香君 下 遥かな道

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915166

感想・レビュー・書評

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  • なんと気高い物語なのだろう。その気高さは、絶対的な孤独、孤絶の上に成り立っている。あまりにも理不尽だが、未来への想いだけが、命を支えている。崇高な孤絶の系譜が、今もどこかで続いているということか。

  • 大作。上下読了。
    完全なる創作かと思ったら、実際に植物がそういうコミュニケーションをとっているなんて興味深い。
    架空の世界なのに、食糧危機とか、政教分離とか、どこか今の自分達に繋がっているような気がした。
    我々の所にもヒシャが飛んでくるのだろうか。
    何かそれだけに依存するのは怖い。

    異世界苦手と思ってたけど、これだって異世界。
    いや全然得意じゃんと気づくが、何が違うんだろう。
    ボリュームがあってもグイグイと読めた。

  • 圧倒的に今年読んだ本No.1

  • 濃ゆかった。

    バッタの被害、それを食い止めようと調べるアイシャ達の一連の描写はゾッとして鳥肌たった。

    また、香君宮に諸侯を集めてからの展開も静かにでも確実に人々をググッと動かす力強さを感じた。

    正直、めちゃくちゃ派手な展開はない。決して派手さはないもの着実に問題は大きくなり、蝕んでいくものを必死に食い止めめようとする力強さを感じた。

    この物語の人物は誰も問題から逃げず真っ向から向き合う強さを持っていて、その信念の強さが物語の強さに繋がっているように感じた。

    2022.6.11
    81

  • とても面白かった。
    この世界には、様々な生物達が様々な営みをしながら必死で生きているんだと感じた。
    それぞれが必死で生きて、時に助け合い、時に害し合う。その中でも互いを尊重し、共存する方法を模索する。
    そんなことを感じた。
    私も香君さまみたいに、様々な生物の営みの香りを嗅いでみたい。
    嗅ぐことはできなくても、あんな声やこんな声が溢れているのかなと想像しながら過ごしてみようと思った。

  • 畳みかけるように次々と困難がアイシャやマシュウを襲う。オゴダ藩で育てられてきた救いの稲を全土で育てた後に災いがふりかかる様はホラーかと思うほど。
    ファンタジーのジャンルなんだけど、生きとし生けるもの全てに理由があるとすれば人の害になるものでも根絶した時の恐ろしさを見た気がする。
    主人公アイシャは自分の置かれた立場に足掻きながらも成長し、自分が国民から求められている姿も理解しつつも自分の意志によって香君という存在を変えていこうと邁進する姿に胸がすく思いがした。アイシャの成長にオリエの存在が欠かせなかったのは間違いないところだとも思う。
    マシュウもめちゃ、かっこよなんだけど、それは愛する者を守るためにはアッサリと身を引き、でも遠くから絶えず見守りつつ、そして国の未来のためにどうすべきかを常に考えてるからなんだよね。
    為政者に求められるものは目先の利益ではなく、その先の未来を見据える力、自分を守る為ではなく国民に利益をもたらす道を探す事なんだよなと思えたけど、今の世界ではそうなっていますかね?

    上橋さんの作品はどれも女性が自立していて、かつその傍で影日向に彼女を守るかっこよな男がいるのだ。だから好きなのかなぁ。

    私設図書館にて。市の図書館ではこんなに早くに読むことは出来なかったので感謝。
    いやーまた上橋さんの昔の作品読みたくなったー。

  •  上橋菜穂子さんは、児童文学作家として世界的に評価されているけど、そんなカテゴリーにとらわれずもっともっと評価すべき作家だと思います。
     本当に他には無い世界を作り上げて、そのベースには、社会や科学、何よりも自然に対するハイレベルの思想がある。多分、上橋さんの頭の中には、物語世界の中でのいろいろなシーンが溢れんばかりにあるのでしょうが、それを抑えて最適と思われる長さに抑える作家としての胆力や文章力。これから、世界でもっと評価されて、もっと多くの人に読んで欲しいです。
     「最適と思われる長さ」と書いてしまいましたが、一読者としてはもっと読みたい!この本だけで無く、他のシリーズも含めて、続編、外伝を強く期待します!

  • 下巻、最初からスリリングな展開で上巻以上にハイペースで読破しました。人、虫、鳥、草木といった万象、それぞれが生きるために、少しずつエゴればバランスが崩れる。先祖が決めた決まりを変える意味とリスク、変えないリスク。登場人物それぞれの決断と思惑。稚樹環境変動が激しい今、考えさせられました。物語はとても楽しかった。

  • 夢中で読み進めた。

    オアレ稲は、オオマヨは、バッタ、そして香君という存在は、今の何を象徴しているのだろうということをぼんやり考えながら読み続けた。どんどん物語は加速して、怒涛の展開だった。

    この物語のように誰かひとりが頑張るだけではダメなのだ。もう現実を生きる私たちも何かひとつのものに依存してしまうことの危なっかしさ、利便性だけを追求してきた結果、自然破壊が進んでしまったことの影響などなど、このままではいけないということは多くの人が感じている。だけど、どこかでまだ大丈夫だと現実を見つめられていない。誰かが何とかしてくれるだろうという甘え。

    特効薬も救世主もいない。自分は何を選ぶかということをひとりひとりが真剣に考えていかないと。過去を軽んじず、過去に学ぶ必要性。なんてこともぐるぐる考えながら読んだ。

    植物のことをもっともっと知りたくなる。
    上橋さんがたくさん参考文献も載せてくれているので、気になる本も読みながら、『香君』も何度も何度も読み返していきたい。

  • 文句なしの5
    最後までずっと面白かった。
    幻の里は結局なんなのか分からないままなのがちょっと不満

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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