少女が最後に見た蛍

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917795

作品紹介・あらすじ

最高にエモーショナルな社会派本格ミステリ「警察官になったのは、あの子の自殺に責任を感じてるから?」未成年による事件を次々と解決に導く敏腕女性捜査員の心にはかつて、唯一救うことのできなかった少女が深い影を落としていた――仲田の知られざる過去に迫る大好評 <仲田シリーズ>第4弾連作集あらすじ 神奈川県警生活安全課の仲田蛍(なかたほたる)は、中学時代の同級生・来栖楓(くるす・かえで)と思いがけず再会する。来栖は当時、桐山蛍子(きりやま・けいこ)という同級生をいじめており、仲田は蛍子を楓から守ろうと手を尽くしていた。しかし、いじめを終わらせることはできず、かえって桐山を傷つけてしまい、最後は自殺してしまったのだった。 事の次第を聞いた捜査一課の真壁は、自死の背後に仲田も知らない真相があるのではと感じて調べ始めると、意外な事実が浮かび上がり――(表題作)。

感想・レビュー・書評

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  • 人を思いやり、困っている人に寄り添う勇気に痺れる… 仲田シリーズの最新短編集 #少女が最後に見た蛍

    ■きっと読みたくなるレビュー
    いじめや虐待など、子どもたちの社会問題に切り込む仲田シリーズの短編集です。全五編からなる作品集で、今回も読んでいて辛く悲しく、耐えられない感情になってしまう。物語の中だけならいいですが、現実にあって欲しくない。大事な青春時代は明るく楽しい時間であって欲しいと願わずにはいられません。

    それでも全編にわたって仲田の寄り添う優しさに満ちていて、ほんの少しだけ心が休まる。まずは我々大人たちが見本になるべきだと学びをえる作品でした。

    〇十七歳の目撃
    いじめと少年犯罪に巻き込まれた、弁護士志望の少年の物語。もはや犯罪とも言えるほど、いじめが発展していて悲しい。仲田の泣きたくなる想いが胸に刺さる。

    〇初恋の彼は、あの日あのとき
    小学生時代の同級生だった男性が大学の講師になっていた。仲田と小学校時代の同級生は、当時彼が誰のことを好きだったのか会話をしていて…

    子ども時代を懐かしむお話と思いきや、家庭と学校の問題にメスを入れるストーリー。若い子たちには幸せになって欲しいと思わずにはいられない作品。

    〇言の葉
    元アイドル政治家に、ネガティブな思いを寄せる学生の物語。まさに合理的すぎる現代の問題を切り取った作品、モラルと思いやりを忘れないで欲しい。

    〇生活安全課における仲田先輩の日常
    万引きをした少年に向き合う仲田と後輩の物語。どんな事件にも真摯に向き合う姿勢が心に沁みる、警察官の皆さんに感謝したくなる作品。

    〇少女が最後に見た蛍
    いじめに向き合う仲田の学生時代の物語。これまで様々ないじめ事件に関わってきた、生活安全課の仲田の過去が明るみになってゆく。仲田の人を思いやる気持ちが温かく、終始美しい物語であるものの、ただ絶対に許せない怒りに満ちてくる。

    本作が最もおすすめな一編ではあるのですが、なんとも嫌いな作品でした。イジメ、ダメ、ゼッタイ。

  •  このシリーズも好きなんですよね!神奈川県警生活安全課仲田蛍さんが活躍するシリーズ第4弾です。今作は、前作までとは異なり、5編の短編が収められています。

    ・十七歳の目撃:
     弁護士になることを目指して勉学に励む主人公、ある日クラスメイトが窃盗を犯した現場の目撃者となるが…。
    ・初恋の彼は、あの日あのとき:
     蛍と同級生の初恋について、彼が本当に好きだったのは蛍か同級生か…。思い出すことで見えてきた真実…とは。
    ・言の葉:
     元アイドル政治家を蔑む主人公の男子高生、何だか、今っぽい問題点が浮かび上がる…。政治家の責任とは…。
    ・生活安全課における仲田先輩の日常
     板チョコを万引きした少年…。蛍に会いたかったとその動機を話すが、隠された裏事情があるようで…。
    ・少女が最後に見た蛍
     中学生だった蛍が、クラスメイトのいじめを阻止するために動く。年月を経ていじめの首謀者と再会するが…。

     読んでみて、蛍の過去があきらかになり、蛍が子どもたちを守りたいと思う気持ちがどこからきているのかが読み取れるようになります。読んでいて、いじめってしんどい…って感じたのと、あとこのシリーズは短編より長編で読みたかった思いも抱いたので、自己評価は低めにしました。

  •  神奈川県警生活安全課の仲田蛍は、未成年による事件を次々と解決に導いていく敏腕捜査員だ。

    ある日のパトロール中に、酔った男子学生とスーツ姿の女性がトラブルを起こしているところへ仲裁に入った仲田。スーツ姿の女性は 仲田の中学時代の同級生 来栖楓だった。来栖は仲田をまじまじと見つめ こう言った。

    「警察官になったの?もしかして、彼女が亡くなったことに責任を感じているから?」

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    「どうして犯人はこんな行動をとったのか、犯人の気持ちを『想像』してみました。」

    「『想像』するんです。自分と違う立場の人のことを、完全には無理でも、少しでも理解するために。」

    時には客観的な証拠をも度外視して、相手の心情を推し量り捜査する仲田蛍。
     なぜ、仲田は身を削ってまで少年事件の解決に心血を注ぐのか。

    それは過去に、親友を「自殺に追い込んだ」ことが関係しているのか?

