少年と犬

著者 :
  • 文藝春秋
4.12
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本棚登録 : 132
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912042

作品紹介・あらすじ

傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……犬を愛するすべての人に捧げる感涙作!

感想・レビュー・書評

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  • 一匹の犬(多聞)が旅するうちに出会う人々。人間に寄り添い、人間の運命を多聞が見届ける。
    家族のために犯罪に手を染める震災で職を失った男。
    仲間割れを起こした窃盗団の男。
    壊れかけている夫婦。
    男に貢ぐ娼婦。
    死を迎える老猟師。
    震災のショックで心を閉ざした少年。
    ノワール物ではない、犬! 犬が主人公のお話。人間の愚かさが浮き出て、多聞の温もり優しさ、忠実さが際立ちます。多聞が出会う人みんな、多聞によって光をもらえたと思います。特に最後の少年とは強い絆で結ばれていて(本当かいなと思える内容でしたが、互いの愛情にジーンときました)。犬は寄り添う生き物なんですね。多聞が神のように思えました。

  • “ありがとう”の一冊。

    馳さんの描く犬の物語はやっぱり良いな。

    犬の眼差し、ちょっとしたしぐさに静かに心を傾けられる時間が好き。

    犬 多聞と6つの出会いと別れ。誰もがこの多聞から必ず何かを得る、喜びや愛を知るところには哀しみはあるけれどそれ以上に読み手の心に温かさを届けてくれた。

    なぜに多聞は南の方角を目指すのか…最後の章は一番涙が止まらなかった。

    馳さんの“あの時”を忘れない、忘れてはならない思いもヒシヒシと感じる。

    守護天使 多聞に“ありがとう”の言葉を添えて読了。

  • 一匹の犬多聞を巡る物語。
    「そばにいるだけで、人に勇気と愛を与えてくれる」「人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にはいない」「人という愚かな種のために、神様だか仏様だかが遣わしてくれた生き物なのだ」
    犬を賛美する言葉が宝石のように全編に散りばめられている。
    人の笑顔を引き出し、孤独を癒し、優しい気持ちにさせ、幸せな時間を与えてくれ、時には善悪の判断を促す。
    6話どれもが、胸を打つ。

    老人が「孤独と死の匂いを嗅ぎ取ったから。
    孤独を癒し、掛けられない死を迎えるその時のために、家族探しを中断してそばにいるのではないか」と語る。
    そう思う。多聞が経験したことを考えると、きっとそうなのだろう。
    最後はもう…
    電車の中で読んでなくて良かった。

  • 東日本大震災から半年たった、仙台のとある駐車場に、犬がいた。首輪に多聞という名前のタグがついたその犬は、人の言葉を理解し人の心を癒してくれる。復興のなかさまざまな苦しい生活をする人の心に寄り添いながらも、多聞はどこかを目指しているようであった。
    一時的な飼い主たちを癒し、そして愛されながらも、多聞は南を目指す。5年かけて多聞が行き着いた先には。
    少年と犬との不思議なつながりに感動。

  • 図書館で運良く新刊を借りる事ができました!
    ある1匹の多聞という名の犬が、何かを目指し、渡り歩く物語。
    その間に人と出合い、一時の飼い主が現れ、その飼い主ごとに描かれた連作短編のようにも思えるけれども、ちゃんと続いているお話です。
    それぞれの飼い主には独特の人生があって、その人生を犬と共に見事に表現されているのには頭が下がります。内容も興味深く面白いです!
    そして多聞が目指していたものには、涙なしでは読めませんでした。多聞のひたすら純粋な思いとまっすぐな行動に脱帽し、胸が打たれます。
    一気読みできます。
    あまり他にない、素晴らしい1冊です。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。

  • ハードボイルド+αなかなかの物語

  • 4.2

  • 第一章『男と犬』
    始まりはこうだ。
    「駐車場の隅に犬がいた」
    大震災から半年のこと。
    男の前に「多聞」は現れた。
    6つの話からなる連作短編集。
    犬は「多聞」
    「クリント」「レオ」「ノリツネ」とも呼ばれた。
    飼い主を癒し
    「多聞」が最後にたどり着いたのは・・・。

    「多聞」はどうしてその人の前に現れるのか。
    その理由が分かり優しい多聞をギュッと
    抱きしめたくなった。

  • 一気読み。多聞に会ってみたいと思った。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。著者多数。近著に『アンタッチャブル』『陽だまりに天使たち ソウルメイト2』『神奈備』『比ぶ者なき』『神の涙』がある。

「2020年 『暗手』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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