マリエ

著者 :
  • 文藝春秋
3.68
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本棚登録 : 2616
感想 : 203
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917405

感想・レビュー・書評

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  • 夫の恋愛をしたいという理由で40歳手前で離婚したマリエ。
    女性目線の話だとは思いますが、割と共感できました。
    子供もおらず経済的にも自立した女性として凄くリアルは話だったと思います。

  • おもしろかった。
    気づいたらどんどんページが進んでいて、なぜか手が止まらない不思議な感覚。読みやすいってこういうことをいうのかな。こういう本けっこう好きだな。

    人間の中身は変わらないのに歳だけが増えていって、「まだまだ若いね」と言ってしまったり、言われたりすることについてハッとするような気持ちになった。マリエにとって私は若いだろうけど、私からみても「この人若いな〜」って思ってしまうこともあるし。けど、年齢って一生ついてくるもので、、自分が何歳になっても、年齢のことで他人に嫌な気持ちをさせる発言をしないように気をつけたい。

    マリアを通して30代後半女性のリアルをすごくすごく感じた。婚活や結婚相談所などの結婚感についてもけっこうリアルに体感できた。

    香りとか季節感とか、読んでいると本当にそこに入り込めるような描写がとてもいい。特に紫陽花のところ。

    由井くんとの空気感が好きだった。

  • 素敵。最高だった。
    この人の文章は青い炎のような
    静かに、でも確かに熱いものがある。
    淡々と、でもしっかりと心がチクチクしながら進んでいく。
    香りも料理もふわっと浮かんできて
    どっぷりとその世界に浸りたくなる。
    由井くんいいなぁ。
    雨が降り始める中紫陽花に見惚れてる
    そんな人、なかなかいないよなぁ。
    読み終わった瞬間
    はぁーーー。と心から満足した息が漏れた。
    読んで良かった。

  • 40歳手前で離婚したまりえの恋と結婚と生き方の話。始まりの離婚、そこから自由に生きつつ柵から逃れられないジレンマが苦い。隣の芝生は青いってほんまにそうなんよな。けどそれでも自由を手に入れたいとか常々思う。出てくる人達に共感や反感を抱きつつも、千早さんらしいこの静かな薄暗い雰囲気が好きで心地よく読めてしまう。寂しさより清々しさは分かる気がする。

  • 読んでいてとても心地よかった。絶妙な匙加減で光を当てる細やかな描写と敢えて書かない影の部分が、こちらの想像を掻き立てる。

    光、色、香り、温度、湿度、味覚すべてが渾然一体となって登場人物たちの儚くも移ろいゆく心のうちを炙り出す。何とも心地よい。

    千早さんの食べ物の描写や、食事を挟んでの人間同士の距離感がとても好み。私も好きなものを心地よく安心できる人と食べることが至上の悦び。

    そして香りへのこだわり。既読の作品にも嗅覚の細やかさを感じさせるものが多かったが、本作も動物的感覚に似た嗜好性はつまるところ、一緒に過ごす相手との相性に繋がるのではと感じる(アラ還の私の夫の加齢臭はもはや不快以外のなにものでもないのが現実だけれど)。

    人が人に惹かれあう様が何とも素敵だなと心揺さぶられる。
    結婚は互いの打算や計算、目論見が混じるものだから「惚れた腫れた」だけでは済まされないのはいつの世も同じ。「正解」はないよな。

    ちょくちょく登場する主人公の実母と義理母の存在が興味深かった。私自身、自立して自らの生計を立てている我が子たちやパートナーの彼女にとって負担な存在にはなりたくないものだ。息子の奥さんの呼称「嫁」ではない適当なものが見当たらないので「パートナー」です笑。

    それにしても千早さん、登場人物たちの人物造形が本当に巧みだと惚れ惚れ。
    妻としての女性を家族のなかの労働者として考える男性や、支配できる下位的存在として遊びの対象と捉えるイケイケの男、歩み寄りや落としどころを会話の中で探すことを躊躇するあまり、疑問形でしか自分の意見を伝えない男(これ、うちの夫!)。

    普段からよく見ているんだろうな、人間観察力に脱帽。

    文中度々出てきた表現「主語が大きい」に私も激しく同意。物事を1つの物差しだけで決めてかからないものだなあ。

  • 直木賞受賞作『しろがねの葉』とは全くちがった作品。
    どちらも面白かったですけど。

    主人公の名はまりえ。
    マリエとはフランス語で結婚という意味だそうです。
    だからこの本は結婚について、いろいろ考えさせられるものです。

    というか、どんな人との結婚を
    真剣に考えたらいいかという話ですね。
    一回目は別れたんだから失敗だったと言えるでしょう?
    酷い話だと思います。