    『想像』し、少年少女の心に寄り添うことで 事件の真相にたどり着く。5編による短編集。

    仲田の知られざる過去に迫る。
    『希望が死んだ夜に』に続く
    <仲田シリーズ>第4弾





    勘のいい方はもうお気づきでしょうか。
    星2の理由が。

    え、シリーズ物?
    しかも第4弾!!笑

    1~3を読んでないもん
    「あの仲田にこんな過去が…」とはなりませんよ笑
    「あの仲田」がわからないんだから乁(´⌓`)厂

    • ゆーき本さん
      はいティッシュ‪(꜆*ˊᵕˋ)꜆□ 笑
      はいティッシュ‪(꜆*ˊᵕˋ)꜆□ 笑
      2024/04/01
    • 1Q84O1さん
      やっちまったぜー!でないですわ!
      ゆーきさん学習しましょう!w
      順番は大事だよぉ〜♪
      やっちまったぜー!でないですわ!
      ゆーきさん学習しましょう!w
      順番は大事だよぉ〜♪
      2024/04/02
    • ゆーき本さん
      学習しない女
      いやいや
      直感を大事にしてる女です
      学習しない女
      いやいや
      直感を大事にしてる女です
      2024/04/02
  • 未成年事件を解決する女性警察官の短編集。
    ミステリとして、未成年問題としての物語は読み応えはあるが、シリーズものとしての主人公のキャラクタがいまいち弱いかなと言う印象。

  • 仲田蛍シリーズ最新作、今回はいかに警察官になったのかがわかる中学生の時の過去が解き明かされる。読んでいて悲劇のシーンもあり自殺なのかそれとも?この先が知りたく意外な展開に読む手が止まりませんでした。あなたも感動の短編集をぜひとも堪能して下さい。


  • 子どもが関係する事件を『想像』という
    独自の視点で推理し解決に導く捜査官
    仲田蛍シリーズ第4段。

    ・十七歳の目撃
    ・初恋の彼は、あの日あのとき
    ・言の葉
    ・生活安全課における仲田先輩の日常
    ・少女が最後に見た蛍

    蛍がなぜ、そんなにも自分の身を削って
    子どもに関係する事件に心血を注ぐのか、
    その一部が明らかになる物語たち。

    どんな事件に対峙しても子どもに対して
    常に温かく穏やかに微笑む蛍。
    その胸に常に浮かぶ光景は、大切な人との
    後悔に満ちた時間。
    強さと弱さ、複雑な思いが無いまぜになって
    今を真っ直ぐ精一杯生きる蛍が眩しい。

    ・少年法から、特定少年と少年の違いを
    テーマにした事件への考察と目撃者であり
    当事者の葛藤。

    ・愛なのか毒なのか、教育虐待という
    親と子の歪んだ関係。

    ・生育環境やSNSから受ける影響力から、
    言葉の力の強さと恐ろしさ。

    ・口に出せない悩みの発露からのSOS行動。

    ・いじめ問題は、学校を縮図にした
    大人を含めた社会全体の根深いもの。

    ーーーーー
    子どもは身近な大人の行動をみて
    ものの良し悪しや行為の善悪を知り、
    身につけて成長していくと改めて感じ、
    自身の行動を省みる気持ちになりました。

    そして、いじめ行為は被害者だけでなく、
    周りの人の心にも何かしらの影を落とす、
    波紋のようだと感じました。

  • 【収録作品】十七歳の目撃/初恋の彼は、あの日あのとき/言の葉/生活安全課における仲田先輩の日常/少女が最後に見た蛍

    神奈川県警生活安全課の仲田蛍シリーズ。いじめと虐待がテーマ。

    仲田に救われる人は多いだろうが、彼女自身が置かれている環境はひどいものだ。後輩の聖澤に頑張ってもらいたい。そして、真壁、国枝のような理解者が増えていくといい。

    大人もいじめをしているわけで、見て見ぬふりをしているのもいっしょ。そんな人たちに子どもの問題が解決できるわけがない。
    最終話の彼女は、いやな感じ。お金はありそうだし、嗜虐趣味があるし、うまいこと罪を逃れて逆恨みしてきそうだ。今後、そっちの話にならないことを願う。

  • 社会問題✕ミステリー。

    最後の表題作は辛かったけれど、主人公の蛍はもちろん、登場人物それぞれ丁寧に書かれていて読み始めたら一気に読了。
    シリーズ本ということなので、ぜひ最初から読みたい。

  • ラストの、蛍が最期に出逢った人物の正体に涙( ߹

  • 今回は仲田の過去が表題作。

    中学生の頃いじめられっ子と友達になった仲田だったが、イギリスへ転校した事により自殺してしまい…

    いじめてる方は悪気がないのが本当にタチが悪い。
    『いじめは当事者だけではない、周りにいる人たちも被害者』と言う、仲田の言葉が重かったです。次のターゲットにならない様に同調しなくてはならないってのが言葉の通りで。

    タイトル回収の言葉が切なかったです。

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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