新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912325

作品紹介・あらすじ

冬に来る第2はさらに強毒化するのか?ワクチンはいつ開発されるのか?終息はいつになるのか?人類にとって、戦後最大の脅威となっている新型コロナウイルス。私たちはいかに、未知の感染症と向き合えばいいのか?著者の河岡義裕氏は東大医科学研究所ウイルス感染分野教授、同感染症国際研究センター長、ウイスコンシン大学獣医学部教授を兼任、世界で初めて新型インフルエンザの人工合成に成功し、エボラウイルスのワクチンも開発中の、ウイルス学の世界的権威である。そして一部を除いて、テレビなどメディアでの発言は避けてきた。その河岡教授が、新型コロナウイルスのワクチン開発や治療法、特効薬に関する最新の研究成果、有効な対策と無意味な対策、終息までの見通し、ウイルスの正体について、分かりやすく解説する。聞き手は昨年、大宅賞を受賞した気鋭のノンフィクション作家・河合香織氏。新型コロナウイルスを正しく理解する決定版!

感想・レビュー・書評

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  • トランプ大統領の新型コロナウイルス感染症罹患のニュースはとても衝撃的だった。
    一方、東京都の発表では、5月までに比べて6月以降の方が確実に死亡率は下がっているという。
    今、新型コロナウイルス感染症がどのようなフェーズにあって、どう向き合っていけば良いのか難しいところだ。
    確かな知識がほしい。

    本書は、ウイルス学の世界的権威がコロナについて、これまでにわかって来たこと、分かっていないことを比較的冷静に伝える内容。
    ほんとは、「正しい知識を身につけて、恐れることなくウィズ・コロナを実践してほしい」と、言いたいところだけど、これから起こることが予測できないので、「恐れることなく」とは言えないそうだ。

    ・ウイルスはランダムに変化しているだけ。ウイルスが生き残るために選んだ手段ではない。遺伝子が複製されるときの間違い。ちゃんと複製できれば変異しない。ウイルスに生き残る戦略などない。

    ・ワクチンには①生ワクチン、②不活化ワクチン、③サブユニットワクチンと3種類あるが、これらの従来型とは別に注目を集めているのが、「遺伝子ワクチン」(DNAワクチンやmRNAワクチン)。コロナのワクチンとして開発を目指している。

    ・拙速なワクチンの実用化は弊害も大きく、望ましくない。安全性を厳重に確認したワクチンであっても、一定の割合で、必ず重篤な副反応がある。もし実用化を急ぐあまり安全性をしっかり確認できなかった場合は、のちのち人が苦しむことになりかねない。

    ・また、ワクチンを接種することでADE(抗体依存性感染増強)という、病気がより重篤化する現象が起きることも懸念される。

    ・新型コロナウイルスの研究では、中国が先頭を走っている。

    ・インフルエンザと異なり、ウイルスの量と重症度の相関はない。

    ・ハムスターなどを用いた動物実験で、コロナの抗体はワクチンや治療薬に有効であることがわかっている。

    ・ウイルスに感染すると、免疫細胞が活性化され、増殖する。異物であるウイルスの排除に関わり、その役目を果たした細胞は死に絶える。後に残るものを「記憶細胞」といって、2度目の感染の際にこれがたくさん増えて、効率よくウイルスを排除する。これが免疫を獲得したといわれる状態。

    ・欧米に比べて感染者数が少なく、死亡率も低いことを根拠に、日本は特別だと思う風潮が見受けられるが、とても危険。第二次大戦の初期の空気に似ている。

    ・2020年10月から2021年2月までは特に注意が必要。

    ・近い将来、効果の高い抗ウイルス薬が見つかると、重症化する数は減る。
    ・断続的な流行は2〜3年続くが、ワクチンが開発されたコントロールできるようになるだろう。
    ・しかし、集団免疫を獲得するまではかなりかかる。

    ・コロナウイルスは70〜80%のエタノールか0.05%の次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸水ではない)で失活する。

    ・皮膚からは感染しない。手に触れてもよく手洗いすれば良い。

    ・新型コロナウイルスが人為的に作られた可能性は極めて低い。

    ・重症化には、遺伝子が関わっている可能性がある。

    ・気が緩んでいるから感染するわけではない。

    ・ペットにもうつる。不顕性感染なのでわかりにくいので注意。イヌよりネコの方が感染しやすい。

  • 新型コロナのワクチンを打つ前に読んでおきたい必読本3冊 | PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン) | “女性リーダーをつくる”
    https://president.jp/articles/woman-print/43011

    真打ち登場!テレビを見るならこれを読め『新型コロナウイルスを制圧する』 - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/45730

    「新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その『正体』」河岡義裕/聞き手・河合香織 文藝春秋/2020年|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/277998

    『新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」』河岡義裕 河合香織 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912325

  • h10-図書館2021-3-3 期限3/17 読了3/6 返却3/7h10-図書館2022/12/15 期限1/5 既読のために 返却12/17

  • ☆令和2年度先生が選んだイチ押し本☆

    請求記号 493.87/Ka
    所蔵館 2号館図書館

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥
    りんくう図書室

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000940777

  • HONZで阪大の仲野教授が紹介していたこともあって手に取ってみた。
    マスコミ報道含め、玉石混交の中、信頼できる情報を読むことができるのはありがたい。
    今わかっていること、分からないこと。第一線で何を研究していて、何ができそうになっているのか。ノンフィクション作家が、超多忙であろう研究者の研究を聞き語りで仕立てる、というスタイルも素人には理解が進んで良かった。
    本自体は200ページと薄く、また文字も大きいので情報量としては限られる。出版時現在で分かっていること、それを一般人が理解できる範囲でとなればここが限界だったのか。少し物足りなさが残った。

  • <目次>
    まえがき
    第1章  新型コロナウイルスの研究最前線
    第2章  ウイルスと共に生きる
    第3章  ウイルスと私

    <内容>
    世界的なウイルス学の権威、河岡先生の話を、ノンフィクションライター河合香織氏が聞き書きをしたもの。大変分かりやすく、コロナウイルスの何が怖く、何をしてはいけないのか、大変分かりやすい。その後の状況などから、「コロナウイルスが季節性があるかもしれない」などは、外れている可能性があるが(8月に第2波が来ているので)、第2章はよく参考になるし、マスコミのもしくはネット上の情報が、如何に杜撰かもよくわかるので、冷静になることができる。研究者なので、大胆な踏み込みはないが、コロナのポイントを押さえるなら、この本がよいだろう。

  • ウイルス学の権威 東大医科研の河岡教授への対談本。
    面白い。
    分かっていることと分かっていないことを、冷静に解説してくれているので、こういう本が重要。マスコミは煽るだけで役に立たないので、今は自分で知識を身につけな、と思わせてもらました。
    正しく恐れて、ストレスなく、日常生活を送りたいものです。
    リバース・ジェネティクスによる、ウイルスの人工合成はすごい技術だ。

  • 【新型コロナウイルのすべての謎を解き明かす】未曾有のパンデミックはなぜ起きたのか?過去のウイルスと何が違うのか?ワクチンはいつ実用化されるのか?について第一人者が解説。

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著者プロフィール

2017年8月現在
東京大学医科学研究所ウイルス感染分野教授

「2018年 『猛威をふるう「ウイルス・感染症」にどう立ち向かうのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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