夜明けのすべて

著者 :
  • 水鈴社
4.12
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  • (14)
本棚登録 : 12840
感想 : 1085
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784164010013

作品紹介・あらすじ

知ってる?
夜明けの直前が、一番暗いって。

「今の自分にできることなど何もないと思っていたけど、可能なことが一つある」
職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。
山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。
互いに友情も恋も感じていないけれど、おせっかいな者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになるーー。

人生は思っていたより厳しいけれど、救いだってそこら中にある。
生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。
本屋大賞受賞後第一作。水鈴社創立初の単行本、渾身の書き下ろし。


『夜明けのすべて』刊行にあたって

いつもは楽しい楽しいと小説を書いていた私が、立ち止まってはゆっくり書きました。
 そのぶんいつまでも登場人物を見守っていたくなるかわいい作品になりました。
 人生は想像より厳しくて、暗闇はそこら中に転がっていて、するりと舞い込んできたりします。でも、夜明けの向こうにある光を引っ張ってきてくれるものも、そこら中にきっとあるはずだと思いたいです。
 いつも本が完成して思うことは、「楽しく読んでもらえることが一番だ」です。その思いは今回も変わりませんが、『夜明けのすべて』を読んでくださった方が、ほっとできる一瞬を味わってくださるのなら、明日を待ち遠しいと思っていただけるなら、幸いです。

瀬尾まいこ

【著者プロフィール】
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2001年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年単行本『卵の緒』で作家デビュー。2005年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。他の作品に『図書館の神様』『強運の持ち主』『優しい音楽』『あと少し、もう少し』『傑作はまだ』など多数。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった

  • 他人の力になれたと感じることは、自分自身の心の支えにもつながる。
    精神的に万全ではない主人公二人の関係を通して、それを改めて思い出せる話。

    (お気に入りの表現)
    ・ありたい自分像があれば、人にどう思われるか気にしすぎず、もう少し簡単に振る舞えるかも。
    ・生きがいを見つけるのは難しいけど、日々の楽しみはいつでも作れる。
    ・お人好しについて、人の評価を気にしてとか、人に好かれようとしてと言うと響きが悪い。けれども単純に人に喜んでもらうのが好きという可能性もある。気を遣っているのではなく、自分が好きだからやっているということ。

  • 映画観てから、読了。
    先に読みたかったかもなあ。と映像化したものはだいたい思う。
    映画は心の声がわからなかったから、体調悪いけど人生色々あるししょうがない、みたいな投げやりな感じを受け取ってしまったからもったいなかった。
    映画の山添くんに彼女はいらなかった。
    少し背中を押してくれる本。

  • 久しぶりにあっという間に読み終わってしまい、残念な本だった。

  • PMSに悩まされる藤沢さんとパニック障害を抱える山添くんが好きとか一切そういう気持ちがなく、お互いの病気を支え合うお話。

    PMSのイラつきが表に出ちゃうのは辛いな…。
    ほんとこの会社の人たちは理解…よりも全て受け入れるという懐の大きさに拍手。中々出来ないことよ。自分で体験していないと。

  • 図書館で借りて。あくまでも現実にはなく、実写化もできない、小説ゆえの展開という感じがする。2人ともそんなに好きな人物ではなく、栗田金属も若干ユートピア的に過ぎる気がするけれども、小説として読むには快い。
    しばらく読書から離れていたけれど、許される時間内でぼちぼち読みたい

  •  皆さんの本棚でよく見かける作品で、いつか読んでみようと思っていた作品です。瀬尾まいこさんの作品、読みやすくってあったかいですよね♪描いている内容は、PMSだったりパニック障害だったり、やもすると重くなりがちなテーマなのに読後はとってもいいんですよね…。読んでいて思わず笑えちゃう場面とかもあったりして、ふたりの駆け引きもまたいい感じなんですよね!

     ふたりとというのは、栗田金属という小さな会社に勤める28歳の藤沢美沙と3カ月前に入職した25歳の山添孝俊…。藤沢美沙はPMS(月経前症候群)の症状に悩み、山添孝俊はパニック障害の持病があり、それが原因で以前の職場では上手くいかずに中途入社した。そんなふたりが、お互いを気遣うことからはじまり、ちょっと前向きな気持ちで過ごせるようになるまでを描いた作品です。

     ふたりの関係は、友達とも恋人とも違うんですよね。いちばん近いのは家族なのかも…そう思いつきました。だからって、夫婦じゃなくって、姉弟って感じかな…。でも恋人同士になれそうな要素も、私的にはちょっぴり感じたりしたんだけれど、どうでしょうね…。PMSのこと、パニック障害のことをちゃんと知ることができてよかったです。心の病気は目に見えないこともあり理解されにくいけれども、ちゃんと栗田金属の社長さんをはじめ社員の方や、山添君の元上司のような、理解のある人になりたいと感じました。ラストがよかったなぁ…。

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます!
      そうなんですよね~
      周囲の理解があるってことが
      こんなにもあったかいなんて(#^^#)
      このふた...
      チーニャさん、おはようございます!
      そうなんですよね~
      周囲の理解があるってことが
      こんなにもあったかいなんて(#^^#)
      このふたりの関係性もいい感じですよね♪

      私が優しいってより
      チーニャさんが優しいんですよ!
      おかげさまで、素敵な作品を読むことができました。
      こちらこそ、ありがとうございます♡
      2024/04/25
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、おはようございます(*^^*)
      ほらね…、かなさん優しい〜
      この本読んで良かったです( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒ね!
      かなさ〜ん、おはようございます(*^^*)
      ほらね…、かなさん優しい〜
      この本読んで良かったです( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒ね!
      2024/04/25
    • かなさん
      チーニャさん、こんばんは!
      いえいえ、チーニャさんの優しさには
      足元にも及びません(^-^;
      ホント、この作品は読めてよかったです♪
      ...
      チーニャさん、こんばんは!
      いえいえ、チーニャさんの優しさには
      足元にも及びません(^-^;
      ホント、この作品は読めてよかったです♪
      やっと、図書館ですんなり借りられました!!
      2024/04/25
  • 髪の毛を切るシーン 2年ぶりに笑えたと
    周りの大人たちが優しい
    病院の寄り添いが全くなあ

  • 最近リリースされた映画の原作でそしてバトンを渡されたの作者なので絶対好きなタイプだろうと思って図書館で予約。
    藤森さんはPMSがひどく、イラッとしてしまうと一気に怒りMAXへ沸騰してしまい、周りに当たってしまうことがある。そして同じ職場に来た山添くんは昔大手のコンサルにいたけど最近転職してきた。パニック障害で苦しんでおり、お互いにそれぞれのやり方で助け合っていく話。
    パニック障害などを取り上げる小説は少ない?かなと思ったので面白いテーマをベースにしているなと思った。また温かい社長のもとで働けているのはすごく幸せそうだなと思った。ただ当たり前になってしまうと良い部分が見えなくなってしまうので毎日「普通」に過ごせていることに感謝だなと実感。風邪を引いて普段の自分が何も苦しまなくてよかったり、電車に乗れないなど不自由になって初めてできるという幸せに気づくパターンも多いのではないだろうか。自らこの病気だから〜とオプションを狭めるのではなく出来ることの中から少しずつ見つけていくプロセスは大変だけど大事だなと思わされる本だった。

  • あったかい物語。心がジーンとする。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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