    千早茜さんご自身が二年半前に離婚されたそうで
    主人公や他の登場人物たちの姿がリアルに伝わってきます。

    テーマとはあまり関係ないけど観月台先輩の言葉
    〈アセクシャルは他者に対して性的欲求を抱かないセクシャリティだ。
    恋愛感情を抱かないのはアロマンティック。
    定義は様々あるようだけど(略)〉

  • 終わってしまった。。まだまだ続くと思っていた。。。
    もっと読みたい。。。たいへん面白かったです。

    最初は強い女の人生録みたいなお話になるのかな、とぼんやり思っていたのだけれど全然そんなことなくて。

    お話の序盤で主人公が↓をモノローグで語ってたの。

    「森崎といたときのほうが、不安定で弱かった気すらする。」

    これ、心に残った言葉だからメモしてたんだけれど、読み終わってから思う。ほんとうにそう。主人公は由井くんに出会って恋をして、序盤に滲ませていたひとりの強さ、万能感、充実感、無敵感みたいなものを後半ではなくしていて、由井くんの態度や言葉で揺れるぐらい不安定で弱くなっていた。

    読者は森崎さんと別れた主人公しか読めないから知らないけれど、森崎さんと付き合った時もこんなふうに不安定になった経験があるんだろうな。だからこそのこの言葉なんだろうな、と納得しました。

    お話が進むにつれて、わたしの中でかっこいい、さばさばした、自立したイメージのある主人公が、どんどん身に覚えのある、恋をして相手の態度や言葉で一喜一憂する主人公になっていって、わかるわかる!と後半はとても共感しながら読みました。

    序盤の感じでたけやんと主人公が付き合うのかな、と思っていたので、中盤の思わぬ赤い糸の繋がり方にページをめくる手が止まりませんでした。。予想してた読者さんいるかな。。みんなたけやんだと思わなかった??みなさんの感想を読むのが楽しみです。

    もうここからは心に残った言葉を上げていくだけの感想になってしまうのだけれど、他にもこんなモノローグに心動かされました。

    「人は役割に流されて欲しいものや本当の気持ちを忘れていく。」

    これは今後判断を下した後に都度思い出したい言葉だなと思ってメモしてました。

    「ずうっと先まで見渡せるのってしんどいときもあるよね。」

    こちらは共感のメモ。千早茜さんも同じようにずっと先まで想像して気負ったり落ち込んだりした経験があるのかな、と考えました。

    「この体はどこまで私の自由になるのだろう。ほんとうはなにひとつ自由ではないような気もした。」

    判断したり、行動したり、は自分の考えている通りに出来るのに、病気や怪我などの体のことは考えているようには出来ない。最近わたしも同じようなことを考えたので、こちらも共感してメモに残していました。

    「由井くんは、はらはらと思いがけず降ってきた花だった。」

    恋のことをこんなロマンチックに喩えられる人いる!?!?いいな!のメモでした。心の辞書に太字で書き記しておきたい…素敵な表現でした。

    マキさんをどうしても夏木マリさんで想像しちゃうの止められなかったです。これまたみなさんの感想読んで同じく思い浮かべた人いるかな??って探すのを楽しみにしています。

  • ●なぜ気になったか
    離婚する気はないし、男性だしなんだけど、「離婚届を提出するとき寂しさより清々しさを感じた」が、高校時代に付き合った子と別れたときに感じた気持ちと一緒だったので、読んでみたい

    ●読了感想
    結婚後にオードリー若林さんが言った「(結婚は)恋愛っていうより生活だ!、って思った」が思い返された。この感覚を理解できないと関係に溝はできるだろう。その価値観とズレがうまく表現された作品で楽しめた

    #マリエ
    #千早茜
    23/8/25出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き

    https://amzn.to/3YNyOYt

  • 主人公が私と同世代という設定だからなのか、
    恋愛に対する価値観や心情がとても共感出来ました。

    そうそう!そうなの!!

    そう思うシーンがいくつも。
    千早茜さんの描写がとても好きです。


    結婚 について考えるきっかけになる良い本だと思います。

    私は結婚して良かった。
    旦那さんと一緒にいる時の私が好きだし、何より私の精神安定剤。

  •  森崎から切り出された離婚に応じたマリエの気持ちを想像しながら読む。新しい住居を構え、自分の時間を満喫する様子には余裕が感じられ、引きずったりしないものなのだなと思った。しかし、マリエが由井君と過ごしたり婚活したりする中で、自らの恋愛や結婚について改めて考える心の内には、揺れを感じた。それは、寂しいとかさっぱりしたとか相手在りきのものではなく、離婚を一つの経験として捉え、次のステージを見据えている気がした。
     じんわりと心に沁み、エピソードごとに添えられる料理や香水に、味覚や嗅覚も満たされた。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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