ロッキード

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 483
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163913032

作品紹介・あらすじ

角栄はなぜ葬られたのか? 新証言と膨大な資料を駆使した人気作家渾身の超弩級ノンフィクション、ついに刊行!。

フワフワとした事件――元最高裁判事が抱いた違和感とは。前総理逮捕という「特捜の金字塔」は神話に過ぎなかったのか。関係者多数に徹底取材。多くの新証言を得て田中角栄を葬った“真犯人”に迫る。いまロッキード事件の真実が明らかになる。

ロッキード事件を見つめれば、この国のかたちが見えてくる。
〈自民党の長期政権の功罪、金権政治、日米関係、政治と検察庁の関係、さらには熱しやすく冷めやすい国民感情等々。それは、まさに日本の現代史を象徴する事件だった。ならば、すべての先入観を捨てて事件を再検証する必要がある〉(序章「霧の中の大迷宮」より)

(目次)
第一部
第一章 アメリカから飛んで来た疑獄
第二章 政治の天才の誕生
第三章 金権政治家の烙印

第二部
第四章 トライスター請託の不可解
第五章 五億円とは何だったのか
第六章 裁判所の不実
第七章 吉永祐介の突破力
第八章 毒を喰らった男

第三部
第九章 もう一つの疑惑
第十章 児玉誉士夫という生き方
第十一章 対潜哨戒機
第十二章 白紙還元の謎
第十三章 “MOMIKESE”と訴えた男

第四部
第十四章 角栄はなぜ葬られたのか
終章 残された疑惑

真山仁(まやま・じん)
1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業後、新聞社に入社。フリーライターを経て2004年『ハゲタカ』でデビュー。以後、現代社会の歪みに鋭く切り込むエンタテインメント小説を精力的に発表し続けている。近著に『標的』(文春文庫)、『シンドローム』(講談社文庫)、『トリガー』(KADOKAWA)、『神域』(毎日新聞出版)などがある。本書は初の本格的ノンフォクション作品。

感想・レビュー・書評

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  • 500ページ超え。
    図書館で借りたのだけど、2週間で読み切るのはなかなか大変だった。難しい内容ではないのだけど、分厚いんで気が負けるというか、なかなか読み進んでいる気がしなくて、返却期限が気になるし…

    田中角栄のロッキード疑惑をめぐる本。
    ロッキード事件と言えば、戦後最大の政界の闇と言っても過言ではない事件。
    裁判の頃、朧げに記憶あるけど、幼心に「無罪になればいいな…」と思っていた。理屈はない。ただ、直感だけど、田中角栄がそんなに悪者に思えなかったのだ。
    おじさんになった今では、政治にどういう正しさを求めれば良いのか、よくわからなくなってしまった。
    この本を読み進めていくうちに旅客機選定のための賄賂の5億円なんて、たいしたことないじゃん…と感覚が麻痺してくるのが怖い。

    ただ、現在よりも、昭和の頃の方が、政治が国を動かしていたな、と。
    この頃の政治家の金銭感覚に比べると、今の政治家はずいぶん清廉潔白になった気がするけど、国民の政治への期待も小さくなったよね。

    この本読んでの感想だけど、ロッキード事件でいちばん悪いのはN曽根さんだね…。きっと。あと、S藤さんもそうとう…

  • 分厚くて読み応えありますが、興味深い分析にぐいぐい引き込まれました。

  • 前に立花隆の田中角栄研究という本を読みました。
    そちらの方が自分は面白いと思いました。
    田中角栄は今迄に一杯書かれているから今更という感じですね。

  • ★4.7
    田中角栄という、政治家を私は誤解していた。
    敗戦国ということが、これほど影響しているのかと、正直に思った。どうやら、角栄さんは、CIAに睨まれて、失脚させられたというのが、真相に近いらしい。
    我が国にとっては、あと数年総理を勤めていただいていたら、かなり、さまざまな面で変化があったかもしれない。

  • 真山氏渾身のノンフィクション作品。週刊文春連載時にサラッとは見ていたが、今回腰を据えて拝読。事件当時は小学生で、ピーナッツと「記憶にございません」と手が震えて署名できないニュース映像が記憶に残っている。同時代で都度都度ニュースは興味をもってみてきたが、まとまって疑惑の論点が並べられると、色々な複雑な状況と社会情勢、70年代という世相が連関していることがよくわかる。法解釈が時代と世相と世論でここまで大きく振れるんだなあ。オイルショックを期に角栄のアラブに対する独自路線がアメリカの尾を踏んだという単純な構図ではないこともよくわかった。5冊分くらい読み終えた感じ。。

  • ロッキード事件を扱ったノンフィクション。
    たくさんの資料、取材から真相を推測していく。
    凄いボリューム、これで2500円はお得。
    知っている人は知っているんだろうが、
    ロッキード=田中角栄=アメリカの策略
    なんて簡単な話でないことが、よくわかる。
    金に塗れていたことは疑いないと思うが、こと
    ロッキードに関しては、有罪ではないと思われる。

  • これだけの分量を書くのにどれだけの取材を重ねどれだけの資料と格闘したのか、まずはその執念に脱帽。

  • 私の中でのローキードといえば、小学校の謝恩会で国会証人尋問の劇を行ったこと。

    完全懲悪のストーリーとして台本が作られていたのだから、子どもながらに当時のマスコミをそのまま信じていたのであろう。

    今となっては、そんな劇がなんの問題もなくできたことの方が感慨深いが・・・(笑)

    改めて読んでみると、実際には知らないことばかりで、アメリカとのパワーバランスが未だに脈々と続いているのである。
    というものの、政治に無関心な私が、著者が好きだからということもあり、読んでみたのであるが・・・
    他の関係本も読んでみたい気になっている。

    これを元に、史実に限りなく近いフィクション大作を期待したい。

  • ロッキード事件とは?
    ロッキード社が自社の航空機購入のため、田中角栄に賄賂を送り、賄賂を受け取った事件であり、ロッキード→田中角栄のルートは、児玉ルート、丸紅ルートなどいろいろ取り沙汰されているが、結局は田中角栄は賄賂を受け取り、全日空に働きかけをしたのだから、有罪になった。
    ロッキード事件については詳しく見聞したことがなかったため、これが本著を読む前に持っていた事件に対する漠然としたイメージでした。
    しかし、その認識は一変させられました。この通りだとすると、ロッキード事件とは何だったのか。アメリカ側が触れられたくないところから遠ざけるために上げた狼煙に、自分の政治状況を変えるチャンスと思った三木武夫や、威信回復を狙っていた検察が事件だ事件だと引き返すことができない状況で突っ走った結果、このように後世に残るような事件として「だけ」が残ってしまったように思える。事件の真相も教訓も残さないままに。
    本の内容としては、丹念な取材結果の現れであると思うが、一見、事件とは関係のなさそうな、別の時間軸や話題に飛んだりする。しかし、そういったことも含めて事件の文脈として捉えれば、事件が虚構だったという考えが荒唐無稽ではないどころか、本著が提示する事件への見方が真実に近いものという印象になってくる。
    ロッキード事件に興味があるなら、手に取って損はない一冊だと思います。

  • 再読

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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