoiさん購入されたんですね!
      クオカード、ナイスです。
      お義母さま、ありがとうございます♪
      わたしも昨日は雨だったので、今日夕方図書館寄ってきまーす。
      楽しみ~♡
      2022/07/06
    • いるかさん
      みなさん こんばんは。。

      本日「脱北航路」無事ゲットできました。(ツキアカリ商店街も)。。
      これまで読んだことのない世界でワクワクし...
      みなさん こんばんは。。

      本日「脱北航路」無事ゲットできました。(ツキアカリ商店街も)。。
      これまで読んだことのない世界でワクワクしています。
      少し時間がかかると思いますが、よろしくお願いいたします。。
      2022/07/06
    • 地球っこさん
      いるかさん、こんばんは☆

      ゆっくり、無理せず、読めるときに読んでくださいね。

      あと、ツキアカリ商店街、気に入ってもらえたら嬉しいです(’...
      いるかさん、こんばんは☆

      ゆっくり、無理せず、読めるときに読んでくださいね。

      あと、ツキアカリ商店街、気に入ってもらえたら嬉しいです(’-’*)♪

      そして、そして、いるかさんから教えてもらった、あのサイトから今日、お線香を注文しました。
      お香は、「源氏かおり抄 匂宮 貴公子」です。
      薫のイメージの蓮の香りが、いまの季節にぴったりかなと思って♪
      これから少しずつ集めたいで~す(*>∀<*)
      2022/07/06
  • 2020年直木三十五賞受賞作

    人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。
    こんな動物は他にはいない。
    (「老人と犬」本の見返し部分に引用)

    短編6編で繋がれる、東日本大震災に遭った犬の「多聞」と出会う人々との物語

    犬は様々な人と出会いながら、全編一貫して、どこか一点の場所を目指している
    そこにあるものは?目的は?

    「何か、幸せだと思って」
    「その温かさが、痛みを和らげてくれた」

    みんな『犬』が好きだよ
    『犬』も私たちが好きだって

    犬の無償の愛情と、その交流に泣いた作品だった
    私は重さや悲劇もある割に読後感は良かったけど、個人差はありそう
    (図書本)

  • 東日本大震災で飼い主を亡くした犬、多聞はいろいろな人のもとを転々としながら南を目指していた。なぜ、南を目指すのか最後の章で分かります。その理由が分かったときはすごく感動します!!

    • koujisan941さん
      面白そうですね!
      登録します!
      面白そうですね!
      登録します!
      2024/05/18
  • 最終話を読んでいたら、直木賞受賞の速報が入ってきました。受賞おめでとうございます。

    作者の馳さんの犬のお話は拝読するのが3作目で、私が言うのもおこがましいですが、着実に腕を上げられていて、受賞にふさわしいと思いました。

    物語は、東日本大震災後、半年の仙台から始まります。
    母と姉と暮らす青年、中垣和正が駐車場の隅で見つけたシェパードに似た牡犬の多聞という名札をつけた犬。
    認知症の和正の母が、昔飼っていた犬のカイトと間違えて、「カイトかい」と多聞と一緒に過ごすのをものすごく喜ぶようになり、和正も姉とともに幸せを感じるようになりますが、和正は震災で職がなく、悪い仲間に唆されて、悪事に手を染めていきますが…。

    一方多聞は和正の仕事仲間のペルシャ人のミゲルの手に渡り新潟へ。
    多聞はいつも南の方を向いています。「南に誰かいるのか」と飼い主は尋ねますが…。

    多聞は、富山、大津、島根と、その時々に出会った人々に愛され、皆に色々な名前で呼ばれながら、震災から5年後の熊本で一人の少年と出会います。

    そして、奇跡が起こったのです。
    涙なしには読めないけれど、最高の1冊でした。

    • くるたんさん
      まことさん♪こんばんは♪

      まことさんのレビューでまた涙が…!

      私もなぜに南を目指したのか…わかった時には犬の、動物のチカラを感じました♪...
      まことさん♪こんばんは♪

      まことさんのレビューでまた涙が…!

      私もなぜに南を目指したのか…わかった時には犬の、動物のチカラを感じました♪

      馳さんも多聞にありがとう、の気持ちでいっぱいかも…なんて思いました( ˊᵕˋ* )
      2020/07/15
    • まことさん
      くるたんさん♪

      動物、特に犬は凄い秘めた力をもっていますよね!

      最後の終わらせ方がまた、馳さん素晴らしいなあ!と感動の嵐でした。...
      くるたんさん♪

      動物、特に犬は凄い秘めた力をもっていますよね!

