黒革の手帖
銀行の金を横領して銀座にバアを開いた女。弱みに付け込んで金をゆすりさらなる成功を追い求めたが。。
銀座のホステス、医者、予備校経営、国会議員秘書、総会屋、などのいろいろな人物が登場しては、最後に全てが線でつながる。
女の破滅に向けたラストシーンが印象的。悪いことはできない。
隠花の飾り
女が主人公の短編小説集。全11話が収められている。個人的には「北の火箭(かせん)」が名作。
ベトナム戦争まっただなかのベトナムを訪れるベルギーの女流詩人と、カナダの大学教授。危機下で過ごす時間が二人の距離を縮める。全てが終わり日本へ寄る二人。お互い家庭を持つ二人だが、女は日本で待っていた夫のもとへと帰ってゆく。大学教授は一人、店頭に飾られた浮世絵「大川端夕涼之図」を見つめている。
浮世絵の花火が遠く去った幻想を思い出させるのだろうか。