墜落

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 322
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915548

作品紹介・あらすじ

貧困、基地、軍用地主……「沖縄の闇」に踏み込み、知られざる本当の沖縄の姿をフィクションによって抉り出す問題作!
入念な沖縄取材で明らかになった暗部が、白日の下にさらされる。

2022年6月金城華が夫の一を刺殺。DVに耐えかねた妻が夫を殺した単純な事件として解決するはずだったが、担当検事となった冨永真一は不審を感じ、みずから捜査に乗り出す。
ほぼ時を同じくして糸満市で自衛隊の戦闘機の墜落事故が発生。民間人が死亡したことで、軍事基地が集中する沖縄では、 抗議デモが巻き起こる。それに加え、航空自衛隊きってのエースパイロットによる事故は、単なる操縦ミスとは考えられない。戦闘機に何らかの不備があったのではないかと疑念が湧くが……
一見何の関係もない、二つの事件。だが、双方の担当となった冨永が捜査を進めていくと、そこには思いもかけない接点が浮かび上がる。
かつてない臨場感で沖縄の闇に迫る、冨永シリーズ第三弾にして最高傑作が誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 二つの事件がもっと絡みあうと思って読んでいました。
    シンプルでしたね。
    沖縄の話となると米軍基地問題でどうしても重くなりますね。
    戦闘機の墜落をテーマにするとパターン化している気がします。

  • 感想
    沖縄に巣食う問題に正面から切り込む。筆者特有のリアリティが光るが、登場人物が多く、場面が目まぐるしく変わるため、ついていくのがやっと。大まかを理解できればいいのだが。

    スクランブルが増え、負担が増大する現場、パフォーマンスで他県からやってくる運動家、沖縄はどうなるのか?日本は誰が守っているのか、誰に皺寄せがいっているのか、考えさせられる本だった。

    あらすじ
    舞台は沖縄。日米で共同開発したF-77戦闘機。空軍のエース我那覇は、戦闘機の操縦に一部違和感を感じていたが、そこはアメリカが機密にしている部分で原因が明らかになっていない。

    ある日のスクランブルで、我那覇が操縦するF-77が喜屋武岬に墜落し、タクシーを巻き込む。

    一方、金城華は夫を殺害したとして検察の取り調べを受けていたが、曖昧な供述が目立つ。

    沖縄に根付く基地問題、自衛隊、未成年事件などを切る小説。

  • 小松基地の自衛隊墜落事故の原因が、「空間識失調」だと身近なニュースとして初めて知ったこともあり、少し入りやすい内容ではあった。
    とはいえ、沖縄の歴史、そして今も続く負の遺産。
    温暖できれいな海、リゾートという側面との表と裏。

    これからも続く、一筋縄ではいかないアメリカとの関係。

    そんな根底を漂わせながらも、冨永検事シリーズでもある。と遅れて気付く。

  • 普通なら,面白くないわけないメンツが登場してるし,舞台が沖縄.
    基地問題,貧困,教育,などなど沖縄の問題を抉る…重厚で読み応えある作品間違いなし!
    …と思っていたのだけど…
    流石の真山仁も,「沖縄」は描ききれなかったなぁ,と.
    そもそも視点が自衛隊側からの要素が強すぎて問題点が羅列されているだけで空中分解してしまっている.
    ヤマトと沖縄,アメリカ…その構造的な差別や偏見,そこを描くには内容が薄すぎるし,敢えてなのか,調査不足なのかわからないけど,その構造的差別そのものの描写を批判なく垂れ流してるあたり,ちょっと真山仁らしくない,消化不良な作品だった.
    事物の描き方もコラプティオやハゲタカに比べると随分ぞんざい…残念.
    とは言え,そこは真山仁ですから,沖縄にルーツがない人ならそこそこは楽しめるかな,と.

  • 筆者が元ライターということもあり、記者を絡めた運びがうまい。残りページが少なくなっても結末が見えてこなくて嫌な予感がしたが、案の定、曖昧な終わり方で伏線回収も半端。残念。

  • 沖縄の問題って知らない事が多いんだなと思いました。
    日本、沖縄、基地、考えさせられました。

  • 冒頭のインパクトある「墜落」からダイナミックな内容を期待していたがそこまでではなかった。
    2つの話を中心に進んでいくが、それぞれが交錯することなく沖縄の事情を読者に伝えるだけに。
    真山さんの真骨頂とは言い切れず。
    ただ題材は良いと思った。

  • 二つの事件のうち、自衛隊関連については似たようなケースが実際にあった為、イメージし易い。
    もう一方の事件は、胸くそ悪いですね。

    次期戦闘機については、令和の今、日英伊のJVで開発するとのことだが、是非とも我が国が主導権を握って欲しいものです。

    追記
    胸くそ悪い方の事件に関連して、最近の新聞記事で同様の記事(子供の問題)を目にしました。あまりにも切ない。

  • 一気読み。余韻が残る。無理だろうけど、もしかして正義が実現されるかもと…。ただ金城家の思考はまったく理解出来ず。防衛、安全保障も個人の問題に落とし込むと、さらに糸絡まる。政治決着のため個人の責任がでっち上げられる…現実の社会でも。「死んだオジーが言ってたの。人はたくさん間違いをするけど、それはしょうがないんだ。それより大事なのは、ウソをつかないことだよ。人に隠してしまいたい失敗だって正直に認めることなんだって」

  • 現実に近いのかもしれないが、中途半端な終わり方。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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