直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915838

作品紹介・あらすじ

「定説となっている考えを、論理的に打ち砕く破壊力を持っている」
――更科功氏、驚愕!

 生命40億年の歴史のなかで、人類だけが直立二足歩行をして生き延びた。
 それはいったいなぜなのか?
 直立二足歩行の起源とは?

 現役バリバリの古人類学者にして、「足と足首の専門家」である著者が、レジェンド人類化石や最新化石、さらには現代人の歩行や二足歩行ロボットの研究現場までを訪ね歩き、この永遠の疑問に迫る、痛快科学ノンフィクション。

 チンパンジーと人類が分岐したのは約600万年前と言われる。四本足で歩いていた共通祖先から人類は二本足で立ちあがり、やがて道具を手にした……そうした一本道のイメージで人類進化をとらえている人は多いだろう。
 しかし、著者が訪ねたドイツの発掘現場には、衝撃的な化石が待っていた。人類揺籃の地であるアフリカではなくヨーロッパの、1100万年も前の地層で、「樹上で」二足歩行していた類人猿「ダヌビウス・グッゲンモシ」の化石が見つかったのだ。
 さらに近年、同じく樹上で二足歩行していた「ルダピテクス・フンガリクス」も発見された。
 一方、定説で想定されている「600万年前頃の、四足歩行する大型類人猿」という、人類とチンパンジーの共通祖先の化石は、いまだに見つかっていない。

 ……もしかして、1000万年前頃のヨーロッパには、樹上で二足歩行する類人猿がいろいろいたのかもしれない。そのなかの一つの系統が、アフリカに進出して、立ったまま地上生活を始めたのかもしれない。
 さらに、著者は新種の古人類「アウストラロピテクス・セディバ」が、現代人とは異なる歩き方をしていたことを突き止める。

 これまで積み上げられてきた人類史は、いま大きく動こうとしているのか。人類が立ちあがったのではなく、チンパンジーが手をついた? さまざまな歩き方の人類があちこちでさかんに歩き回っていた? 人間が人間になれたことに、二足歩行はどう役立ったのか?
 現在もっとも熱い分野の最先端の現場を生き生きと楽しく活写する、古人類学愛に満ちた一冊。読めばきっと、すばらしく便利でものすごく不便なこの二本の足が愛おしくなる。

感想・レビュー・書評

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  • 今週の本棚:中村桂子・評 『直立二足歩行の人類史』=ジェレミー・デシルヴァ著、赤根洋子・訳 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20220903/ddm/015/070/021000c

    直立二足歩行の人類史 ジェレミー・デシルヴァ著: 日本経済新聞 [有料会員限定]
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD021GT0S2A900C2000000/

    『直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足』ジェレミー・デシルヴァ 赤根洋子 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915838

  • 978-4-16-391583-8
    0098¥2600E  一般>単行本>外国文学、その他

    直立二足歩行於人類史
    人間を生き残らせたできの悪い足

    2022年8月10日 第1刷
    著者:ジェレミー・デシルヴァ
    ------------------
    カバー袖より

    人間が立ち上がったのではなく チンパンジーが手をついた?
    人類は地面に手をついて歩く共通祖先からチンパンジーと別れ、二足歩行になった‥
    だが今、その定説を覆す証拠が次々と見つかり、人類史のイメージは大きく変わろうとしている。
    なぜ人間だけが直立二足歩行動物として生き延びたか。気鋭の「足首専門家」人類学者が、古人類学のレジェンドから現代人の歩き方まで、研究現場を訪ね歩いて辿り着いた、「二本足が人間に人間性をもたらした」真実とは?
    生き生きとした筆致で新鮮な驚きを次る義に与える、科学という営みの魅力に満ちたノンフィクション。
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    ノンフィクションなんだけど何故か外国文学のくくり?
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    手にした理由
    少し前に稲垣氏の「手」の本を読んで、「ゆび」のでき方を知った。
    最初はドラえもんのような、手の先に、指(突起物)ができるのではなく、指の股ができて結果として指ができあがるそうな。おたまじゃくしの時はどうだったかなぁ‥。かわいいなーって見てただけで、さっぱり記憶にないけれど、指が股ができることで成立するなら、そもそも手足はどうやって発生したのかな?
    肺魚とか海底を歩行する魚類はどうやって泳ぐためのヒレから歩行に似た動きをするようになったのか?
    生まれたての赤ちゃんが歩こうとするのなら水深の浅いところなら浮力の助けがあって歩きやすいのかしら?生まれたての赤ちゃんもつかまる力(握る力)は結構強いと聞くから、木の上に暮らしたのかしら?浅瀬に暮らしたのかしら?
    この作者さんは初めてですが、面白そうです。

