- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163914145
作品紹介・あらすじ
新型コロナウイルスが蔓延した武漢。
あのとき中国で何が起きていたのか?
亡命中国人作家による告発のドキュメンタリー・ノヴェル。
佐藤優氏、戦慄。
「コウモリの謎」に戦慄した。習近平帝国の秘密が暴かれる。
新型コロナウイルスについて描いた多々ある小説の最高傑作。
――佐藤優
妻子の待つ武漢へ、男はロックダウンされた大地をひとり行く。
彼が中国に帰国したのは、新型コロナウイルス蔓延により、故郷・武漢がロックダウンされたその日だった。すべての交通手段は遮断され、ひとたび感染を疑われれば強制隔離が待つ。地方政府にかけあい、バイクや舟を駆り、あるいは地方の小村などを経ながら、彼はただひとりの決死行をつづける。
ネットを通じて、またドイツの知人を通じて続々と入ってくる新型コロナ発生と蔓延の闇。武漢ウイルス研究所を取材しようとした若きネットジャーナリストはライブ配信の最中に官憲に踏み込まれ、「失踪」する。ウイルス研究に関する内部告発は次々に「デマ」とレッテルを貼られて消されてゆく……。
長い旅路の果て、彼を武漢で待つ運命とは?
感想・レビュー・書評
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どこまでがリアルで、どこまでが虚構なのか。実在する人物、事件を散りばめながら、その境界線を曖昧にし、臨場感を煽る。しかし、読み手はスッキリとノンフィクションとして受け止められないため、何を信じれば良いか、後味の悪い読後感を引きずる。人は、信じたいものを信じる。作者の思想を混ぜながら、あくまで小説という形で描き切る。
一方では、そうとしか扱えない話だという事。あとがきで訳者も書いている。コロナ禍の武漢におけるロックダウンや病床のリアル。警察とのやり取り。失踪する人たち。蝙蝠を食用にする事で感染症が広がったのか、研究用途が漏洩したのか、そもそも武漢発祥では無いとシラを切り続けるのか。
思い出すと、当初の武漢における医療崩壊や死と直結したパンデミックの恐怖感は、恐らく弱毒化しただろう今のcovid19や社会の雰囲気とはまるで違う。未知への恐怖が大きかった。その退廃的世界観をノスタルジアに思い出す、ある種のコロナ文学として、重要な一冊だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新型コロナウィルスが猛威を振るう中国の姿をまざまざと見せつけられる小説。こんな国に住みたくない。個人の権利は問答無用で切り捨てられ、全体が最優先される。個人は天網(スカイネット)で監視され、裁判もされずに監禁拷問される。まさしく1984の世界だ。
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●武漢ウィルスをCOVID-19と呼ぶようにした。数年後、大勢の中国人は米国から中国にもたらされたもので、武漢を最初に感染させられた中国の都市とのみ知るのである。
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小説としては正直読みづらいと感じる。今のある程度コロナウイルスが制御されてきたような時期から見るとここで書かれる武漢の状況そのものがデマのように感じてしまいそうになるけど、ここに書かれていることはそれなりの真実を写しているのだろう。そしてコロナウイルスの有無に関わらず中国共産党の抑圧的な社会で生きるということのむずかしさ、そしてそのような世界は現実に今も数多くの人が生きているという現実に目が眩む。それを難しいと感じないように見猿聞か猿言わ猿的に生きていく人はおそらく多し、それはそれほど難しくなくできてしまうのだろうけど、そんな社会を垣間見ることができる。
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前半読んだがイマイチ入り込めなくて断念。翻訳小説全般に思うんだが、本筋とは直接関係ない遠回りな描写や婉曲表現が多くて疲れる割に進まない。翻訳するときに半分くらいにならないものか。
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【亡命作家がコロナ禍の中国の真実を描く長編小説】妻子の待つ武漢へ、新型肺炎が蔓延し封鎖された中国をゆく男の決死行。中国からの亡命を余儀なくされた作家が放つ渾身のコロナ文学。