夜明けのすべて

著者 :
  • 水鈴社
4.13
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感想 : 1092
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784164010013

感想・レビュー・書評

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  • PMS(月経前症候群)とパニック障害を抱えた男女の物語。
    すごく読みやすい文章で心が温かくなる話だった。
    ただ、主人公2人の心情に共感してしまう場面が多く、読み進めるのが辛くなってしまう場面もあった。変に気を遣いすぎてギクシャクしてしまったり、自分のイメージ通りにいかなくて落ち込んだりすることって、誰にでもあると思う…。
    自分なりに出来ることを精一杯進めていこうと思える、前向きになれる話だった。

  • ❇︎
    ある日突然パニック障害になってしまい、
    生活が変わってしまった生気のない山添くん。

    PMS(月経前症候群)のせいで、月に一度
    抑えようのない苛立ちが襲ってきて、
    攻撃的な感情をコントロールできずに
    周囲に爆発させてしまう藤沢さん。

    人に伝えても理解してもらえない異なる病を
    抱えて生きづらさを感じる二人。

    家族でも恋人でも、友達ですらない同僚同士が
    飾り気のない素の自分で関わり合いながら
    少しずつお互いの殻を溶かしあってゆく物語。

    真っ暗な闇の夜に少しずつ明らんでいく空を
    見るような、ほんのり明るい気持ちにさせてくれる、とても優しいお話に触れました。

  • 結構な体調不良を患ったときの、実感が伴わなくて不思議な感じ、やがてくる切なさ、やるせなさ、あきらめ。
    「なった人じゃないとわからないですよね。」とある時先輩がいってくれました。すごく嬉しかったし、なかなか言える一言じゃない。自分もいつか、だれかに言ってあげたいと思いました。
    そんな困難が襲ってきたあとに得られるものは現実的なものであること。そして、その前の自分にはけして戻れないこと。これも体験的にわかる方も多いのではないでしょうか。
    山添くんと藤沢さんの織り成す心の動きは共感と共に心に響いてきます。
    時に優しく、時に悲しく心に迫ってきます。
    そんな人の弱さにも寄り添ってくれる。この本と素敵な時間を過ごせたと思います。また開いて読みたい、そんなことを思いました。

  • 本当にめちゃくちゃ好きな作品だった。
    最近、今の自分に響く本を選ぶのが上手くなってる気がする。

    できるだけポジティブな言葉を携えて暮らしていきたいし、
    好きなこと、心惹かれること、面白いと思うこと、そういうものを大切にしたいと思いました。
    穏やかに健康に前向きにね…


  • * 山添くんが明るくなった
    * 誰かにお守りを渡すということ
    * 遠くから祈ってもらえることは嬉しいな
    * 家族以外でお守りをもらうことはないから、他人にもお守りを渡すことにもびっくりした
    * 差出人の名前のないプレゼント
    * 粋なことするなあ
    * 前の自分に戻ることを目指すんじゃなくて、今から自分がどんな人間になるかを大事にしたいと思った
    * 薬は自分の体調をサポートしてくれるもの
    * 誰かの力になろうと思う気持ち
    * 押し付けがましいんじゃないかと思って行動できないことが多いけど、この本に出てくる2人は素直でまっすぐ自分のやりたいことをできている
    * それはその相手だからこそできたことなのかもしれないけれど、相手を思うことができるのは素敵なこと
    * 相手の心に火を灯すことなのかもしれない
    * 自分では大したことないって思っていることも誰かに気をかけられたらとても嬉しい
    * 虫唾炎
    * 好きなことを好きな時にできることは幸せだと思った。でも同時に自分ができないことも理解していて、それには軽く絶望するけど、自分の身の丈をよくわかっている感じがして大人だなと思った
    * 自転車は乗れるけど、電車は乗れないし映画館には行けない、みたいな。
    * 自分について正しい自覚をできている人は大人だなと思う。
    * 職場の人のことを有能だって気付けたり、前の上司の素晴らしさを語っていたり、社長の本当の凄さみたいなものを見抜くことができる力がすごいと思った。
    * 謙虚だな
    * 山添くんがやる気を出して仕事に取り掛かり始めたとき、藤沢さんは藤沢さんらしく協力はするけど、そこまでテンション高くない感じなのもなんかいいと思った。
    * 気を遣って、相手のテンションに合わせたり、藤沢さんも急に仕事に熱が出たりするわけではなく、あくまで自分は自分のペースでやっていくというのが滲み出ていてそれが良かった。
    * 山添くんなんだか、子供に戻って自分ができることを一つづつ再確認しているような感じが良かった。病気になるまではなんでもできていたと思っていたけど、そうではなく子供に戻ったように一つづつやり直す。本当に一個づつ丁寧に自分と向き合う中で、自分が成長したところに喜びを見つけることができる。
    * 子育てみたいだと思った。自分育て?
    * 若いと、自分がなんでもできると勘違いしがちだよな
    * そして本当になんでもできると厄介だよな。
    * 停滞しているように見えても、確実に自分の中で何かが変わっていく。そうしたきっかけをくれるのは同じように悩みを持つ誰かなのかもしれない。
    * 人間誰しも悩みを持っている
    * そういう意味では誰しもが誰しもにきっかけを与えることができる
    * 山添くんが、本当の意味で孤独じゃないって言っていたのが印象的だな
    * 山添くんは人間関係に明るい印象を持っている
    * 自分がコミュニケーションを取れなくなったからと言って、卑屈になって他人を恨むわけではない。
    * お守りももらってたしな
    * なんか根がいい人そうだ。
    * 映画でどう表現されるのか楽しみ