  • 進化をテーマにした本を読むたびに、進化は一直線に起きたのではないことを思い知るが、本書も同じ。
    それだけ、猿から類人猿へと二足歩行ができるように徐々に立ち上がっていく進化図のイメージが強烈に染みこんでいるからだろう。
    本書の冒頭に「人類進化の系統樹」という図が掲載されているが、最新の進化図は一直線どころかジャングルの木のように絡み合っている。
    著者は最新の研究を引きながら、二足歩行は今のゴリラやチンパンジーのような歩き方から徐々に立ち上がるにように進化したのではなく、ゴリラやチンパンジーへと進む枝から分岐した後、樹上で生活しながら二足歩行ができたのだという。
    またゴリラやチンパンジーに向った枝はそれぞれがゴリラやチンパンジーに進化したのだと。
    人類進化の系統樹には、最後にホモ・サピエンスが細く掲載されている。これだけ多くの古人類が絶滅し、今の私たちだけが残ったことに謙虚にならざるを得ない。

  • 人類学の最新の学説(著者関与の者含む)に基づき、進化の系統樹が多方向であるという事例を「ホミニン(ヒト属)においても同様である」としつつ、直立二足歩行こそ、ヒトをヒトたらしめた要因であると紹介した著作。

    読後に自分の二足歩行を確かめずにはいられなくなる本。

  • 人類進化史の定説を論理的に覆してるのがおもろかった。

  • 2023.04.01 ホリエモンより
    https://www.youtube.com/watch?v=B6Qt9ZtHvIQ
    猿人から類人猿の分離、人類の進化。

  • 読みやすい訳で良かった…。特に印象深いのは出産のために広い骨盤だと言われていたが実は赤ちゃんを抱いて歩くのに適した骨盤にしたからだ。という説は驚いた。

    通説を覆したり新しい説が出てくるのを知れるのはすごく嬉しいし楽しくてそうだったのか〜!と思えてありがたい。刺激的。
    常に情報はアップデートされていくから追いかけるのは大変だし前読んだ本にはこう書いてあったからそうだろうと思い込むのは良くないなと反省した。

    確かに女性はお産があるから二足歩行が苦手説は言われれば納得しちゃう話だなぁ。
    お産関係や赤ちゃんのハイハイは興味深かった。
    ハイハイせずに立ち上がったりするんだ…産後の成長具合の話は親にとっては心配してしまうことだから何の責任もない適当なネットの記事に踊らされるのは可哀想だと思う。でも忙しいから本読む時間も難しいよね…

    スピードは男性有利だが持久系は女性が有利(筋肉の疲労)な話も面白かったな。

  • 人間の直立二足歩行への道筋について、通説とは異なる考え方を明るい調子で主張する書。その主張を通して、考古学のあり方や、進化論についても読者に発見をさせてくれる。訳もとても読みやすい。

  • 四足歩行(ナックルウォーク)する類人猿から進化したとする誰一人疑わなかった人類起源説(裏付けする証拠は未だに見つかっていないにも関わらず)に対して骨や足跡の化石を科学的に分析した確かな証拠により真っ向から反論している衝撃的な一冊。即ち、直立二足歩行する共通祖先が先行出現しその後に原人類と類人猿に分岐したことが分かる証拠が存在することを平易で読みやすく語る好著。
    【蛇足】読了以来、ウォーキングをしているとお尻(臀筋)の動きを嫌でも意識せざるを得なくなる。

  • 直立二足歩行の観点から人類の進化を再考察した楽しい科学。

    人類の進化の過程、600万年前に直立二足歩行した類人猿とナックルウォークを身につけた後のチンパンジーに系統分離。

    ホモ・サピエンスに至るまで他の種それも二足歩行の人類が共存していたという。

    なぜ直立二足歩行を選択し生き残ったのか、科学的な内容を巧みな描写で伝える一冊。

    サイエンスに関する本は時に知的好奇心を満足させてくれる。

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