キスに煙

  • 文藝春秋
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917993

感想・レビュー・書評

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  • 二人の関係をいつまでも見守っていたい… 美しく激しい恋と事件の行き先に、花は咲くのか #キスに煙

    ■あらすじ
    以前フィギアスケートで活躍していた主人公である塩澤、今は引退してデザインの職に就いていた。現役当時からのライバルであり親友である志藤は、いまだ世界の第一線で活躍している。二人とも女性から人気であったが、塩澤は志藤に密かに恋心をいだいていたのだ。
    ある日、二人の現役時代のライバルであった外国人選手、ミラーが転落死してしまったと連絡を受ける。かつて因縁のあったミラーと二人は、事件との関係性を疑うようになり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    中学生の純情な恋愛と、歌舞伎町の憎悪乱れる打算愛のカクテル。美しく激しい恋と事件の行き先に、可憐な花は咲き乱れるのか…なーんて感じの、BLとミステリー融合させた芸術性の高い作品。

    BLの魅力が分かる良作で、トキメキが理解できましたね。主人公塩澤の諦めと覚悟が手に取るようにわかる。自分の中で勝手に結論つけて、無理やり前向き歩いていく潔い志が素敵!自分もかつて実らなかった恋を思い出しちゃいましたね~

    志藤も心意気と行動がカッコイイのよ、これは確かに惚れかねん。性別とか関係なく、結局は人間と人間なのかもしれません。

    本作一番の読みどころは、終盤の二人の対話。想像していた以上にしっかりとしたBLで、ちょっとドキドキしちゃいました。どうせならもっと直接的なシーンや表現があったらどうだったでしょうか。純愛の心情描写だけでなく、そこをフォーカスするにも私は全然アリだと思いました。

    謎解きについては、ちと予定調和なところを感じてしまいましたね~ 結論こうしたかったです、というのが透けて見えてしまったような感触。一般的な男女の恋愛でなく、BLの萌え要素とミステリーを掛け合わせるのは魅力的なアイデアだし、読者層も増やせると思うので、ぜひ深堀って次回作に期待したいです!

    チャレンジングでキュンとくるミステリー、ありがとうございました。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作で一番感じたのは、人間の「弱さ」。私も含め何処にでもいる一般人も、世界一を競うアスリートであっても、自ら勝手に理想と現実を比較する。突き詰めれば突き詰めるほど、その落差は大きく感じ、諦めることができない人間は、最後には自暴自棄になってしまう。

    そんな人生を幸せに導くのは、素直さとそれを受け入れてくれるパートナーなのでしょう。

  • これは恋愛小説です。

    【彼の才能が消えた時、この恋情も消えるのだろうか。氷上のライバルたちの秘めた「選択」の行方は─】

    幼い頃からフィギュアスケートの大会で何度も同じ表彰台にのぼってきた塩澤詩生と志藤聖。

    塩澤は志藤の滑りに惹かれ、また志藤に長い間 片想いをしていた。

    はい、塩澤が同性である志藤に恋する恋愛小説です。

    『花束に毒』の作者さんということで、冒頭のシーンからも ライバルであるミラー氏の転落死に二人が絡んでいるミステリーかと思っていましたが

    めちゃくちゃ恋愛小説でした。

    フィギュアスケートの氷上シーンなんかも期待しましたが、そういったページもほとんどなく

    普通に恋愛小説でした。(しつこい)

    しかしあれね、「報われることはない恋」だと割り切ろうとしている塩澤の恋心にちっとも気づかない志藤がさ、無邪気に塩澤にスキンシップとったり 思わせぶりな発言したりさ。塩澤はそれにイチイチドキドキしてるんだぞ!もうこの鈍感男ー!笑

    なんか最後は幸せそうでなによりでした笑

    • ゆーき本さん
      この平凡社の関連書籍すごいね。
      ゲイ短編小説集
      古典BL短編小説集
      特に病短編小説集の表紙がめちゃくちゃ恐ろしいー笑
      この平凡社の関連書籍すごいね。
      ゲイ短編小説集
      古典BL短編小説集
      特に病短編小説集の表紙がめちゃくちゃ恐ろしいー笑
      2024/02/20
    • おびのりさん
      そのうち制覇の予定。来年かな。
      そのうち制覇の予定。来年かな。
      2024/02/20
    • ゆーき本さん
      すご!全制覇!濃厚だねぇ(≖ᴗ≖๑)
      すご!全制覇!濃厚だねぇ(≖ᴗ≖๑)
      2024/02/20
  • 図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。ありがたい。

    私が読む織守きょうや氏作品の7冊目。(アンソロジー含む)
    本書はミステリーではなかった。
    登場人物達の、主に心情がずっとずっと書かれているので、良く言えば丁寧ではあるのだが、正直言って長いなぁと感じた。

    「志藤」と「塩澤」、これは私だけの感覚かもしれないが、読みにくくてたまらない。
    主要人物であり頻繁に密接して表記されるこの2人の苗字を、もうちょっと見やすいものにして欲しかった。
    共に同じ「し」という音で始まり、パッと見た時の漢字の文字面(画数が多く、詰まっている)が私には似て見えてしまう。
    パッと視界に入っただけで、いちいち頭の中で音読しなくても、視覚的にどちらが誰と判断できそうな漢字にして欲しかった。