  • この本に心を支えてもらいました。
    何度も読み返しました。

    私自身も山添くんと同じで、過呼発作を持っています。読み進めると山添くんの過呼吸の描写がリアルで、辛くなることがありました。
    しかし、山添くんが少しずつですが明るい方へ変わっていく姿を見て私も救われました。
    この物語の中で「俺、3回に1度くらいなら藤沢さんのこと助けられる自信があります」というセリフが1番印象に残りました。
    自分だけの世界で自ら孤立してしまっていた山添くんが、藤沢さんのことを助けられる自信があると言い切ったことに涙が出ました。

    精神安定薬というものは精神的に身体を楽にしてくれますが、それだけでは満たされない不安や、孤独が残ることもあります。そんな心の隙間を温めてくれる優しい光のようなお話でした。
    どんなに先の見えない深い暗闇の中で生きていたとしても、どこかに自分のことを願ってくれる人はいる。実は光はそこら中に転がっている。
    闇がなければ光は見つけられません。夜がなければ夜明けも来ません。
    人生は思い通りに行かないことや、辛いことの方が多いと思います。しかし暗闇の中を生きていたからこそ、藤沢さんと山添くんは光を見つけられるのだと思いました。 
    藤沢さんと山添くんはこれから先の人生を強く生きていけると感じました。

    私もこれから先、見つける光を見失わないように生きていきたいです。
    そして、私もそこら辺に転がっているような誰かの光になれたらと思います。
    私は、藤沢さんと山添くんのこの先の人生をひそかに願っています。

    素敵な物語に出会えたこと、心から感謝いたします。

  • 面白い!


    あっという間に読めました


    PMSの女性とパニック障害の男性の話
    一見暗い話をイメージしてしまうが
    なぜか軽く読めるし
    雰囲気も明るい。


    どういう病院か知れたし
    生き方を見つめ直すいい機会になった
    頑張りすぎず、でも前向きになれます

  • 平然と日常を営んでいるように見えても、さまざまな病気を抱えて苦しんでいる人は実は沢山いる。
    PMSとパニック障害という理解を得るのが難しい病気に悩まされる藤沢さんと山添くん。
    症状は深刻だが、二人のやり取りはどこかユーモラスで笑える。
    少しずつ、時に周囲の優しさに助けられながら、夜明けの方に向かって揃って歩き出す姿に、じんわり心があたたまった。

  • PMSやパニック障害についての解像度がすこし上がった。
    PMSのせいで人にあたってしまう場面は胸がきゅっとなったけど、優しい人たちばかりに囲まれて、病を抱えても前向きなふたりに救われた。美紗と山添くんが出会えてよかった。
    お守りを贈ってくれる人が3人もいる山添くんの人望よ。

  • さくっと読める!
    新しいジャンル?的な
    読んだ後の、うわーーおもーーとかはなかった
    私はPMSもメンタル疾患もあるので、生きづらさや不安感に共感しかなくて、読みやすかった
    知らない人が読んだら驚くこともあるのかも?

    映画情報を知る前に読みたかった
    上白石萌音と松村北斗を想像してしまって、物語に入り込めなかったのがつらい…

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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