      最後の終わらせ方がまた、馳さん素晴らしいなあ!と感動の嵐でした。

      馳さんも、きっと、多聞みたいな犬を飼われていたのでしょうね。
      2020/07/15
  • 本当の孤独を知る者だけが、誰かを本当に愛し、幸せにすることが出来る。
    と、読後に思った。
    東日本大震災で飼い主とはぐれた犬の多聞はある所を目指して旅をし続けた。岩手から南へ西へ。その間、ガリガリに痩せこけた多聞を助けた人間たちがいた。最初は岩手の男、次に外国人の泥棒、その次は富山県の夫婦、4番めは滋賀県の娼婦、5番めは広島県の老人だ。彼らはある意味どうしようもない生活をしていて、みんな多聞を助けたつもりが、多聞に心を救われる。そして、彼らはみんな旅立ちをすることになってしまうのだが、多聞はその姿を見守った後で、独り強く孤独に旅を続けた。そして、ついに5年後に熊本に着いたのだ。多聞が探していた少年がそこにいることを多聞は知っていたのだ。少年も岩手にいた時は物心がつくかつかないかの歳だったのに多聞のことを覚えていた。前世で結ばれていたかのような絆だった。それから、少年は多聞といつも一緒で、多聞は最後まで、少年を全力で守った。そして、旅立つ時も「大丈夫だよ。いつも一緒だよ。」という言葉を少年に残していった。その言葉には、多聞が5年間の旅で見送った全ての飼い主たちの声も一緒になっていたと思った。
    犬ではないが、私の人生の中で、「大丈夫いつも一緒だよ。」と言ったり、思わせてくれた人がポツリポツリといたが、殆ど亡くなってしまった。その人たちに対しては、「“ありがとう”とちゃんと言えてなかった」とか、「迷惑だけをかけてしまった」とか後悔ばかりが残っている。もし、私が生まれ変わることがあれば、犬になって、多聞のように誰かを全力で助けたいとちょっと思った。

  • 一気読みしてしまった。
    どこから何をどう言ったらいいんだろう。
    またしてもなんだか凄い本を読んでしまった。
    出てくる人が次々と死んでいって、なんなんだろうと思った。
    老人と犬まで読んでそういうことだったのか。と思った。
    少年と犬はもう夢中で読んだ。
    多聞という犬の生き様を見せつけられた。

  • 感動した!
    感動したけど、ちょっと死にすぎ
    なので★4です
    当たり前じゃ
    死にすぎの物語は今後も厳しく行きますよ!

    たくさんのブク友さんたちが読んでいて感動に震えていたので自分も…と思っていたんですが、なんかみなさんのレビューを読んでたらそれだけでもうお腹いっぱいって感じになり、読まなくていいかと思っちゃいましたっていいわけあるか!
    ということでこのタイミング

    そして実は馳星周さんも初読
    うーんこんな感じの物語を書く人なのね

    まぁあらすじや感想なんかはすんばらしいレビューがたくさん上がっているのでそちらを見てもらうことにして、自分はまた変化球で巻末の初出誌に触れたい

    初出誌「オール読物」
    男と犬  2018年1月号
    泥棒と犬 2018年4月号
    夫婦と犬 2018年7月号
    娼婦と犬 2019年1月号
    老人と犬 2020年1月号
    少年と犬 2017年10月号

    なんと最終章の少年と犬が一番最初に発表されてるんですよね!
    これ多分あれですよね、内村がSNSで集めた多聞の情報が順々に集まってきて…みたいな仕掛けだったってことですよね

    リアルタイムで追ってた人には当たり前のことかもしれないけど
    単行本化する際に順番を入れ替えたところに何か作者の強いメッセージがあるような気がします
    それが何かはわからないけど(わからんのかーい!)

    • ひまわりめろんさん
      あ、でもちょっとノワール感あるかも!
      そしてノワールといえばドン・ウィンズロウの『犬の力』
      ここで繋がった!(一切繋がってない)
      あ、でもちょっとノワール感あるかも!
      そしてノワールといえばドン・ウィンズロウの『犬の力』
      ここで繋がった!(一切繋がってない)
      2022/09/20
    • みんみんさん
      顔もワイルドだし!
      不夜城は金城武が好きで観ただけだし( ̄▽ ̄)

      松子さん…犬→ウサギ→ハムスター→鳥の順番じゃないんだ笑
      顔もワイルドだし!
      不夜城は金城武が好きで観ただけだし( ̄▽ ̄)

      松子さん…犬→ウサギ→ハムスター→鳥の順番じゃないんだ笑
      2022/09/20
    • 松子さん
      みんみんさん!
      2段飛ばししてたの知らなかったぁ笑
      可愛いから、結果良しにしときます(^^)
      みんみんさん!
      2段飛ばししてたの知らなかったぁ笑
      可愛いから、結果良しにしときます(^^)
      2022/09/20
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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

馳星周の作品

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