  • これはミステリーではなく恋愛小説と思って読んだ方が色々間違いないと思う。フィギュアスケートの頂点の孤独とか、恋愛のどろどろした感じとか何かしらもっと深掘りがあっても良かったかも。読みやすい文章でした。

  • 2人の男子シングルのフィギュアスケーターの、切ない恋愛小説…なのかな。始まり方は意味深で、ベテランスケーターだった選手が転落死するのでミステリーなのかと読んでいましたが違いましたね。ライバルで親友の志藤に恋愛感情を持ちつつも、それを隠しつつ親友であろうとする塩澤の姿が切ないです。ジャンルで分けるとすればBLになるかなと思うけど、性別関係なく人を好きになるってこういうことだよなぁと、先が気になって割と早く読み終わりました。
    織守さん、こういう話も書かれるんだな〜て新しい発見でした。

  • Amazonの紹介より
    愛した人は、殺人者かもしれない――。
    かつてフィギュアスケーターとして活躍し、引退後はデザインの仕事をする塩澤。
    彼と好敵手として競り合い、今もトップスケーターの地位にある志藤。
    互いに、自分の持たないものを持つ相手として意識し続ける二人だが、塩澤にはライバル心だけではない、ひた隠しにするもうひとつの思いを抱き続けていた。
    ある日、塩澤の昔の恋人であり、志藤とは犬猿の仲であったコーチのミラーが転落死したとのニュースが入る。孤高のスケーターで敵も多かったミラーの死は、周囲に動揺をもたらす。あいつ、殺されたんじゃないか? 火のない所に煙は――とばかりに広がる不穏な噂に搦めとられるように、塩澤と志藤は互いにこれまでとは違う視線を向けるようになる。告げるだけで重荷になると秘めた恋心、自分のために罪を犯したのではという疑心。二つの感情の狭間で、互いを守るための選択とは――。



    「花束は毒」の衝撃ふたたびという宣伝につられて読んでみました。「花束は毒」では、ラストのどんでん返しに、一番怖いのは人間だと思うくらい衝撃と驚きがありました。愛の執着といいましょうか、突き詰めていく愛って怖いなと思わせてくれました。

    その雰囲気と表紙の感じから、今回もその路線かと思っていました。
    蓋を開けてみると、恋愛小説であり、いわゆるBLでしょうか。そういったジャンルとして読むと、恐怖といったドロドロしさはなく、むしろ相手を疑いながらも、想っているという純愛が垣間見えました。

    冒頭から、犯人?がある行動を成し遂げた行動を描いているかのような始まりだったので、ミステリーとばかり思っていました。
    さらにコーチが謎の転落死ということもあって、ずっと頭の中では、ミステリーの雰囲気が漂っていました。
    しかし、表紙の雰囲気に惑わされずに普通に恋愛小説として読むと、お互いに対するリスペクトや引退後のそれぞれの心情が丁寧に描かれていて、普通に明るい表紙にすればよかったのではと思ってしまいました。

    おそらく、お互いが事件に関与しているのでは?といった疑惑を漂わせるために、あえて表紙をミステリーっぽくしたのかなと推理しました。

    塩澤と志藤、それぞれの視点で、物語は展開していくのですが、恋愛小説モードで読むと、それぞれの相手に対する恋愛や嫉妬、もどかしさなどが描写されています。
    時折、コーチ(出会った当時は選手同士でした)との苦い思い出を交えながら、フィギュアスケートに対する成功や挫折も描かれています。

    「衝撃」という衝撃は特になく、転落死の真相もあっけらかんとなっているので、どこのあたりが衝撃?と思ってしまいました。ラストにコーチ視点で、転落死の謎が明らかになるので、事件としてはスッキリ感はあるものの、普通にBL小説として出してもよかったと思うくらい、純粋な恋愛小説の印象の余韻でした。

  • 私は面白かったけど、読む人を選ぶと思います。
    ミステリーではないですね。恋愛小説です。

  • 今までに読んだ事の無い雰囲気の本でした。
    人物の心情描写や表現がすごく綺麗で、読みやすかったです‪☺︎‬

  • BLとミステリーを融合した作品。

    帯には『花束は毒の衝撃ふたたび』の文字。
    期待値を上げて読み始めたが、全く異なる世界観だった。

    物語の軸となるのはフィギュア・スケート界で競い合った塩澤と志藤。
    冒頭の「offstage」で描かれる不穏な始まりにドキドキしたのも束の間、途中から様相が変化する。

    BL系が好きな人には胸キュン要素満載で楽しめるかと思うが、重厚なミステリーを期待して読むと肩透かしかも。

    終盤の塩澤の思い込みによる暴走もその純粋さがコミカルに思えてしまう。
    コーチの転落死の真相も意外性はなくライトな読み心地。

  • ・天才スケーター2人の恋愛ストーリーでした。
    謎がありそうな雰囲気もありましたが主人公のスケーター2人の競技に対する熱量だったたり唯一無二のライバル関係からくる嫉妬だったりとにかく2人の動向に注目する内容で、終盤においての純愛も見どころではないかと思います。

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著者プロフィール

1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『SHELTER/CAGE』『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『301号室の聖者』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』がある。

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